【3861】王子ホールディングス(東証プライム) OP
現在値 562円/100株 P/E 7.95 P/B 0.62 3月配当優待 9月配当優待
1873年設立。製紙国内首位。段ボール、紙パルプ、感熱紙のアジア・南米展開など海外先行。
配当は3月末・9月末の年2回・合計16円配当のため、配当利回りは2.85%となります。
王子ホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末に10単元株を保有する1年超の株主に対して、4,180円分の自社製品(概算;ネピア等)カタログを進呈していますので、その場合の配当優待利回りは約3.59%となります。
業績を確認していきます。
■2020年3月期 売上高 1兆5,076億円、営業利益 1,061億円、EPS 58.8円
■2021年3月期 売上高 1兆3,589億円、営業利益 847億円、EPS 50.1円
■2022年3月期 売上高 1兆4,701億円、営業利益 1,201億円、EPS 88.3円
■2023年3月期 売上高 1兆7,000億円、営業利益 1,050億円、EPS 70.6円 ce
□2022年6月1Q 売上高 3,991億円、営業利益 155億円、EPS 23.5円(5/13)
□2022年9月2Q 売上高 8,000億円、営業利益 370億円、EPS 27.6円 ce
2022年3月の売上高はYoY+8.2%の1兆4,701億円、営業利益はYoY+41.7%の1,201億円となり、ほぼ予算ピンポイントで着地しました。生活産業資材が経済活動回復による需要回復にくわえ、新型肺炎裡に通販向け等の段ボール/原紙類が堅調に推移したほか、機能材も自動車生産の回復で電動車向け特殊フィルムが底堅く推移しました。また、利益柱の資源環境分野は中国当局によるGHG排出削減を目的とした工場操業度抑制等の影響があったものの、パルプ市況の高騰(広葉樹635$/㌧、針葉樹$820/㌧)による単価効果発現で、大幅な増収増益となり、全社業績を押し上げました。
進行期である2023年3月期の予算については、売上高がYoY+15.6%の1兆7,000億円、営業利益はYoY▲41.5%の1,050億円と増収減益で見込んでおり、為替前提はドル円130円/USD・伯レアル5.0/USD、NZD1.55/USDを前提としています(※全社でUSD高が増益要因)。生活産業資材は段ボール/原紙類の堅調推移が見込まれる一方、新聞紙・印刷紙は漸減、原燃料価格高騰と円安、価格転嫁タイムラグで大幅減益想定となります。他方、資源環境分野については、パルプ市況の高止まり(予算前提:広葉樹710$/㌧、針葉樹$850/㌧→MtoMは$1,000/㌧)で市況効果を満喫する見通しであり、不調の国内事業を補うような構図となります。
当社は終わった期を最終年度とする3年中計で、営業利益を400億円増となる1,500億円水準まで引き上げる計画でしたが、実際は新型肺炎禍で想定超の紙需要減少に見舞われ、過去最高益圏ながら想定の半分程度の増益幅に留まりました。この3年で3,000億円規模の設備投資により船橋・江蘇・マレーシアといった工場の設備拡充を済ませたこともあり、2025年3月期を最終年度とする今次3年中計において、改めて営業利益1,500億円を目指す計画です(※為替・パルプほか諸元前提は進行期水準をスライド)。
今次中計では創出CF6,000億円のうち、設備投資に4,000億円を投じる計画であり、栃木・マレーシア・ベトナムに段ボール工場を新設するほか、福島工場おむつラインの増設、滋賀工場フィルムラインの増設、そのほか徳島のバイオマス工場の設備拡充等を予定しています。生活産業資材事業については、これら設備投資による内・外での生産量拡大を目指すともに、足許でもなお高騰する原燃料価格の製品転嫁を急ぎ(要は再値上げ)収益改善に取り組みます。
資源環境事業については、メイン市場である中国当局の政策や先物等の市況影響を強く受けるものの、引き続きパルプ需給のタイト化が見込まれます。そのため、昨年5月の伯CENIBRAに続き、NZのFibre Solutionsも本年3月に完全子会社化しており、増産のための設備投資を進める方針です。また当社は民間最大規模の保有林(19万ha)を有していることから、木質燃料調達力を生かしたバイオマス発電の拡大だけでなく、排出権取引などのESG的観点から別途プレミアム評価も期待されます。
財務の状況については、自己資本比率41.4%&netD/E0.7倍と健全な状況を維持しています。配当は2円増配の年16円を予想しているものの、配当性向は22%程に過ぎないほか、今次中計期間においては累進的な増配を目指す方針としているため、自社株買いを含めた追加的な株主還元が期待されます。
*参考記事① 2022-01-31 605円 OP
【3861】王子ホールディングス/パルプ価格高騰による単価効果で上振れ圏、追加還元に期待。
*参考記事② 2021-09-11 588円 NT
【3861】王子ホールディングス/中計達成困難も、民間最大の保有林はESG観点で付加評価できる。
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