【9414】日本BS放送/巣ごもり需要によるTV通販好調で、かりそめの業績回復が継続。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9414】日本BS放送 (東証一部)  NT

現在値 1,102円/100株  P/E 18.8 P/B 1.01 8月配当優待 2月優待

ビックカメラが親会社のBS放送会社。競馬中継など自社製作が5割。
配当金は8月末一括の20円配当のため、配当利回りは1.81%となります。

日本BS放送は株主優待制度を実施しており、2月末・8月末に単元株を保有する株主に対して、1,000円分のビックカメラ商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは3.62%となります。なお1年以上保有を継続した場合には、8月末に1,000円分の商品券を追加進呈していますので、その場合の利回りは約4.53%となります。

業績を確認していきます。
■2017年8月期単 売上高 115億円、経常利益 22.3億円 EPS 85円 

■2018年8月期連 売上高 124億円、経常利益 24.2億円 EPS 93円

■2019年8月期連 売上高 126億円、経常利益 16.9億円 EPS 65円 

■2020年8月期連 売上高 113億円、経常利益 21.9億円 EPS 83円 

■2021年8月期連 売上高 114億円、経常利益 16.0億円 EPS 58円 ce

□2021年2月2Q連 売上高 57.4億円、経常利益 13.3億円 EPS 51円(4/7)

 

2021年2月期の売上高は前年同期比1.0%増の57.4億円、経常利益は同31.2%増の13.3億円で着地し、期初予算を超過して増収増益となりました。新型肺炎影響による広告主の出稿マインドの低下によりタイム収入が減少したものの、“巣ごもり需要”により通販市況が堅調に推移したため、スポット収入が堅調に推移しました。また、原価面についても人気番組の再放送を多く実施したほか、嵩みがちだった広告費についても全国紙・地方紙といった媒体組み合わせにより効率化したため、利益率は顕著に良化することとなりました。

 

進行期である2021年8月期の予算については、期初予想を据え置いており、売上高は前期比0.1%減の114億円、経常利益は同27.1%減の16.0億円を予想しています。期を通して新型肺炎禍の影響がある前提での予算組みをしており、平常化は翌2022年8月期上期という想定をしています。他方、引き続き新規の番組制作を抑制し、再放送を増やしていることから採算性の良化が確認され、放送設備更新による年2億円の減価償却費増を飲み込んで増益を確保する公算です。なお、当社予算は通例トップラインを強めに見る一方、利益については保守的に見積もる傾向があり、上振れが濃厚な情勢です。


当社はかつて中期目標として(単体)売上高150億円を掲げていたものの、衛星メディア市場自体の成長が止まってしまったことから、対外的に定量目標の開示を取りやめています。会社側も放送事業単体での“一本足経営”は厳しいと認識し、2018年に児童書出版の理論社と国土社の2社を買収し、グループ連結経営に移行した上で年5~6億円の売上高をカサ増しましたが、連結ベースでもトップラインが漸減状態となってしまっています。目下においては、巣ごもり需要によるTV通販番組への追い風や、再放送乱発による原価削減が効いて一時的に業績が持ち直していますが、実力ベースとはほど遠く、かりそめの回復と捉えるのが実態に近いと思われます。

 

翌2022年8月期を最終年度とする現中計は、新型肺炎禍を理由に見直し予定とみられるものの、定性取組事項として「情報番組開発」、「アニメ強化」、「他社コラボ」、「新事業開発」、「特番強化」の5本の柱を重点施策に挙げています。従来より特に強みを持つアニメ分野については、既存番組の「Anison Days」や「アニゲー☆イレブン!」に加え、世界規模のアニメイベントである「AnimeJapan2021」への出展や声優陣トークショーの動画配信などにより、特定視聴者層へのエンゲージメントを強化しています。他方、親会社であるビックカメラは当社に対してサポーティブな姿勢は殆ど見られず、

 

財務状況については相変わらず盤石となっており、ほぼ無借金で100億円超の現預金を保有しているため、自己資本比率は90%に迫る水準をキープしています。自己資本の積み上がりが早い一方、配当金は年20円止まりとなっていますが、これはビックカメラ側に特段の資金ニーズがないことに起因するとと考えられるため、当面はこの低還元状態が続くものと考えています(その一方で親会社の売上に寄与すべく、同社の“商品券”という形で歪な還元を実施している)。

 

*参考記事① 2020-12-24 1,074円 NT

【9414】日本BS放送/再放送割合増加で採算良化も、親会社の低関与姿勢が気掛かり。

 

*参考記事② 2020-07-06  1,025円 OP

【9414】日本BS放送/自主製作見送りで採算急改善も、地力低下が気掛かり。

 

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