【7172】ジャパンインベストメントアドバイザー/まずは“上期偏重”の仕上がり具合を確認したい | なちゅの市川綜合研究所

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【7172】ジャパンインベストメントアドバイザー(マザーズ)  OP

現在値 672円/100株 PER3.2 PBR0.56 12月配当優待 6月優待 

航空機リースが柱。航空機エンジン売却・旅客機から貨物機への改造、太陽光発電商品も。
配当は6月末・12月末の年2回・合計32円のため、配当利回りは約4.76%となります。

ジャパンインベストメントアドバイザーは株主優待を導入しており、12月末に単元株を保有する株主に対して、1,000円分のクオカードと日本証券新聞のデジタル版購読券9,000円分を進呈しておりますので、クオカード分だけを計算した場合の配当優待利回りは約6.25%となります。なお、1年超保有・2年超保有で更に優遇があり、クオカードについては進呈額が各3,000円分・5,000円分となるため、その場合の同利回りについてはそれぞれ約9.22%・約12.20%となります。

業績を確認していきます。
■2016年12月期 売上高 59.1億円、最終利益 13.9億円、EPS 59.1円 
■2017年12月期 売上高 85.6億円、最終利益 27.2億円、EPS  107.1円

■2018年12月期 売上高 152.2億円、最終利益 51.4億円、EPS 180.0円 

■2019年12月期 売上高 166.4億円、最終利益 45.5億円、EPS 153.1円 (2/10)  

■2020年12月期 売上高 223.7億円、最終利益 62.8億円、EPS 211.0円 ce(1/23)  

□2020年6月2Q 売上高 107.6億円、最終利益 30.3億円、EPS 105.0円 ce


2019年12月期の売上高は前期比10.7%増の166億円、最終利益は同9.3%減の45.5億円となり、トップラインのみ辛うじて2桁の伸びを確保したものの、期中2度に渡る減額修正の末、期初計画に対して大幅未達での着地となりました。主力の航空機オペリース事業については、航空会社の旺盛な需要を背景に前期比42.0%増となる3,425億円分の商品を組成し、同14.5%に当たる1,041億円の販売を実行しました。組成が比較的順調だった一方で販売が低迷したのは、需要が旺盛だった前期にかなり前倒しで売ってしまった反動や、期中組成の大型商品の販売遅れにくわえ、ボーイング社のB737Maxの2度の墜落事故やエアバス社の超大型機A380の生産終了による航空業界の混乱とセンチメント悪化が、組成商品の販売に影を落としたもの考えられます。

 

進行期である2020年12月期の予算については、売上高が34.4%増の223億円、最終利益は同37.8%増の62.8億円を計画しています。主力の航空機オペリース事業に関しては、実績期で販売開始の遅れが響いたこともあり、上期に案件を傾斜させる計画となっており、会社側アナウンスによれば本年9末頃までの販売条件までは大よそ固まっている模様(出資金残高は724億円)ですが、新型肺炎影響による世界的な業績後退局面で投資家側の税金繰延ニーズの減退が懸念されます。商品組成に関しては、実績期の持ち越し分を含め相当程度あるものとみられますが、今後は航空会社等のエンド需要家のニーズ減少が想定されるので、今期の組成高は一服が見込まれます。以上から今期予算は上期偏重といえど変数要素が多く、実績期で2度下方修正をしている点も踏まえると、1月23日時点で公表したガイダンスの蓋然性には疑問符が付く状況であり、通期未達を想定しています。

 

当社は世界経済の成長とそれに伴う航空機期待需要の増加、および本邦企業の堅調な業績とそれに伴う税金繰延ニーズの高まりを背景に、公募増資(PO)を短い頻度で繰り返すことで資金調達し、高成長を遂げてきました。中長期的な成長目標として「最終利益CAGR50%/年」を掲げてきましたが、さすがに昨今のコロナ渦の情勢下では需要家・投資家ともに大変厳しい状況のため、同目標値を「最終利益CAGR2桁/年」までトーンダウンさせています。IFRS16号基準(いわゆるリース権の資産化)については、既に同基準を採用している需要家が今更オペリースを排除する理由に乏しいため影響は限定的と考えられますが、逆に投資家サイドについては本邦において税制改正の可能性があるため、依然として大きなリスクを孕んだ状況あると言えそうです。

 

財務面に関しては、2018年6月に上場来3度目となるPOを実施しており、約140億円(@5,558円‼)を調達しています。資金使途は太陽光やバイオマスといった再エネに関する環境エネルギー事業への投資に20億円、退役航空機の部品バラ売りであるパーツアウト・コンバージョン事業の強化に30億円、残額を航空機オペリース事業の匿名出資金の待機資金に充当しました。本件POは当社株価のバリュエーションが最大限に効いた上場来スッ高値圏で実施された“ジャンピングPO”だったため、結果として多額の資金調達に成功しているため、上記中計数値の達成は最早困難であるものの、財務体質の強化には成功しているため、少なくともコロナ渦に耐えられる程度にB/Sが筋肉質になっている点は下支えの材料となりそうです。

 

なお、株主還元については成長モメンタムが鈍化したことを理由に、10円増配して年32円配当を予想しています(配当性向は15.2%)。それでも中期的な配当性向のメドは20%としており、財務状況との兼ね合いをみながらの業績連動配当としているため、この辺の資本政策についてはまずまず妥当なものとして捉えています。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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