【8953】日本都市ファンド投資法人/スポンサーが三菱商事系からKKRに変更、物件入替続く。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8953】日本都市ファンド投資法人(東証REIT) NT


現在値 108,400円/1株  P/E 24.3  P/NAV 1.00  2月分配 8月分配

三菱商事とUBSとスポンサーとする商業施設特化型で、セクターでは最大規模。MMIと合併へ。

予想分配金は2月末・8月末の年2回合計4,530円配で、分配金利回りは約4.18%となります。

業績を確認します。第38期までは合併前のJRF単独業績、DPUのみ分割遡及修正済です。

■2020年8月期_第37期 営業収益 308億円、経常利益 121億円 DPU 2,250円* JRF

■2021年2月期_第38期 営業収益 305億円、経常利益 118億円 DPU 2,285円* JRF

■2021年8月期_第39期 営業収益 403億円、経常利益 135億円 DPU 2,286円 JMF

■2022年2月期_第40期 営業収益 405億円、経常利益 169億円 DPU 2,284円 JMF

□2022年8月期_第41期 営業収益 406億円、経常利益 153億円 DPU 2,250円 JMFce

□2023年2月期_第42期 営業収益 404億円、経常利益 157億円 DPU 2,280円 JMFce

 

2022年2月期_第40期の落着については、営業収益が第39期比0.6%増の405億円、経常利益は同24.9%増の169億円となり、対予算で上振れとなりました。第39期取得のJMF市ヶ谷01とG心斎橋05が巡行化したほか、期中10~12月に取得した広尾01、船橋01、赤坂02が一部寄与しました。また、南青山01ほか4物件の譲渡により25億円の売却益を確保したほか、合併報酬等といった一過性の販管費剥落により12億円も戻ることから、利益ベースでは大幅増となりました。なお、分配金については、譲渡益が膨らんだことから一転して内部留保繰入(純額で10億円)に変更し、ほぼ予算通りの2,284円に留めています。

 

進行中の2022年8月期_第41期の見通しは、営業収益は第40期比0.2%増の406億円(従予:388億円)、経常利益は同2.3%増の157億円(従予:142億円)に増額しており、分配金は4円減配の2,280円を見込んでいます。第40期取得の赤坂02、広尾01、船橋01の巡行化と、銀座01の30%持分及びサミット中野南台店売却による売却益14億円を計上します。また、オペレーター民再案件の赤坂のホテルビスタも、後継の星野リゾートがOMO3東京赤坂に改装し、収益貢献再開が見込まれます。なお、税会不一致にともなう内部留保を▲3.4億円取り崩して分配金水準を概ね維持する計画です。

 

今回公表の翌2023年2月期_第42期の予想は、営業収益が第41期比0.5%減の404億円、経常利益は同2.3%増の157億円、分配金は同30円増の2,280円を其々予想しています。銀座01の残り40%持分の売却益14億円が計上するほか、改装を実施したmozoワンダーシティの賃料増を見込みます。なお、税会不一致にともなう内部留保を▲2.0億円取り崩します。

 

当法人は昨年8月に同一運用会社の総合型REITであるMCUBS Midcity(MMI)を吸収合併し、3月1日付で日本都市ファンド(JMF)に衣替えしています。当初の合併公表時点ではMMIがNAV割れだったため、272億円程負ののれんを一時差異等調整積立金(RTA)としてリザーブする構想でしたが、株価急変により160億円の正ののれん計上となっています。これにより、税会不一致の営業権償却が期あたり▲4億円発生しており、圧縮積立金や(過去の買収による)RTAを分配金に回して分配金水準を維持しています。

 

また本年4月より、スポンサーが三菱商事UBSからKKRに変更となっています。元より三菱商事などは非デべ系スポンサーであり、パイプライン依存度が低いことから影響は限定的とみられ、本邦不動産市場のエクスポージャーを拡大するKKRグループのリソースを活用できるようになった点から、いくらかポジティブという評価も出来そうです。

 

今後については、事実上の分配金のフロアである2,250円を意識しながら、郊外型商業施設の処分を進めて含み益の顕在化を図りつつも、オフィスを中心とした複合型の取得を進め、最終的には商業施設割合を半分程度まで落とす方針です。現状、名有りの売却物件は1,400億円(含み益は70億円)ほど存在し、合併後3~5年で売却している方針としていることから、向こう数期はコンスタントに売却益の計上が見込まれます。とりあえず分配金下限の2,250円をDPUではなくEPU(ここでは一過性売却益除きの実力ベースの数値を指す)で達成するところまで、商業の外部環境が戻ることを期待したいと思います。

 

*参考記事① 2022-01-13 97,500円 NT

【8953】日本都市ファンド投資法人/DPUではなくEPUでの、2,250円配の到達を待ちたい。

 

*参考記事② 2021-06-24 120,300円 NT

【8953】日本都市ファンド投資法人/MMI合併で正のれん計上へ、分配金下限2,250円を意識。

 

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