【3387】クリエイト・レストランツHD/増資と助成金で財務急改善も、既存店動向は不透明。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3387】クリエイト・レストランツHD(東証プライム) NT

現在値 982円 P/E 45.8 P/B 7.55 2月配当優待 8月配当優待

SC等の飲食フロアにビュッフェやカフェ展開。立地ごとに業態開発。
配当は2月末・8月末の年2回・計6.0円のため、配当利回りは0.61%となります。

クリエイトレストランツは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末に100株を保有する株主に対して、年2回2,000円ずつのお食事券を進呈しておりますので、これらを合算した配当優待利回りは約4.68%となります。なお、400株を1年以上に渡って保有した場合には年2回8,000円ずつの進呈となりますので、400株保有の場合に限り表記の配当優待利回りを維持出来ます。

業績を確認していきます。

■2020年2月期 売上収益 1,393億円、税前利益 31.1億円 EPS 6.8円 IFRS 

■2021年2月期 売上収益 744億円、税前利益▲150.2億円 EPS▲74.2円 IFRS

■2022年2月期 売上収益 783億円、税前利益 71.3億円 EPS 30.5円 IFRS

■2023年2月期 売上収益 1,150億円、税前利益 68.0億円 EPS 21.4円 ce

□2022年5月1Q 売上収益 262億円、税前利益 51.3億円 EPS 16.2円(7/14) 
□2022年8月2Q 売上収益 540億円、税前利益 34.0億円 EPS 10.7円 四e 

2022年2月期の売上収益はYoY+5.2%の783億円、税前利益はYoY+231億円の71.3億円となり、劇的な損益改善を果たしたものの、中間時点の修正見通し比では未達となりました。修正見通し上は実質SSS60.6%でセットしていたものの、酒類提供制限により休業を強いられた「鳥良」「磯丸水産」を擁するSFPが30.1%に沈んだほか、SC内ビルイン型の多いCR店舗も同54.8%に留まりました。利益面については、期ズレ分を含め当初35億円を見込んでいた受取助成金等が250億円と想定超となったほか、IFRSの“その他営業収益”計上により大幅な営業増益となりました。出退店は出店13・退店53・業態転換12となり、期末店舗数は1,037店となりました。

 

進行期である2023年2月期の通期予算については、売上収益がYoY+46.8%の1,150億円、税前利益はYoY▲4.7%の68.0億円を見込んでいます。予算前提となるグループ全体の実質SSSを78.5%でセットしているため増収予想となるものの、高水準だった受取助成金の剥落により減益予想となります。なお出退店は出店30・退店24、期末店舗数は1,043店を計画しており、去る7月14日に開示済の1Q決算は営業収益262億円&営業利益51.6億円と高進捗ですが、SSSは計画割れで助成金頼みの構図のため、依然不透明感が漂います。

 

当社はローリング方式による3ヵ年中計を開示しており、最終年度である2025年2月期に売上収益を783億円→1,400億円、税前利益を71億円→103億円に引き上げる計画です。戦略は①業態ポートフォリオ見直し、②グループ経営再構築、③DX推進の3点を挙げており、当面は体制整備を優先します。①は派生業態の「磯丸水産食堂」の展開により、手軽な食事・持ち帰り需要を取り込む一方、「おもてなしとりよし」でアッパー需要に振るなど、二正面策を採ります。②は(人件費の低い)グループ会社によるFC展開や、購買部門・人事/経理部門の共通化などにより合理化を図ります。

 

当社は2018年のIFRS移行を機に大型買収(SSL約59億円、イルナフォリオ約80億円、いっちょう約70億円)を繰り返してきましたが、これらののれんの残高は償却されないため、B/Sに230億円ほど現存しています。減損テストにヒットするハイリスク案件としてKR(かごの屋)が名有りとなっており、割引率があと0.19pts.上昇すると減損判定に抵触し、仮に0.5pts.上昇した場合の営業益感応は▲4.2億円となります。

 

財務の状況については、自己資本比率が4.2%(IFRS16号非考慮時7.6%)水準まで低下していたものの、2020年7月の新株発行登録200億円を足掛かりに、同年10月に公募増資を実行し、約160億円(@722円)を調達しています。これに想定超の助成金等収入があったため、足許ベースの自己資本比率は20%程(IFRS16号非考慮時28%程)まで急改善しています。かような状況から、既に復配に踏み切っているほか、進行期は更に1円50銭増配となる年6円の配当を見込んでいます。

 

*参考記事① 2022-01-12 691円 NT

【3387】クリエイト・レストランツHD/発行登録からのPO実行で160億円を調達、財務ひと息。 

 

*参考記事② 2021-07-02  912円 NT

【3387】クリエイト・レストランツHD/V字回復計画は過大感、永久劣後ローンで財務面は一息。

 

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