【8953】日本都市ファンド投資法人/MMI合併で正のれん計上へ、分配金下限2,250円を意識。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8953】日本都市ファンド投資法人(東証REIT) NT


現在値 120,300円/1株  P/E 28.4  P/NAV 1.05  2月分配 8月分配

三菱商事とUBSとスポンサーとする商業施設特化型で、セクターでは最大規模。MMIと合併へ。

予想分配金は2月末・8月末の年2回合計4,536円配で、分配金利回りは約3.77%となります。

業績を確認します。第38期までは合併前のJRF単独業績、DPUのみ分割遡及修正済です。

■2020年2月期_第36期 営業収益 320億円、経常利益 128億円 DPU 2,250円* JRF

■2020年8月期_第37期 営業収益 308億円、経常利益 121億円 DPU 2,250円* JRF

■2021年2月期_第38期 営業収益 305億円、経常利益 118億円 DPU 2,285円* JRF

□2021年8月期_第39期 営業収益 405億円、経常利益 150億円 DPU 2,286円* JMFce

□2022年2月期_第40期 営業収益 388億円、経常利益 144億円 DPU 2,250円* JMFce

 

旧JRF単独となる2021年2月期_第38期については、営業収益が前期比1.1%減の305億円、経常利益は同1.8%減の118億円で着地し、期初予算を下回ったものの、分配金については前期並びに期初予想水準である4,500円を維持しました。川崎ルフロン改装効果の巡航化があったものの、前期のヨーカ堂・錦町売却益18億円の剥落影響がそもそも大きかったほか、予算としては館売上高を85%(住宅地100%、郊外モール/GMS90%、都心60%)から回復していく前提で組んでいたので、ややショートした模様です。他方、イオンモール大和を売却(第38期・第39期に50%ずつ)したことで11億円の一過性利益を計上したことにより、辻褄を合わせたような格好となります。


進行期である2021年8月期_第39期の予算については、JRF・MMIとの合併後の数字のため単純比較はできないものの、営業収益は第38期比32.7%増の405億円、経常利益は同26.7%増の150億円、分配金は分割修正考慮で同36円増の2,250円を見込んでいます。MMI分の上乗せ分にくわえ、イオンモール大和(残り50%)とイオン高槻の譲渡による一過性売却益合計21億円の計上にくわえ、JMFビル市ヶ谷01とGビル心斎橋05の期中取得が寄与し、運用会社に支払う合併報酬と合併コストが併せて▲13.5億円を飲み込んで大幅な増収増益となる見通しです。合併や物件譲渡の影響を除いた実力ベースの前提としては、空損を保守的に▲5.7億円見込んでいるほか、依然として新型肺炎禍による影響を一定程度織り込んでいる模様です。

 

当法人は昨年8月に同一運用会社の総合型REITであるMCUBS Midcity(MMI)を吸収合併し、3月1日付で日本都市ファンド(JMF)に衣替えしました。当初合併公表時はMMIが大きなNAV割れだったため、272億円程負ののれんが一時差異等調整積立金(RTA)として計上され、内部留保を一段と増加させる構想でしたが、この半年ほどで投資口価格が劇的な値上がりをしたため、一転して160億円の正ののれん計上となってしまいました。そのため、税会不一致となる営業利益段階で正のれん償却発生が期あたり▲4億円開始しますが、RTAと圧縮積立金の取り崩しにより分配水準を穴埋めしていく方針です。

 

合併後のアセット種別は商業施設71%、オフィス16%、複合・ホテル等が13%となり、今後は郊外型商業施設の処分を進め、都心型に入れ替えるほか、オフィスを中心とした複合型の取得を進め、最終的には商業施設割合を半分程度まで落とす方針です。また、先述の正のれん償却負担発生もあり、内部留保吐き出しだけでは分配水準を維持出来ないことから、収益改善の見込めない都市型商業施設を含め積極的な売却を実施し、事実上の分配金のフロアである2,250円を意識しながら含み益の顕在化を図るとみられます。

 

なお売却資金については、足許で4,500億円規模にのぼるとされるパイプライン等のほか、今後は住宅や住宅込みの複合アセットの取得のほか、日神不動産(8881)が運営する私募REITの日神プライベートレジリート投資法人の投資口取得(当初持分は2.0%)を段階的に進めるほか、今後はメザニン投資にもクライテリアを拡大させていく方向性のようです。足許では株価が急回復し、一転してPOすら視野に入るような状況ではありますが、まずは積極的な物件入替による分配金水準の維持を確認したいと考えております。

 

*参考記事① 2020-12-28 89,300円(分割調整済) NT

【8953】日本リテールファンド投資法人/負ののれん積み上がり、分配金下限4,500円は盤石か。

 

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