【3550】スタジオアタオ/懸案のECサイトをついに自社運用に切替、経営の透明性が高まった。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3550】スタジオアタオ(東証グロース) OP

現在値 263円/100株  P/E --.-  P/B 1.29 2月優待配当 

店舗、ネットで自社ブランドの婦人用バッグ、財布を販売。ネット比率、リピーター比率高い。
配当は2月末の年5円配当のため、配当利回りは1.90%となっています。

 

スタジオアタオは単元株を保有する2月末の単元株主に対して、3,000円割引券(自社ECにおいて10,000円以上購入の場合に利用可)を1枚進呈していますので、参考配当優待利回りは約13.3%となります。


業績を確認していきます。

■2020年2月期 売上高 41.4億円、営業利益 7.8億円 EPS 42.5円 

■2021年2月期 売上高 40.0億円、営業利益 0.9億円 EPS 2.6円  

■2022年2月期 売上高 36.1億円、営業利益 0.1億円 EPS▲1.5円  

■2023年2月期 売上高 40.0億円、営業利益 0.0億円 EPS 0.0円

□2022年5月1Q 売上高 12.2億円、営業利益 1.0億円 EPS 4.3円(7/13)

□2022年8月2Q 売上高 19.0億円、営業利益 0.4億円 EPS 2.1円 四e

 

2022年2月期の売上高はYoY▲9.7%の36.1億円、営業利益はYoY▲88.2%減の0.1億円となり、計画通り均衡圏での着地となったものの、大幅な減収となりました。増床したジョイナス横浜店や大丸梅田店の上乗せがあったものの、持ち直しが見込まれた旗艦の神戸アタオランド店や有楽町マルイ店を含む実店舗販売が新型肺炎禍で想定以下となりました。また、EC売上も広告単価上昇によりネット販促を抑制したことから、YoY▲16.7%に落ち込みました。他方、利益面は注力中の「ILEMER」へのTVCM投下もあり、大幅減益となりました。


進行期である2023年2月期の予算については、売上高YoY+10.6%の40.0億円、営業利益はトントンを見込みます。新型肺炎禍の一巡による回復のほか、期中出店1店・拡張移転1店による上乗せにより、トップラインは2桁増収を見込みます。他方、主力の「ATAO」「ILEMER」を中心に積極的な販促策を実行するほか、ECサイト自社運用切替による再構築費用が嵩むため、収支は均衡圏止まりとなります。7月13日に開示済の1Qは売上高12.2億円&営業利益1.0億円と高進捗を示していますが、EC本格切替は8月以降のため、一過性の売上減を含め、その影響を確認する必要があります。

 

これまで当社は中長期的な経営計画を非開示としていたものの、翌2024年2月期に売上高46億円、翌2期の2025年2月期に同55億円を目指すことを公表しています。当社はファブレスでバッグの生産を約20の工場に外注しているほか、在庫を極力減らす“少量多品種”方式を採っており、まず少量のEC販売で試験販売→量産化という低リスク手法を採っています。新型肺炎禍による販売シフトの影響もあり、当社ECは売上構成比が6割を超えるなど好調な実績を叩き出してきましたが、直近では実店舗の回復等もあり、減少に転じています。

 

また、当社は百貨店等の実店舗販売に限らず、EC売上も“消化卸方式“を採っており、当社の17.54%の株を握る大株主でもあるEC販売窓口のデジサーチアンドアドバタイジング(D&A)に対して年20億円超の売上と年5億円超の広告費が計上されていましたが、この7月末を以って同社との提携が解消されることとなりました。これにより、上場来重しとなっていた特有の“利益相反性”が解消される見込みとなったものの、当社ECに関する知財・顧客情報等は全てD&A社が握っているため、ECサイトの自社移管にあたって、売上・利益ともに少なからず影響が出る可能性が高く、当面はその影響度を注視する必要があります。

 

財務状況については、期末時点でネット現金15億円を抱えており、自己資本比率7割強と極めて良好な水準を維持しています。進行期も期初から年5円の有配予想をしていますが、無理の無い範囲のため、業績の如何によらず支払われる公算が高そうです。

 

*参考記事① 2021-06-18  486円 OP

【3550】スタジオアタオ/EC化率高く健闘も、関連当事者取引となる販促費がネック。

 

*参考記事② 2020-07-01 473円 OP

【3550】スタジオアタオ/EC化率は既に高く、今期も最終黒字圏か。

 

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