【7512】イオン北海道/MVとの統合効果発現には要時間、石狩の大規模PCが稼働開始へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7512】イオン北海道(東証一部) NT

現在値 1,122円/100株  P/E 34.6 P/B 2.53  2月配当株主優待 

北海道のスーパー大手、アークス・生協と3強。マックスバリュ北海道と経営統合。

配当金は2月一括の12円配当のため、配当利回りは1.07%となります。


イオン北海道は株主優待を実施しており、2末の単元株主に対して、2,500円の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは3.29%となります。

業績を確認していきます。

■2018年2月期 売上高 1,866億円、営業利益 85.9億円 EPS 61.4円

■2019年2月期 売上高 1,867億円、営業利益 82.2億円 EPS 37.8円 

■2020年2月期 売上高 1,859億円、営業利益 81.0億円 EPS 36.6円

■2021年2月期 売上高 3,199億円、営業利益 93.6億円 EPS 42.1円 

■2022年2月期 売上高 3,250億円、営業利益 80.0億円 EPS 32.3円 ce

□2021年2月期 売上高 1,610億円、営業利益 25.0億円 EPS 8.6円 ce

 

2021年2月期の売上高は前期比72.1%増の3,190億円、営業利益は同15.5%増の93.5億円となり、1Q・1H時点で開示した通期見通しを上回る水準での着地となったものの、外部予想水準には届きませんでした。新型肺炎禍による社会・学校行事の中止により、衣料品セグの既存店売上高(SSS)は80.8%に沈んだ一方、構成比の高い食品セグや住居余暇セグが堅調に推移し同SSSは100%前後を確保したため、全社SSSは99.7%となりました。トップラインの大幅な増加はマックスバリュ北海道の合併(※後述)効果によるものですが、利益水準が単純合算ベースより弱く、初年度はシステム統合費用や本社移転費用の方が嵩み、シナジー発現が殆ど無かったとみられます。

進行期の2022年2月期の予算については、売上高が1.6%増の3,250億円、営業利益が6.0%減の88.0億円と増収減益を予想しています。新型肺炎禍の一巡を見込んでおり、食品の買い溜め仮需一服にくわえ、衣料品の回復も鈍くいことが想定されることから横ばい予想となっています。他方、利益が減益となるのは石狩プロセスセンター(イオン石狩PC)を中心とした設備投資に166億円を投じることが主因であり、初期コストが重く、営業利益への影響額は実に▲21億円に及びます。なお、出店については食品店を中心に5店程を計画している模様です。

 

当社はマックスバリュ北海道(MV北海道、7465)との統合2年度目となる今般、新中計を開示しており、数値目標としては5年後の2026年2月期に売上高3,199億円→3,800億円、営業利益93億円→157億円を目指すこととしてます。本来であればMV北海道の単体売上高約1,350億円・営業利益約16.5億円がオンされる見通しでしたが、上述のとおり目下では統合諸経費(▲9億円)の方が嵩んでいるような状況です。中計向こう5年で顕在化する予定の統合効果(仕入スケール効果、物流費用削減等)の見込額は8億円程度で逆シナジー状態のため、更なるシナジー発現が必要となります。

 

本中計の方針としては、①付加価値向上、②顧客化推進、③地域連携、④収益構造改革の4方針であり、①に絡む重点項目として食品強化が挙げられています。目玉となるのは8月竣工予定のイオン石狩PCであり、建設地は旧ダイエー進出予定地であったほか、IKEAの出店も噂された程の規模であり、延床9,000坪を誇るメガトン級のPCとなります。石狩PCでは自社畜産品に代表される道産生鮮品の取扱い強化にくわえ、MV北海道との統合によるスケール効果を生かしきるべくデリカ食品の製造機能の強化も企図しており、各店舗内での作業工数の削減が見込まれます。道内競合のアークスや生協は既に自前のPCを抱えているため当社は出遅れていましたが、いかんせん当面は巡行稼働までの初期コストや償却負担の増加が見込まれるため、中計で目標とする利益水準確保の可視性については中計終盤まで待つ必要がありそうです。

 

当社はイオンの地方SM運営会社の中では財務体質が良好であり、自己資本比率は40%台半ばをキープしていましたが、相対的に財務が脆弱だったMV北海道を飲み込んでなお40%台を確保しています。配当は据置の年12円を予定しており、計算上の配当性向は37%に上りますが、これは一過性の費用増を反映した配当性向のため、実際は還元余力を余しているものと解され、追加的な増配ないし自社株買いが期待されるような状況と考えています。

 

*参考記事① 2018-06-13 809円 NT 

最高益更新続くが、マックスバリュ北海道との統合は?イオン北海道(7512)。

 

*参考記事② 2017-06-12 598円 NT

小型店・ネットスーパーで道内包括へ、イオン北海道(7512)。

 

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