【8953】日本都市ファンド投資法人/DPUではなくEPUでの、2,250円配の到達を待ちたい。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8953】日本都市ファンド投資法人(東証REIT) NT


現在値 97,500円/1株  P/E 24.0  P/NAV 0.89 2月分配 8月分配

三菱商事とUBSとスポンサーとする商業施設特化型で、セクターでは最大規模。MMIと合併へ。

予想分配金は2月末・8月末の年2回合計4,500円配で、分配金利回りは約4.62%となります。

業績を確認します。第38期までは合併前のJRF単独業績、DPUのみ分割遡及修正済です。

■2020年2月期_第36期 営業収益 320億円、経常利益 128億円 DPU 2,250円* JRF

■2020年8月期_第37期 営業収益 308億円、経常利益 121億円 DPU 2,250円* JRF

■2021年2月期_第38期 営業収益 305億円、経常利益 118億円 DPU 2,285円* JRF

■2021年8月期_第39期 営業収益 403億円、経常利益 135億円 DPU 2,286円 JMF

□2022年2月期_第40期 営業収益 378億円、経常利益 141億円 DPU 2,250円 JMFce

□2022年8月期_第41期 営業収益 388億円、経常利益 142億円 DPU 2,250円 JMFce

 

2021年8月期_第39期はMMI合併後で単純比較できないものの、営業収益は第38期比32.2%増の405億円、経常利益は同13.9%増の135億円で着地し、予算未達の一方、分配金は分割考慮で同36円増の2,286円となり予算同額となりました。合併したMMI分の単純上乗せ分に、イオン大和(残り50%)とイオン高槻の譲渡による一過性売却益合計21億円の計上があった一方、新型肺炎禍の長期化で歩合賃料が想定以下となり、このほか合併報酬・コストの▲13.5億円やヨーカ堂四街道店売却損▲18億円が重く相殺しきれませんでした。そのため、内部留保を15億円追加で取り崩しています。

 

進行中の2022年2月期_第40期の見通しも修正しており、営業収益は第39期比6.1%減の378億円(従予:383億円)、経常利益は同4.7%増の141億円(従予:144億円)に其々減額しています。第39期取得のJMF市ヶ谷01とG心斎橋05が巡行化するほか、10月取得の広尾01、11月取得の船橋01が部分貢献する一方、売却益剥落▲3億円強と新型肺炎影響による減収と埋め戻し遅れ▲4億円強を織り込みます。他方、合併報酬等といった一過性の販管費剥落により12億円も戻ることから、利益ベースでは大幅増となります。なお、分配金については、内部留保取崩額の調整(▲15億円)により、前回公表水準の2,250円を維持しています。

 

今回公表の翌2022年8月期_第41期の予想は、営業収益は第40期比2.6%増の388億円、経常利益は同0.2%増の142億円、分配金は横ばいの2,250円を見込んでいます。第40期取得の広尾01と船橋01が巡行化するほか、オペレーターの民事再生により懸案となっていた赤坂の「ホテルビスタ」についても、星野リゾートが後継に決定し、本年1月に「OMO3東京赤坂」を開業させたことから、この期から収益貢献の再開が見込まれます。なお、新型肺炎禍減収を▲2億円、内部留保取崩額は▲16億円が予算化されており、修繕費等にもややバッファを持っている印象です。

 

当法人は昨年8月に同一運用会社の総合型REITであるMCUBS Midcity(MMI)を吸収合併し、3月1日付で日本都市ファンド(JMF)に衣替えしました。当初合併公表時はMMIがNAV割れだったため、272億円程負ののれんが一時差異等調整積立金(RTA)としてリザーブする構想でしたが、株価急変により、一転して160億円の正ののれん計上となっています。そのため、税会不一致となる営業権償却が期あたり▲4億円発生するため、圧縮積立金や(本件ではなく過去の買収による)RTAを分配金に回して分配金水準を維持しています。

 

今後については、事実上の分配金のフロアである2,250円を意識しながら、郊外型商業施設の処分を進めて含み益の顕在化を図りつつも、オフィスを中心とした複合型の取得を進め、最終的には商業施設割合を半分程度まで落とす方針です。また、住宅や住宅込の複合アセットの取得にくわえ、日神不動産(8881)が運営する私募REITの日神プライベートレジリート投資法人の投資口取得(当初持分は2.0%)を段階的に進めるほか、今後はメザニン投資にもクライテリアを拡大させていく方針となっています。

 

現状、4,000億円規模にのぼるとされるパイプライン等(優先交渉権は450億円)があるものの、現状の0.8倍台のP/NAVではPOは難しいとみられ、当面は物件入替をこなしていくだけになろうかと思いますが、とりあえずは分配金下限の2,250円をDPUではなくEPUで達成するところまで、外部環境のファンダメンタルズが戻ることを期待したいと思います。

 

*参考記事① 2021-06-24 120,300円 NT

【8953】日本都市ファンド投資法人/MMI合併で正のれん計上へ、分配金下限2,250円を意識。

 

*参考記事② 2020-12-28 89,300円(分割調整済) NT

【8953】日本リテールファンド投資法人/負ののれん積み上がり、分配金下限4,500円は盤石か。

 

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