【3387】クリエイト・レストランツHD/V字回復計画は過大感、永久劣後ローンで財務面は一息。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3387】クリエイト・レストランツHD(東証1部) NT

現在値 912円 P/E 68.1 P/B 9.99 2月配当優待 8月配当優待

SC等の飲食フロアにビュッフェやカフェ展開。立地ごとに業態開発。
配当基準日は2月末・8月末の年2回ですが、配当予想は未定となっています。

クリエイトレストランツは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末に100株を保有する株主に対して、年2回2,000円ずつのお食事券を進呈しておりますので、これらを合算した配当優待利回りは約4.38%(無配前提)となります。なお、400株を1年以上に渡って保有した場合には年2回8,000円ずつの進呈となりますので、400株保有の場合に限り表記の配当優待利回りを維持出来ます。

業績を確認していきます。

■2018年2月期 売上高 1,165億円、経常利益 68.9億円 EPS 26.5円  

■2019年2月期 売収益 1,192億円、税前利益 36.8億円 EPS 14.0円 IFRS 

■2020年2月期 売収益 1,393億円、税前利益 31.1億円 EPS 6.8円 IFRS 

■2021年2月期 売収益 744億円、税前利益▲150.2億円 EPS▲74.2円 IFRS

■2022年2月期 売収益 1,150億円、税前利益 40.0億円 EPS 13.3円 ce(4/14)
□2021年8月中 売収益 460億円、税前利益 2.0億円 EPS 0.5円 四e

2021年2月期の売上収益は前年同期比46.6%減の744億円、税前利益は同赤転の▲150.2億円となりなりました。新型肺炎禍の本格化により、主力のSFP「鳥良」「磯丸水産」においてはGW周りの休業にくわえ、年末年始の忘新年会需要を殆ど取り逃す結果となり実質SSS(既存店売上高/same store sales)は47.6%に沈んだほか、SC内ビルイン型の多いCR店舗も施設全体の休業影響を受け実質SSSは48.6%に留まりました。利益・原価面では、家賃減額・減免(23億円)や雇用助成金(68億円)の受領があったものの、時短協力金の約11億円については翌期送りとなったほか、退店等による店舗減損▲20億円の計上により、7月開示の見通し比で大きく下振れました。なお、出退店は出店68店・退店143店となり、純減75店となりました。

 

進行期である2022年2月期通期の予算については、売上高は54.5%増の1,150億円、税前利益は同黒転の40.0億円を予想しています。新型肺炎禍一巡後も消費行動が以前の水準まで戻らない前提で、一昨年と比較した実質SSSを76.4%水準でセットしています。出退店については出店6店・退店11店の純減5店で計画しているほか、利益面については期ズレした時短協力金及び雇用助成金を合計35億円を収受する前提で予算組みがなされています。4月開示の予算のため、まん延防止措置や緊急事態宣言再発出リスクが相当程度考慮されているものとみられますが、通期黒字化を見込むのはかなりの過大感があり、1Q開示前ではあるものの現時点では未達濃厚と判断されます。

 

当社は中計を3ヵ年ローリング方式で公表しており、2022年2月期に売上収益1,520億円、税前利益86億円を定量目標としてきましたが、新型肺炎禍で棚上げにしています。当社は2018年のIFRS移行を機に大型買収(エスエスエル約59億円、イルナフォリオ約80億円、いっちょう約70億円)を繰り返してきましたが、これらは全て数十億円単位の“のれん”を伴うものであり、一転して減損リスクが高まっている状況です。のれんの残高はおよそ230億円あり、直近2ヵ年で▲4.6億円の減損が発生していますが、減損テストにヒットする余裕度の少ない案件としてKR(かごの屋)が挙げられており、追加で▲6.8億円発生するリスクが認識されている状況です。

 

向こう3この2022年2月期までをV字回復期、翌2023年2月期からを再投資時期に位置づけ、足許では役員報酬削減(創業者の岡本氏は退任)、一時帰休の継続、不採算の居酒屋店舗を中心としたS&Bなどリストラ策を推進しています。収入増加策としては、「磯丸水産」改装による持ち帰り窓口設置や、鰻業態の内包化(所謂ゴーストキッチン)によるデリバリ強化、唐揚げ業態の併設等、他社でもみられるような新型肺炎禍ならではの施策を実行しています。出店余力が限られているため、当面はこうした既存店のマイナーチェンジで耐え凌ぐような格好になろうかと思われます。

 

財務面については、IFRS16号基準の適用や、運転資金として400億円程をデットで調達していることもあり、自己資本比率は4.2%(IFRS16号非考慮なら7.6%)まで低下していましたが、みずほと政投銀を相手先に永久劣後ローンで150億円を調達&全額資本認定されたため、同比率は10.5%まで回復しています。また、現預金も期末時点で373億円保有しているため、とりあえず資金繰りについては目途が立ったものと解されそうです。

 

*参考記事① 2020-12-11  605円 NT

【3387】クリエイト・レストランツHD/開示の通期見通しは早くも未達公算か、来期も無配濃厚。

 

*参考記事② 2020-06-30 717円 NT

【3387】クリエイト・レストランツHD/IFRSによる減損リスク高まる、当面は無配か。

 

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