「かごの屋」運営会社の商号変更は意味深淵か、クリエイト・レストランツHD(3387)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3387】クリエイト・レストランツHD(東証1部) --

現在値 1,206円 PER28.4 PBR5.64 2月配当優待 8月配当優待

SC等の飲食フロアにビュッフェやカフェ展開。立地ごとに業態開発。
配当金は2月末・8月末の年2回で合計12円で、配当利回りは1.00%となります。

クリエイトレストランツは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末に100株を保有する

株主に対して、年2回3,000円ずつのお食事券を進呈しておりますので、これらを合算した

配当優待利回りは5.97%となります。なお、200株以上を1年以上に渡って保有した場合は

年2回4,500円ずつのお食事券を進呈していますので、約7.21%の利回りを確保出来ます。

業績を確認していきます。
■2015年2月期 売上高 693億円、経常利益 43.8億円 EPS 68.8円 
■2016年2月期 売上高1032億円、経常利益 73.0億円 EPS 35.1円 
■2017年2月期 売上高1135億円、経常利益 63.4億円 EPS 34.8円  

■2018年2月期 売上高1165億円、経常利益 68.9億円 EPS 26.5円  

■2019年2月期 売収益1250億円、税前利益 76.0億円 EPS 42.3円 IFRSce 
□2018年8月中 売上高 605億円、経常利益 32.6億円 EPS 14.3円(10/12)

2018年8月中間期の売上高は前年同期比2.1%増の605億円、経常利益は同17.3%減の

32.6億円となり、期初予算との比較はないもののコンセンサス水準を割り込んでの着地

となりました。全社的に台風・地震の影響を受けた結果、全てのセグメントにおいて既存

店売上高は前年同期比95~96%程の仕上がりとなり、予算前提の96.7%を下回りました。

出店に関しても計画よりも9店少ない53店となったほか、「磯丸水産」が低迷中のSFPに

おいて「鳥良商店」「いち五郎」への業態転換を進めたため、開業経費も増加しました。

また、関西を地盤とする「かごの屋」も台風・地震の影響をダイレクトに受けています。


なお、IFRSへと会計基準を変更する予定となっている2019年2月期通期の予算は、期初

予想を据え置いており、単純な比較は出来ないものの、売上収益は約7%増の1,250億円、

税前利益は約7%増の76億円を予想しています。これまでMAで取得してきた同業他社の

‘のれん代’(残額は127億円)の償却が営業利益段階から年間9億円強ヒットしてきました

が、この分がまるごと浮くため、特に何もしなくても見かけの利益は大きく底上げされます。

然しながら、上述のとおり上期の凹み分が反映されていないことや、9月の地震や台風の

影響も未だ織り込んでいないため、出店遅れにより期中で寄与する売上の嵩が減ること

を考慮すると早くも未達濃厚圏と言えます。トピックとしては、11月に東京會舘の二重橋

スクエアに「モートンズ・ザ・ステーキハウス」というシカゴ発の新業態を開業しています。


当社は3ヵ年中計をローリング形式で開示しており、2021年2月期に売上収益1,450億円

(CAGR8%*)、税前利益91億円(CAGR10%*)を目指しています。こちらも会計基準の変更

により単純な比較が出来ないものの、従来中計との比較では事実上減額されています。

一応、IFRS移行による‘会計マジック’で、のれん償却がなくなり、利益水準が大きく底

上げされているほか、今中計ではオーガニック成長しか数字に見込んでいないものの、

今後はのれんをあまり気にしなくて済む分、MAを中心としたノンオーガニック外部成長

を志向していくものとみられます。実際、本年3月にはOLCからイクスピアリの飲食事業

を会社分割方式(年商24億円相当)で買収しているほか、12月には「ごまそば遊鶴」の

運営会社(年商10億円)を買収するなど、矢継ぎ早の買収施策を推進しています。

 

また、こうした外部成長とは別に本年2月に子会社のSFPホールディングスに当社持分

を買い取らせるTOB自社株買い(@2,030円、ディスカウント率1.2%)を実施し、約65億円

を回収し、財務面の指標として重視しているネットD/Eを0.82倍まで良化させています。

なお、12月には「かごの屋」運営会社であり、かつてはキンレイの子会社であった歴史

あるKRフードサービスを、“KRホールディングス”へとわざわざ商号を変更させており、

何か思惑がありそうな印象を受けます(※SFPも“SFPダイニング”という商号だった)。

 

ちなみに株主還元に関しては、今期は2円増配し、年間12円まで復元される予定とな

っています。本業の回復というより、既述のとおりSFPHDから自社株買いで巻き上げた

資金のほんの一部を吐き出して増配した印象が強いですが、MAのための財務余力を

保つためにも、配当水準としてはこんなもので妥当かと考えています。

 

*参考記事① 2018-06-01 1,440円 --

満を持してのIFRS移行で、次の大型買収に期待。クリエイト・レストランツHD(3387)。

 

*参考記事② 2017-11-23 1,200円 --

SFP持ち直しで底入れ機運?クリエイト・レストランツHD(3387)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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