【8697】日本取引所グループ/売買代金は概ね予算線推移、自社株買いによる追加還元が待たれる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8697】日本取引所グループ (東証1部)  OP

現在値 2,161円/100株 P/E 25.3  P/B 3.77  3月配当株主優待 9月配当

現物は東証、デリバティブは大阪に集約。商品先物取引吸収が課題。
配当金は3月末・9月末の合計52円配当のため、配当利回りは2.41%となります。

日本取引所グループは株主優待制度を実施しており、3月末に100株以上を保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.86%となります。なお、3年間の長期保有により、段階的に4,000円分まで増額されますので、配当優待利回りは最大で約4.25%となります。

業績を確認していきます、当社はIFRS採用となっています。  

■2020年3月期 営業収益 1,236億円、純利益 476億円、EPS 88.9円 

■2021年3月期 営業収益 1,333億円、純利益 513億円、EPS 96.0円 

■2022年3月期 営業収益 1,354億円、純利益 499億円、EPS 94.4円 

■2023年3月期 営業収益 1,325億円、純利益 455億円、EPS 85.0円 ce
□2022年6月1Q 営業収益 335億円、純利益 123億円、EPS 22.9円(7/27)

□2022年9月2Q 営業収益 660億円、純利益 250億円、EPS 47.4円 四e

2022年3月期の営業収益はYoY+1.6%の1,354億円、純利益はYoY▲2.3%の508億円と増収減益(対予算では上振れ)となりました。主力の取引関連収益は市況回復に伴い現物株の1日当たり現物売買代金が3.5兆円→3.8兆円に増加した一方、ボラが緩やかだったデリバティブ市場の取引高はTOPIX先物・日経225ラージが軒並み続落となりました。また上場関連収益については、IPO数が99社→133社と大幅増となったものの、既上場企業やREITのPOが3.4兆円→2.2兆円に減少し、新規・追加上場料が減少したほか、持分法適用のほふりが手数料引き下げを実施したため、取込利益が減少しました。

進行期である2023年3月期の予算については、営業収益がYoY▲2.2%の1,325億円、純利益はYoY▲9.9%の450億円を計画しています。予算前提となる各種KPIは、現物売買代金を横ばいの3.8兆円、デリバティブの取引高(TPX先、225先)を合計約264千単位でそれぞれ置いており、トップラインは微増前提としていますが、既開示の1Q及び日報・月報等によれば概ねインラインの進捗が確認されます。他方で利益面については、システム更改やカーボン市場創設による費用増が嵩むため、通期では2桁近い減益を見込んでいます。

 

終わった期は従前の3年中計の最終年度であり、営業収益1,300億円(CAGR2%)、純利益500億円(UNCH)を目指していましたが、1年前倒しで超過達成していますが、2020年10月の取引終日停止の再発防止対応にリソースを割かれたため、数値感的にも特筆すべき内容がありません。そして今次公表の新3年中計では、最終年度の2025年3月期までに営業収益を1,354億円→1,470億円、純利益508億円→530億円に引き上げる計画とし、ITシステム投資等に500億円を投じます。

 

今次中計の基本方針としては、①市場整備と成長促進、②マーケット・トランスフォーメーション(MX)実現、③サステナ推進の3軸を挙げています。中でも①でETFの市場の成長を志向し、今次中計前比で売買代金+30%を目指し新商品の上場促進に取り組むほか、アジアを中心としたクロスボーダーIPOを促進して、30件の上場を目指します。②については、デリバ市場の小口商品化や個人投資家向けの開拓、祝日取引開始によるボリューム増加や、2024年までにデジタル商品化市場(※当初はグリーン債のSTO発行)の開設と取引開始を目指す計画です。
 

株主還元については、従前通りの配当性向60%基準を維持しており、今期は特別配当剥落▲15円と普通減配▲5円で年52円配当を見込んでいます。終わった期では200億円の自社株買いを実施したため、総還元性向で110%を超える水準にまで膨らませましたが、会社側アナウンスでは最大で1,000億円規模のMAを検討していることから、その資金需要も勘案し、自社株買い等追加還元についてを一旦見送っているものとみられます。

 

*参考記事① 2021-07-07 2,475円 OP

【8697】日本取引所グループ/障害再発防止にリソース割かれるが、総還元性向100%超は評価。

 

*参考記事② 2020-07-15 2,593円 OP

【8697】日本取引所グループ/今月にも大証を総合取引所化するも、収益貢献まだ先。 

 

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