【3387】クリエイト・レストランツHD(東証1部) NT
現在値 1,343円 PER40.4 PBR7.64 2月配当優待 8月配当優待
SC等の飲食フロアにビュッフェやカフェ展開。立地ごとに業態開発。
配当金は2月末・8月末の年2回で合計12円で、配当利回りは0.89%となります。
クリエイトレストランツは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末に100株を保有する
株主に対して、年2回3,000円ずつのお食事券を進呈しておりますので、これらを合算した
配当優待利回りは5.36%となります。なお、200株以上を1年以上に渡って保有した場合に
は年2回4,500円ずつの進呈となりますので、約4.24%の配当優待利回りを確保出来ます。
業績を確認していきます。
■2016年2月期 売上高 1,032億円、経常利益 73.0億円 EPS 35.1円
■2017年2月期 売上高 1,135億円、経常利益 63.4億円 EPS 34.8円
■2018年2月期 売上高 1,165億円、経常利益 68.9億円 EPS 26.5円
■2019年2月期 売収益 1,192億円、税前利益 36.8億円 EPS 14.0円 IFRS
■2020年2月期 売収益 1,240億円、税前利益 56.0億円 EPS 32.8円 IFRS
□2019年8月中 売収益 630億円、税前利益 42.0億円 EPS 18.2円 四e
2019年2月期の売上高は前期比2.4%増の1,192億円、税前利益は同37.4%減の36.8億円
となり、IFRS移行後初の通期決算は大幅減益となったほか、対予算も未達となりました。
全社的に台風・地震・天候不順の影響を受けた結果、全てのセグメントにおいて既存店
売上高は前期比95~97%ほどでの仕上がりとなり、予算前提となる98.1%を下回りました。
出店についても計画よりも8店少ない89店となったほか、子会社のSFPの主力ブランドで
ある「鳥良」・「磯丸水産」も本体同様に低調に推移し、積極的な業態転換による経費の
増加等も響きました。また、期中に2件のMAと事業譲受を実行しており、それらが部分的
に寄与していることや、IFRS移行によるのれん償却の浮き分で9億円ほど営業利益段階
から水増しされているため、数字の見た目程は営業状況が良くないものと判断されます。
進行期である2020年2月期通期の予算については、売上収益が約4.0%増の1,240億円、
税前利益は51.8%増の56億円を予想しています。予算前提となる既存店売上高は98.2%
水準で設定しているほか、新規出店については51店と更に抑制していく方針です。直近
の計4件のMAと事業譲受が通期で寄与するものの、年商の単純合算では30億円程の
規模であり、利益貢献も僅少であるため、基本的には実績期に大きな影響を受けた天
候等の業績悪化要因が減少することによる、既存店の回復が主な良化要因となります。
また、足許6月26日に西洋フード・コンパスからゴルフ場及びレジャー施設のコントラクト
(委託契約)事業を会社分割方式により買収すること公表しており、買収時期が9月1日の
ため、半期分の全社業績のオンされる格好となります(※後述)。
当社は3ヵ年中計をローリング形式で開示しており、2022年2月期に売上収益1,520億円、
税前利益86億円を今回新たな定量目標として置き直しをしていますが、ロール前の従来
中計との比較ではまたしても減額されているため、中計の業績信頼度は高くありません。
実績期からIFRSに移行したことによる会計マジックで、のれんの償却により営業利益が
削られることがなくなったため、今回ロールした中計からはオーガニック成長だけでなく、
MAを中心としたノンオーガニックな外部成長志向がはっきりと表れるようになりました。
実際、この半年で「ごまそば遊鶴(年商:10億円)」を皮切りに、NYの日本食レストラン2店
(年商:7億円)、「銀座木屋(年商:8億円)」、「前川水軍(年商:15億円)」といった業態を、
MAで次々と傘下に入れているほか、上述のとおり西洋フード・コンパスのゴルフ場及び
レジャー施設のコントラクト事業(年商118億円・営業利益6億円)を、約59億円で買収して
います。MAの案件が増えたばかりでなく、内容的にも踏み込んでおり、今回買収したこ
のコントラクト事業(を分割承継する会社)の純資産は13億円であることから、単純計算
で実に46億円もの‘のれん’がのしかかるような案件ですが、躊躇せず買収しています。
というわけで、昨年2月に子会社のSFPHDに当社の持分を買い取らせるTOB自社株買い
(@2,030円、ディスカウント1.2%)により65億円を回収し、ネットD/Eレシオをボトム水準
で0.82倍まで改善させておいたのが早くも奏功した格好となりますが、足許の西洋フード
案件が巨額だったため、財務面はまた少し苦しくなってきたような印象を受けます。その
ため、株主還元については、配当が年12円で抑えられてしまっていますが、自己資本の
厚みを確保して財務レバレッジをかけていくためには経営戦略上仕方ない部分もあり、
当面はこれくらいの水準感での株主還元が据え置かれるものと考えています。
*参考記事① 2018-12-21 1,206円 NT
「かごの屋」運営会社の商号変更は意味深淵か、クリエイト・レストランツHD(3387)。
*参考記事② 2018-06-01 1,440円 NT
満を持してのIFRS移行で、次の大型買収に期待。クリエイト・レストランツHD(3387)。
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