【3295】ヒューリックリート投資法人/財務良化目的にNAV割れPO実施も、物件入替は進む。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3295】ヒューリックリート投資法人(東証REIT) NT


現在値 186,900円/1株  P/E 26.5  P/NAV 1.07  2月分配 8月分配

ヒューリックをスポンサーとする総合型J-REIT。東京圏のオフィスと商業施設が主体。

予想分配金は2月末・8月末の年2回合計7,000円配で、分配金利回りは約3.75%となります。

業績を確認していきます。

■2020年2月期_第12期 営業収益 96.4億円、経常利益 46.3億円 DPU 3,532円

■2020年8月期_第13期 営業収益 105.9億円、経常利益 50.8億円 DPU 3,876円

■2021年2月期_第14期 営業収益 111.7億円、経常利益 55.1億円 DPU 4,052円

□2021年8月期_第15期 営業収益 104.4億円、経常利益 49.1億円 DPU 3,550円 ce

□2022年2月期_第16期 営業収益 98.6億円、経常利益 46.6億円 DPU 3,450円 ce

 

2021年2月期_第14期については、営業収益が前期比5.5%増の111.7億円、経常利益は同8.5%増の55.1億円で着地し、分配金は271円増の4,052円となりました。昨年10月に中野、八王子の2物件を期中取得した一方、日本橋本町一丁目、大森、オーキッドスクエア(持分50%)をスポンサーに譲渡し、一過性の譲渡益約9.5億円を計上したため、一過性の“入り繰り”が大きくなっています。実態を示す稼働率は20bps.減の99.6%と横ばいで踏みとどまったほか、新型肺炎禍に伴う一時減額額も減少したため上振れているものの、法人税0.8億円を支払い内部留保を1.2億円積み増したことから、分配金は期初予算を据え置く形で上振れ分を潰しています。


進行期である2021年8月期_第15期の見通しについては、営業収益は第14期比6.5%減の104.4億円、経常利益は同10.8%減の49.1億円、分配金は同594円減の3,550円を見込んでいます。これは3月末に上野(90%)と調布シニアを取得するほか、オーキッドスクエアの残りの持分50%と、品川シーズンテラスの少数持分を譲渡するものの、売却益が第14期のおよそ半分程度の5億円程度の水準に留まることが主な要因です。前提の期中平均稼働率については98.7%と従来より上方修正しているものの、引き続き相応の空室バッファを見込んでいるとみられます。他方、4月にPOを実施(※後述)したことによる希薄化や第14期同様に有税で内部留保を積み増すことも分配金水準を大きく押し下げる一因となっています。

 

なお、今般開示された2022年2月期_第16期の予算については、営業収益が第15期比5.5%減の98.6億円、経常利益は同5.1%減の46.6億円、分配金は同100円減の3,450円を予想しています。これは第15期に譲渡したオーキッドスクエアと品川シーズンテラスの賃料収入が通期で剥落する一方、上野と調布シニアの通期寄与によりネットでは増収となるものの、オーキッドスクエアの売却益剥落(▲2億円)影響が大きく穴埋め出来ない格好となります。

 

当法人は本年4月にPOを実施しており、約67億円を調達しています。併せて実施した物件の取得・入替については上述のとおりとなりますが、ポートフォリオの利回りが若干向上したものの、資産規模自体は本件POの前後で殆ど変わっておらず、主として財務状況を改善することが目的となります。実際にLTVは46.2%→44.6%まで160bps.低下していますが、値決め@172,200円(発行価格@167,895円)はNAV割れ水準であり、特段有意な物件取得が無いのであれば、本件POについては意義が問われるところではあります。

 

ただ幸い?にもその後のJ-REIT市場全体が活況を呈しているため、当法人の株価水準も目下NAVを回復したほか、レバレッジも下がったのでPO再実施の可能性もありそうです。スポンサーの方は新型肺炎禍でも順調に物件を仕込んでいっているので、パイプラインの“玉切れ”といったことは考えずらく、利回りの高いシニアの組み合わせによるアクリーティブなPOが改めて期待されます。特に今次取得の調布シニアについては、「調布富士ビル」の再開発案件であり、駅近・築浅の高級老人ホームながらNOI4.5%での取得のため、かような物件であれば是非取得を推進してほしいと思います。

 

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