【7172】ジャパンインベストメントアドバイザー/航空機オペリース依然低調も、為替差益で下支え。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7172】ジャパンインベストメントアドバイザー(東証プライム)  NT

現在値 1,390円/100株 P/E 13.9  P/B 0.97 12月配当優待 6月優待 

航空機リースが柱。航空機エンジン売却・旅客機から貨物機への改造、太陽光発電商品も。
配当は6月末・12月末の年2回・合計32円のため、配当利回りは約2.30%となります。

ジャパンインベストメントアドバイザーは株主優待を導入しており、12月末に単元株を保有する株主に対して、500円分のクオカードと日本証券新聞のデジタル版購読券9,000円分を進呈しておりますので、クオカード分だけを計算した場合の配当優待利回りは約2.66%となります。なお、1年超・2年超・3年超保有で更に優遇があり、クオカードについては進呈額が各1,000円分・3,000円分・5,000円分となるため、その場合の同利回りについてはそれぞれ約3.02%・約4.46%・約5.89%となります。

業績を確認していきます。

■2018年12月期 売上高 152億円、最終利益 51.4億円、EPS 180.0円 

■2019年12月期 売上高 166億円、最終利益 45.5億円、EPS 153.1円 

■2020年12月期 売上高 177億円、最終利益 38.3億円、EPS 128.1円   

■2021年12月期 売上高 141億円、最終利益 29.2億円、EPS 97.0円   

■2022年12月期 売上高 145億円、最終利益 30.0億円、EPS 99.6円 ce  

□2022年3月1Q 売上高 22.5億円、最終利益 18.3億円、EPS 60.7円(4/28)

□2022年6月2Q 売上高 51.9億円、最終利益 8.7億円、EPS 28.9円 ce


2021年12月期の売上高はYoY▲20.3%の141億円、最終利益はYoY▲23.8%の29.2億円となり、減収減益も対予算では過達となりました。主力の航空機オペリース事業については、新型肺炎禍による航空会社需要減で組成案件残高の積み上げが進まず、期初の商品出資金残高は284億円程だったため、連れて販売額も減少しました。他方、航空機に偏重していた商品構成を海上輸送コンテナに振るなど、PF多様化を進め、太陽光や退役航空機部品販売で穴埋めしました。一方、利益面については、為替差益で実に18億円を計上し、結果的に最終利益が仕上がった格好となります。

 

進行期である2022年12月期の予算については、売上高がYoY+2.8%の145億円、最終利益はYoY+2.7%の30.0億円を計画しています。投資家の税金繰延ニーズは根強いものの、航空機オペリース事業の組成残高の積上げ低調(商品出資金期初残高:188億円)で、上期在庫不足により横ばい推移が見込まれます。去る4月30日に公表済の1Qについては、急速な円安による洗替で17億円もの為替差益を計上しており、最終利益の進捗率は61.2%となっているものの、オペリースの組成は底這い&部品販売・太陽光が好調でもトップライン大幅減のため、出来上がりの数字よりも実態は良くないものと解されます。

 

当社は世界経済の成長とそれに伴う航空機期待需要の増加、(世界的な金融緩和による)堅調な企業業績と税金繰延ニーズの高まりを背景に、POを繰り返して資金調達し、高成長を遂げてきました。ただ新型肺炎禍では航空機商品の組成自体が難化しており、中長期目標を「最終利益CAGR2桁/年」にスローダウンされています。目下では非航空機商品であるコンテナや船舶、再エネ(太陽光)に商品群をシフトさせるほか、利益率の低い退役航空機の部品バラ売りである“パーツアウト・コンバージョン”で傷口を塞いでいるような状況です。

 

新たな取組として、Airbus系列会社らとともに機齢を経た旅客機機体を貨物機にコンバートする事業を本格化させています。また、欧州投資銀行からの650百万$の出資枠を受け、同じくAirbusと航空機リースのプールファンドを1,000億円規模で組成するほか、これとは別に大手ファンドと合弁で航空機リースファンドを組成予定としており、数年で5,000億円規模にまで膨らませる方針としています。また、PE事業の投資先拡大も進んでおり、2018年のバンク・オブ・イノベーション(4393)のIPOに続き、昨年末には簿価1,700円で6万株を保有するサイエンスアーツ(4412)のIPOがありました。

 

財務面に関しては、2018年6月に上場来3度目のPOで約140億円(@5,558円)もの巨額調達を済ませていることから、自己資本比率は40.8%弱とリース会社としては異例の高水準を維持しています。他方、株主還元は年32円配当の横引きを予想しています(配当性向は32.1%)。本来的には中期的な配当性向のメドを20%としていますが、財務状況との兼ね合いをみながらの業績連動配当としているため、このような配当水準になっているものと解されます。

 

*参考記事① 2021-05-07 1,603円 NT

【7172】ジャパンインベストメントアドバイザー/1Q高進捗だが、案件組成は引き続き低調に推移。

 

*参考記事② 2020-04-16 672円 OP

【7172】ジャパンインベストメントアドバイザー/まずは“上期偏重”の仕上がり具合を確認したい

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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