大丸心斎橋本館・渋谷パルコ開業で急回復、J.フロント リテイリング(3086)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3086】J.フロント リテイリング(東証1部) OP


現在値 1,235円 PER11.5 PBR0.78 2月配当優待 8月配当優待

百貨店の大丸と松坂屋が統合。関西、中京圏が地盤。子会社にパルコ。
配当金は2月・8月の年2回で合計36円で、配当利回りは2.91%となります。

J.フロント リテイリングは株主優待制度を実施しており、単元株以上を保有する2末・8末

の株主に対して、10%割引優待カードを進呈しております。このカードの持参により、有料

催事が同伴者1人まで無料となるため、仮に入場料1,000円の催事に、2人で年1回行った

場合を想定した際の配当優待利回りは、およそ4.53%となります。

業績を確認していきます。
■2016年2月期 売上高 11,635億円、営業利益 480億円 EPS 100円 

■2017年2月期 売上高 11,085億円、営業利益 445億円 EPS 103円 

■2018年2月期 売収益 4,699億円、営業利益 495億円 EPS 108円 IFRS

■2019年2月期 売収益 4,598億円、営業利益 408億円 EPS 104円 IFRS 

■2020年2月期 売収益 5,000億円、営業利益 485億円 EPS 106円 IFRS ce

□2019年5月1Q 売収益 1,124億円、営業利益 127億円 EPS 28.4円 IFRS(6/28)
□2019年8月2Q 売収益 2,290億円、営業利益 236億円 EPS 52.7円 IFRS ce

2019年2月期の売上収益は前期比2.1%減の4,598億円、営業利益は同17.5%減の408億円

となり、期初予算を下回り減収減益で着地しました。主力の百貨店事業については、イン

バウンドによる免税売上が同22.9%の588億円と好調に推移したものの、昨年9月の台風影

響や改装費用・償却費の増加もあり、予算以上に減益幅が拡大しました。店舗売上別では

心斎橋店・札幌店・東京店が昨対102%超と好調をキープした一方、京都店は横ばい、山科

店は閉鎖となりました。なお、不動産事業については、2017年4月開業の「GINZA SIX」、

同11月開業の「上野フロンティアタワー」の不動産賃料収入が通期寄与して増収増益とな

った一方、業績端境期のパルコはファッションの苦戦により2桁の減収減益となりました。


進行期の2020年2月期の予算については、売上収益が5.6%増の5,000億円、営業利益は

同18.6%増の485億円と一転して大幅な増益を見込んでいます。主力の百貨店事業につい

ては、インバウンドや富裕層(外商)の好調継続を見込むほか、今秋に心斎橋本館の開業

を予定しています。また、実績期低調だったその他セグメントの建装等の反転増が見込ま

れるほか、パルコも11月に旗艦店である渋谷店の建替が完了するため、業績が飛躍的に

回復する見通しです。なお今期よりIFRS16号適用による賃借物件オンバランス化により、

営業利益ベースでは35億円程かさ上げされているため、業績の実態としては横ばいか少

し増益くらいの水準感となります(※6/28、1Q開示済。業績進捗は予算比でインライン)。

 

今期は新5年中計の3年目となっており、最終年度である2022年2月期に営業利益ベース

で560億円(CAGR6%)を見込んでいます。既述のとおり、今秋に旗艦の大丸心斎橋本館が

満を持して建替え開業となり、同館は65%を定借でテナント貸しするため百貨店売上自体

は減少するものの、賃貸業への移管部分は採算性良化が期待されます。また端境期が

続いていたパルコについても、渋谷店以外に浦添西海岸を既に開業しているほか、今春

には東京楽天地からの賃借ではあるものの、錦糸町パルコを開業しており通期寄与する

ため、今期期中より一気に業績が改善します。そのため、これらが巡航する翌2021年2月

期も2桁の利益成長が継続する公算が高く、現段階においては最終年度の業績目標であ

る560億円については、依然として‘射程圏内’にあるものと判断されそうです。

 

また、株主還元姿勢も強まっており、配当性向30%基準に則し、2018年2月期に28→35円

へと一気に7円(記念配2円込)も増配しました。実績期は記念配当への切替もあったため、

さすがに35円を据え置いたものの、今期は1円増配の年36円を予想しています。投資が

一巡しつつあり、財務体質も良好であるため、進行中の中計終了時期である翌々2022年

2月期までには更なる株主還元の強化が期待出来そうな状況ではあります。

 

*参考記事① 2018-05-16 1,806円 NT

不動産賃貸業へのシフトが加速、J.フロント リテイリング(3086)。

 

*参考記事② 2017-06-06 1,649円 NT

「GINZA.SIX」開業も業績寄与どこまで、J.フロント リテイリング(3086)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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