【3387】クリエイト・レストランツHD/発行登録からのPO実行で160億円を調達、財務ひと息。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3387】クリエイト・レストランツHD(東証1部) NT

現在値 691円 P/E 19.8 P/B 5.96 2月配当優待 8月配当優待

SC等の飲食フロアにビュッフェやカフェ展開。立地ごとに業態開発。
配当は2月末・8月末の年2回・計4.5円のため、配当利回りは0.65%となります。

クリエイトレストランツは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末に100株を保有する株主に対して、年2回2,000円ずつのお食事券を進呈しておりますので、これらを合算した配当優待利回りは約6.43%となります。なお、400株を1年以上に渡って保有した場合には年2回8,000円ずつの進呈となりますので、400株保有の場合に限り表記の配当優待利回りを維持出来ます。

業績を確認していきます。

■2018年2月期 売上高 1,165億円、経常利益 68.9億円 EPS 26.5円  

■2019年2月期 売収益 1,192億円、税前利益 36.8億円 EPS 14.0円 IFRS 

■2020年2月期 売収益 1,393億円、税前利益 31.1億円 EPS 6.8円 IFRS 

■2021年2月期 売収益 744億円、税前利益▲150.2億円 EPS▲74.2円 IFRS

■2022年2月期 売収益 912億円、税前利益 102.0億円 EPS 34.8円 ce修正(10/14)
□2021年8月中 売収益 344億円、税前利益 71.7億円 EPS 25.8円 

2021年8月中間期の売上収益は前年同期比7.7%増の344億円、税前利益は173億円の損益改善となる71.7億円となり、期初予算との比較は無いものの飛躍的な増益となりました。新型肺炎禍前の期との比較による実質SSSについては、酒類提供制限により休業を強いられた「鳥良」「磯丸水産」を擁するSFPが18.3%まで沈んだほか、SC内ビルイン型の多いCR店舗も同47.2%に沈みました。他方、利益・原価面では、前期からの期ズレ分を含め当初35億円を見込んでいた受取助成金等が想定超だったほか、コスト削減の進捗により更に38億円も上振れました。出退店は出店9、退店25、業態転換8となり、純減16となりました。

 

なお2022年2月期通期見通しも修正しており、売上収益は22.5%増の912億円(期予:1,150億円)、税前利益は同252億円の損益改善となる102.0億円(期予:40.0億円)に其々修正しています。当初はG全体の実質SSSを76.4%でセットしていましたが、休業・時短営業・酒類提供制限で上期が同44.4%まで沈んだ凹み分の反映と、回復時期を4Q後倒したことで、トップラインを減額しています。一方、利益・原価面はコスト削減にくわえ、(期ズレ分を含む)一過性の受取助成金と想定超となっていることから、IFRS基準により営業利益段階から損益が劇的に回復する見込みです。出退店は通期純減25を見込んでいるものの、上期で同16と計画超で減少しているほか、足許4Qで感染傾向再度拡大基調にあることから、修正計画の達成も不透明感が漂います。

 

当社は通例、3ヵ年中計(ローリング方式)を公表しており、本来であればこの2022年2月期に売上収益1,520億円、税前利益86億円を目標としてきましたが、新型肺炎禍で棚上げにしています。2018年のIFRS移行を機に大型買収(SSL約59億円、イルナフォリオ約80億円、いっちょう約70億円)を繰り返してきましたが、これらは全て数十億円単位の“のれん”を伴うものであり、減損リスクが燻っています。のれんの残高は230億円あり、減損テストにヒットするハイリスク案件としてKR(かごの屋)が既に名有りとなっており、可及的速やかに財務的手当が望まれる状況でした。

 

一時、自己資本比率は4.2%(IFRS16号非考慮なら7.6%)水準まで低下していたものの、みずほと政投銀を相手先とした永久劣後ローンで150億円を調達し、全額資本認定を受けたほか、昨年7月に先行して実施していた200億円分の新株発行登録を足掛かりに、10月に公募増資に踏み切っています。この増資により約160億円(@722円)の調達に成功したほか、上述の助成金等収入が想定超に膨らんでいることもあり、足許ベースの自己資本比率は既に10%台後半に迄回復しているものとみられ、財務上の懸念点はかなりケアされたと言えそうです。

 

その他の取り組みとしては、翌2023年2月期~を再投資時期に位置づけ、役員報酬削減(創業者の岡本氏は退任)、一時帰休の継続、不採算の居酒屋店舗を中心としたS&Bといったリストラ策にくわえ、傘下のSFPとMD会社を統合してサプライチェーンの最適化を図る方針です。また、昨年7月にはソフトバンク(9984)とDX推進に関する業務提携を行っており、AIによる売上(仕入)予想や、セルフオーダー/会計、RPA導入によるバックオフィス効率化等にも取り組む方針であり、正常化までは当面はこうした“筋トレ”方式による原価低減策が中心となりそうです。

 

*参考記事① 2021-07-02  912円 NT

【3387】クリエイト・レストランツHD/V字回復計画は過大感、永久劣後ローンで財務面は一息。

 

*参考記事② 2020-12-11  605円 NT

【3387】クリエイト・レストランツHD/開示の通期見通しは早くも未達公算か、来期も無配濃厚。

 

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