【3196】ホットランド/ハイボール店裏目で採算性後退だが、出店好機との見方も。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3196】ホットランド(東証一部)  OP

現在値 987円/100株 PER27.2 PBR2.85 12月配当優待 6月優待 

「築地銀だこ」「COLD STONE CREAMERY」などの直営・FCによる運営。
配当は年5円のため、配当利回りは約0.51%となります。

ホットランドは株主優待を導入しており、6月末・12月末に単元株を保有する株主に対して、1,500円分の株主優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは3.54%となります。

業績を確認していきます。
■2016年12月期 売上高 315億円、経常利益 9.6億円、EPS▲36.0円 
■2017年12月期 売上高 324億円、経常利益 10.7億円、EPS 23.1円

■2018年12月期 売上高 317億円、経常利益 7.4億円、EPS▲36.8円 

■2019年12月期 売上高 324億円、経常利益 16.0億円、EPS 35.1円(2/14)  

■2020年12月期 売上高 338億円、経常利益 19.1億円、EPS 36.2円 ce  

□2020年6月2Q 売上高 166億円、経常利益 8.3億円、EPS 21.9円 四e


2019年12月期の売上高は前期比2.2%増の324億円、経常利益は同2.1倍の16.0億円となり、期初予算を達成して大幅増益となりました。主力の「銀だこ」において、2018年7月から実施した価格改定(30円の値上げ)の通期寄与もあり、上期の上振れ分を下期の台風影響やインバウンド減少でいくらか食い潰したものの、既存店売上高は想定の100%に対して実績100.3%を確保しました。利益面については、原料となるタコの世界的な高騰が一服したほか、前期に実施した不採算店の閉鎖一巡による浮上効果もあり、利益率は大幅に改善しています。なお期初時点の出店計画では、出店54店・退店20店と純増30店超の増加を見込んでいたものの、実績では出店60店・退店34店となり、純増は26店に留まっています。

 

進行期である2020年12月期の予算については、売上高が4.2%増の338億円、経常利益は同19.4%増の19.1億円を計画しています。既存店売上高の想定は100%としており、出店計画については純増ベースで25店と概ね実績期並みを予定しています。原料のタコ価格の高騰が一服したものの、依然高位で推移しているため利益の圧迫が想定されるものの、生産地であるモーリタニアでの現地加工機能強化による直輸入化でコスト削減を図ります。また、出店業態についても「銀だこハイボール酒場」に代表されるアルコール中心の好採算業態の構成比が更に上昇していることで、利益率が改善する見通しです。然しながら、月次が開示されている足許3ヶ月間を確認すると、新型肺炎の影響を受けて既存店売上が水面下まで大きく沈んでいることから、予算は未達となる公算が高そうです。

 

当社は主力の「銀だこ」一本被れとなっていた業態ポートフォリオを分散すべく、「コールドストーン」や「銀のあん」、「Quiche」「THE COFEE BEAN&TEA LEAF」など他業態の開発やライセンス取得、買収を進めてきましたが、期待通りの成果は得られず、「銀だこ」と派生業種の出店にフォーカスし、急速に本業回帰を進めています。足許では好採算の「ハイボール酒場」や「銀だこ大衆酒場」「ギンダコ横丁」といった半居酒屋型業態事業を分社化し、出店の高速化を図っています。但し、従来型の専売店ではなく、アルコールをウリにした業態中心に舵を切ったことが裏目に出ており、たこ焼きそれ自体はテイクアウトに馴染むものの、利幅の大きいハイボール等のアルコールが売れなくなるため、“アフターコロナ”までは採算性が大きく後退することが想定されます。

 

当社はIPO以来となる公募増資を2019年9月に実施しており、約32億円(@1,117円)を調達しています。資金使途は基本的に「ハイボール酒場」などの半居酒屋型業態の出店費用と差入保証金に充てる方針であり、来期にかけて本件調達資金をテコに高速出店していく計画でした。新型肺炎下の状況では、想定通りの出店が出来ないリスクや黒字化まで時間がかかることが想定されますが、当社店舗は駅前の優良立地に出店する傾向が強く、今次ショックで廃業した個人店舗や他社店舗の跡地を積極的に賃借出来る状況であり、約32億円もの巨額な調達を済ませておいたことは中長期的な成長において非常に大きな意味があるものと考えています。

 

なお、株主還元については年5円配当の継続を予定しています。予想配当性向は13.8%に過ぎず、自己資本比率は件のPOにより一気に倍の水準となる40%台にまで急回復をしていますが、上述のとおり出店好機到来との見方も出来ることから、出来るだけ財務は温存してほしいと考えております。

 

*参考記事① 2019-11-29 1,340円 OP

本業回帰で復調気配、初POで成長再加速に期待・ホットランド(3196)。

 

*参考記事② 2019-04-23  1,525円 NT

不採算業態閉鎖一巡で反転か、お好み焼きの併売も・ホットランド(3196)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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