【3387】クリエイト・レストランツHD/開示の通期見通しは早くも未達公算か、来期も無配濃厚。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3387】クリエイト・レストランツHD(東証1部) NT

現在値 605円/PER--.-  PBR16.22 2月配当優待 8月配当優待

SC等の飲食フロアにビュッフェやカフェ展開。立地ごとに業態開発。
配当基準日は2月末・8月末の年2回ですが、配当予想は未定となっています。

クリエイトレストランツは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末に100株を保有する株主に対して、年2回2,000円ずつのお食事券を進呈しておりますので、これらを合算した配当優待利回りは約6.61%(無配前提)となります。なお、400株を1年以上に渡って保有した場合には年2回8,000円ずつの進呈となりますので、400株保有の場合に限り表記の配当優待利回りを維持出来ます。

業績を確認していきます。
■2017年2月期 売上高 1,135億円、経常利益 63.4億円 EPS 34.8円  

■2018年2月期 売上高 1,165億円、経常利益 68.9億円 EPS 26.5円  

■2019年2月期 売収益 1,192億円、税前利益 36.8億円 EPS 14.0円 IFRS 

■2020年2月期 売収益 1,393億円、税前利益 31.1億円 EPS 6.8円 IFRS 

■2021年2月期 売収益 1,060億円、税前利益▲70.0億円 EPS▲36.9円ce修正(7/14)
□2020年8月中 売収益 320億円、税前利益▲100.8億円 EPS▲48.4円

2020年8月中間期の売上収益は前年同期比49.6%減の320億円、税前利益は同赤転の▲100.8億円となりなりました。新型肺炎の本格化による営業影響については、主力のSFP「鳥良」「磯丸水産」で4月上旬からGW明けの概ね1ヵ月間を休業したほか、商業施設内ビルイン型の多いCR店舗は更に長い期間の休業を強いられ、SFP単体より当社グループ全体の方がダメージが大きくなりました。一方、期末にかけては自粛ムードの一巡や、「go toトラベル」にといった外出後押し政策もあり、行政の夜間営業時間短縮要請の影響を受けやすいSFP単体よりもCR店舗の方が底堅く推移しました。また、海外については台湾や香港は健闘したものの、シンガポールや北米についてはロックダウンまで踏み込んだため、一段と落ち込む格好となりました。なお、上半期で実に100店の閉店を決定しており、一部退店済の店舗の減損を▲10億円織り込んでいます。

 

2021年2月期通期予算については未定としていましたが、1Q終了時点で開示に踏み切っており、売上高は前期比23.9%減の1,060億円、税前利益は同赤転の▲70億円を予想しています。新型肺炎の動向によりトップラインが大きく振れやすいことから、下期にかけて一層の固定費削減を進める方針であり、人件費削減として雇用助成金を40億円程度収益計上する一方、社員の一時帰休やシフト管理の厳格化を実施します。また、家賃の減額交渉にくわえ、自由度確保のためあえて分社化したままとした傘下の飲食事業会社を統合するなど一層の効率化を進めるほか、当社とSFP社で管理部門を統合した新会社を折半出資で設立し、本社経費の削減を図ります。ただこうした合理化策をもってしても、修正予算は「1Qの凹み分+α」のダウンサイドしか織り込んでいないものとみられ、通期で大赤字見通しながら公表値は既に未達の公算が高い状況と考えられます。

 

当社は中計を3ヵ年ローリング方式で公表しており、2022年2月期に売上収益1,520億円、税前利益86億円を最新の定量目標として置き直ししていましたが、今般の新型肺炎ショックにより一旦棚上げにしています。ここ数年はIFRS移行を契機に矢継ぎ早の買収を実施しており、2018年に「ごまそば遊鶴(年商:10億円)」、NYの日本食レストラン2店(年商:7億円)、2019年に「銀座木屋(年商:8億円)」、「前川水軍(年商:15億円)」、西洋フード・コンパスのゴルフ場及びレジャー施設のコントラクト事業を運営するエスエスエル社(年商118億円・営業利益6億円)、同9月に北米でイタリアンを展開する「イルナフォリオ(年商121億円・営業利益8.4億円)」、同10月には北関東で和食レストラン「いっちょう(年商113億円・営業利益7.9億円)」を相次いで傘下に収めています。

 

ただ目下の新型肺炎禍の状況では、急速に業容をスケールさせてしまったこと自体も裏目と言えますが、昨今の大型買収(エスエスエル約59億円、イルナフォリオ約80億円、いっちょう約70億円)で全て数十億円単位の“のれん”を発生させてしまっていることから、実態としてこの“のれん”が既に減損テストに耐えられない水準にまで収益性が悪化していることがリスクと考えられます。会社側ではかようなリスクを意識した上で、進行期を底に翌2022年2月期からはV字回復を描く想定をしており、翌々期の2023年2月期には売上収益1,400億円、税前利益53億円という画餅的な計数を新たに公表していますが、これは実体を伴わない単なる置きの数字と捉えた方が良さそうです。

 

財務面については、IFRS16号基準の適用や、運転資金として400億円程をデットで調達していることもあり、自己資本比率は4.2%(IFRS16号基準なかりせば7.6%)まで低下しています。そのため今期は元より、来期までは自己資本拡充のため当面無配が続く公算が高そうです。

 

*参考記事① 2020-06-30 717円 NT

【3387】クリエイト・レストランツHD/IFRSによる減損リスク高まる、当面は無配か。

 

*参考記事② 2020-01-08 971円*分割修正済 NT

【3387】クリエイト・レストランツHD/巨額買収相次ぎ、ファイナンス警戒圏か。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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