【3387】クリエイト・レストランツHD/IFRSによる減損リスク高まる、当面は無配か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3387】クリエイト・レストランツHD(東証1部) NT

現在値 717円/PER--.-  PBR8.22 2月配当優待 8月配当優待

SC等の飲食フロアにビュッフェやカフェ展開。立地ごとに業態開発。
配当基準日は2月末・8月末の年2回ですが、配当予想は未定となっています。

クリエイトレストランツは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末に100株を保有する株主に対して、年2回2,000円ずつのお食事券を進呈しておりますので、これらを合算した配当優待利回りは約5.57%(無配前提)となります。なお、400株を1年以上に渡って保有した場合には年2回8,000円ずつの進呈となりますので、400株保有の場合に限り表記の配当優待利回りを維持出来ます。

業績を確認していきます。
■2017年2月期 売上高 1,135億円、経常利益 63.4億円 EPS 34.8円  

■2018年2月期 売上高 1,165億円、経常利益 68.9億円 EPS 26.5円  

■2019年2月期 売収益 1,192億円、税前利益 36.8億円 EPS 14.0円 IFRS 

■2020年2月期 売収益 1,393億円、税前利益 31.1億円 EPS 6.8円 IFRS(4/21) 

■2021年2月期 売収益 (未定)億円、税前利益 (未定)億円 EPS (未定)円 ce 
□2020年8月中 売収益 320億円、税前利益▲15.0億円 EPS▲6.4円 四e

2020年2月期の売上収益は前年同期比16.8%増の1,393億円、税前利益は同15.4%減の31.1億円となり、期中2度に渡る増額修正から一転して、2桁の減益着地となりました。予算前提となる既存店売上高を98.2%でセットしておりましたが、台風19号や消費増税、期末での新型肺炎の影響など諸々のダウンサイドをこなして着地は99.2%と良好な水準を確保しました。ブランド別ではまちまちの結果となり、クリエイトレストランツ(CR/単体)事業や「磯丸水産」が好調に推移したものの、「鳥良」・「かごの屋」・その他の海外店舗は弱含みとなりました。新規出店については通期計画の51店に対して43店を出店し、56店を退店したものの、期中で複数社のMA(※後述)を実施したことにより238店増加し、純増225店となりました。一方、利益面についてはIFRSによる減損テストを保守的に適用したため、営業利益段階から大きく削られる格好となりました。


進行期である2021年2月期通期の予算については、新型肺炎影響により合理的な算出が出来ないことを理由に現時点では未定としています。店舗の休業期間については、主力のSFP「鳥良」「磯丸水産」については4月上旬からGW明けの概ね1ヵ月間であったものの、商業施設内ビルイン型の多いCR店舗はより長い休業期間を強いられた店舗が多く、SFP単体より当社グループ全体の方がダメージが多いとみられます。新型肺炎の影響は1Q(3月-5月)期間だけでは織り込み切れず、2Q期間(6月-8月)まで大きく響く見通しであり、トップライン減少による減益はもとより、IFRS減損テストに再度牴触する恐れもあり、通期で大幅な赤字に転落する公算が高い状況です。

 

当社は中計を3ヵ年ローリング方式で公表しており、2022年2月期に売上収益1,520億円、税前利益86億円を最新の定量目標として置き直ししていましたが、今般の新型肺炎ショックにより一旦棚上げとする方針を明らかにしています。ここ数年の当社はIFRSへの切替を契機に、矢継ぎ早の買収施策で業容を一段とスケールアップさせていました。2018年の「ごまそば遊鶴(年商:10億円)」を皮切りに、NYの日本食レストラン2店(年商:7億円)を取得したほか、2019年には「銀座木屋(年商:8億円)」、「前川水軍(年商:15億円)」、西洋フード・コンパスのゴルフ場及びレジャー施設のコントラクト事業を運営するエスエスエル社(年商118億円・営業利益6億円)、同9月には北米でイタリアンを展開する「イルナフォリオ(年商121億円・営業利益8.4億円)」、同10月には北関東で和食レストラン「いっちょう(年商113億円・営業利益7.9億円)」を相次いで傘下に収めています。

 

厄介なのは大型のMAが特に増えていた点であり、エスエスエル社に約59億円、イルナフォリオに約80億円、いっちょう社に約70億円を投じているため、いずれも数十億円単位の“のれん”が発生しています。既述のとおり、新型肺炎影響による収益性の低下で、IFRSの減損テストにヒットしやすくなった点は否めず、IFRSによる買収で簡単に営業利益がカチ上がってたものの、今度は逆に営業利益水準が簡単に切り下がるリスクを抱えてしまっている状況です。

 

他方、IFRS16号基準の適用も相俟ってB/Sが違う膨らみ方をしており、見た目の自己資本比率は10.9%まで低下してしまっています。これに資金繰り用に調達した3月末の300億円のデットが新たに乗ってくるため、自己資本比率は既に一桁水準にあるとみられ、当分は無配が続くものと考えています。

 

*参考記事① 2020-01-08 971円*分割修正済 NT

【3387】クリエイト・レストランツHD/巨額買収相次ぎ、ファイナンス警戒圏か。

 

*参考記事② 2019-06-28 671円*分割修正済 NT

ノンオーガニックな外部成長志向が鮮明に、クリエイト・レストランツHD(3387)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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