【4375】セーフィー(東証グロース) BY
現在値 636円/100株 P/E --.- P/B 2.71 12月配当(無配) 株主優待なし
クラウド録画型映像プラットフォームを開発・運営。パートナー経由でのOEMで6割。
配当基準日は12月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。
業績を確認します。当社は2021年のIPO企業です。
■2019年12月期 売上高 19.5億円、営業利益▲4.8億円 EPS▲11.9円
■2020年12月期 売上高 50.4億円、営業利益▲0.9億円 EPS▲2.2円
■2021年12月期 売上高 84.5億円、営業利益▲1.5億円 EPS▲3.7円
■2022年12月期 売上高 110億円、営業利益▲7.5億円 EPS▲14.3円 ce
□2022年3月1Q 売上高 23.0億円、営業利益▲2.1億円 EPS▲4.2円(5/13)
□2022年6月2Q 売上高 50.0億円、営業利益▲3.0億円 EPS▲3.8円 四e
2021年12月期の売上高はYoY+67.5%の84.6億円、営業利益はYoY+0.4億円の▲0.7億円で着地し、IPO時の業績予想比・11月の修正予想比で上振れました。特定の卸商流域で纏まった台数の解約があったものの、重要指標の課金カメラ台数はYoY+39千台の140千台へと伸長し、結果としてARRはYoY+72.8%の56.7億円となりました(リカーリング比率は55%)。利益については、売上総利益率が+5.0ppt.の40.2%に改善したものの、積極採用による人件費増、広告費増などが響いて営業益は微減益となったほか、churn-rateも2.1%→4.3%に悪化しました。
進行期である2022年12月期の予算については、売上高がYoY+30.1%の110億円、営業利益YoY▲6.0億円の▲7.5億円(※レンジ中央値)と大幅な赤字拡大を予想しています。営業人員の積極採用もあり人件費・広告費が一段増となる公算で、S&Mで10億円・R&Dで7億円ほど収支悪化想定であるものの、認知拡大によりトップラインでは3割の増収を見込みます。5月13日開示済の1Q決算については、人件費による下押しで営業利益▲2.1億円と赤字拡大ながらも、依然として特定卸商流域解約の影響を引き摺ってARRは+61.8%に減速していることから、対予算ビハインドの進捗と解されます。
当社は中期計画等を開示していないものの、向こう3~5年間は年率3割超の成長が目されます。当社の推定TAMについては、①グローバルの監視カメラの台数が約4億台、その内数の②日本国内の潜在ネットワークカメラ台数が2,836万台、更にその内数③内国の監視カメラ台数は660万台であり、目下の当社の導入台数が14.7万台のため、一旦②をターゲットTAMとすれば200倍の成長余地が残されている計算となります。会社側では早期の100万台到達と、2025年12月迄にARRベースで200~250億円達成(CAGR37~45%)を目標としています。
当社の属するクラウド型監視カメラ市場は、モニタリングに専用端末を必要とする従来型のネットワークカメラや、レコーダーに保存する従来型防犯カメラとは一線を画するものであり、当社が市場シェアの47.5%とおよそ過半を握っています。パナソニック「みえますネット」、アクセンチュアやNECなどが販売パートナーとなる「チャオカメラ」や、グローバルではCISCOやgoogleが競合品となるものの、依然当社製品の早退優位性が高いほか、当社はNTT東日本(依存度28%)、オリックス、キャノンMJ、セコム、USEN、関電といった販売パートナーのネームが強いため、営業力においても現状では優位な状況にあります。
課金モデルは初期導入費用で21千円/台、7日間映像保存可能な月額利用料が1.3千円/台、となっており、この月額利用料の積み上げがARRを構成します。現状では飲食、小売、建設業の顧客が多く、今後はメーカーやスマートシティ関連の公共・警備、金融などにサービスを広げる目論見です。当社はNRRよりも台数増を志向しているとみられますが、商品差別化のため単なる監視の枠を超えたAI等を用いた画像解析ソリューションによる高付加価値化が必須と解されます。現状オプティムやイーグリスと研究・開発を進めているものの、結局はNRRの向上こそがchurn-rateの低下、ひいてはARRの堅牢度の上昇につながるため、単なる台数増だけでなく、定性的なR&Dの進捗も今後の中長期てな成長のキーファクターと考えています。
当社は2021年9月に東証マザーズ市場に上場しており、104億円(@1,938円)を調達しており、資金使途については人件費、オフィス拡張費用、広告宣伝費等としています。現状、僅かな借金はあるものの、自己資本比率は90.5%となっています。然しながら、創業来赤字が継続しているほか、累損もあるため、黒字化したとしても最低でも向こう5年程は無配を継続するものと考えられます。
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