【8591】オリックス/弥生会計売却で最終益3,000億円超へ、配当は年85円+まで増配の公算。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8591】オリックス(東証一部) NT

現在値 2,333円/100株  P/E 9.08 P/B 0.89  3月配当優待 9月配当

総合リース首位。事業多角化、海外展開は業界では突出。MA積極的。
配当は年2回・合計78円のため、配当利回りは約3.43%となります。

オリックスは株主優待制度を実施しており、3月末に単元以上を保有する株主に対して、5,000円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.48%となります。なお、3年以上保有の場合は進呈額が倍になりますので、同利回りは約7.62%となります。また別途、当社施設等でのサービスが受けられる株主優待カードも進呈しています。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 28,627億円、最終利益 3,131億円 EPS 244円 

■2019年3月期 売上高 24,248億円、最終利益 3,237億円 EPS 252円 

■2020年3月期 売上高 22,803億円、最終利益 3,027億円 EPS 237円 

■2021年3月期 売上高 22,927億円、最終利益 1,923億円 EPS 155円

■2022年3月期 売上高 (未定)億円、最終利益 3,100億円 EPS 257円ce修正

■2022年3月期 売上高 25,646億円、最終利益 3,164億円 EPS 262円con

□2021年9月2Q 売上高 12,415億円、最終利益 1,466億円 EPS 121円

□2021年12月3Q 売上高 18,681億円、最終利益 2,113億円 EPS 175円(2/7)


2021年9月期の売上高はYoY+14.5%増の1兆2415億円、最終利益はYoY+56.3%の1,466億円となり、新型肺炎禍後の最高益を確保しました。自動車の好調やセーフィー上場による株式売却益計上があった法人等リース事業が大幅増となったほか、大型物流施設3件の売却にくわえて傘下の大京の好調だった不動産事業も好調に推移し、米国・欧州・アジア豪州など計5つのセグメントでYoYで100億円以上の利益改善を果たしました。他方、関空に代表されるコンセッションや、未稼働機体の多いAvolonなど新型肺炎禍影響事業は依然低調に推移しました。


なお2022年3月期の通期見通しについては、期初よりトップライン未公表であるものの、最終利益のみ3割増益の3,100億円を予想しています。当社が3割持分を有する航空機リースのAvolonについては、足許のウクライナ情勢の緊迫化等もあり通期で低迷する見通しであるものの、ロシア向けエクスポージャーは最大14機に限られ、付保もされています。また、そのほか既存事業も自動車、環境エネルギー、金融などいずれも堅調に推移しているほか、4Qに会計ソフト大手の弥生をKKRに1,632億円で売却予定となっているため、(一部の見込み減損を相殺で織り込んで?)通期の最終利益600億円分を既に上方修正しています。

 

今期は中計の計画期間にはなく、前2021年3月期を終期とするひとつ前の中計では年間純益成長率4~8%、ROE11%、レーティングA格維持を目指してきましたが、2019年10月に取り下げています。次回中計の公表については、本年5月の本決算時とみられますが、早ければ翌2023年3月期に最終利益3,000億円(※注:今期は弥生売却で1,100億円程度カサ上げされている)の奪回とROE11%の達成を念頭に置いているものと考えられるほか、中長期では最終利益4,000~5,000億円水準がターゲットになるとみられます。

 

投資パイプラインについては、現状1兆円程確保しており、直近の2021年7月には欧米で再エネの開発を行うElawan(持分80%)を1,000億円を投じて買収しています。特に再エネについては、既に3GWの発電能力を持ち、このElawanの買収をもってグローバルで10GWもの発電パイプラインを保持する一大事業者に成長しており、当社グループの新たな収益ドライバーに育つことが目されます。

 

米MGMや地元企業とのJVとなる大阪のMICE-IRについては、2021年9月に当社グループが選定されており、延べ1兆円が投資される計画となっています。当社持分は関空等と同様に40%、2,000億円程度の出資が目されており、巡航後の純利益寄与額は年300~500億円程度と試算されますが、どんなに早くても2028年以降のため、現時点で株価に織り込むのは時期尚早の印象です。

 

当社最大の投資論点である株主還元については、現状年78円配当(配当性向は38%)を据え置いており、500億円規模(2.3%)の自社株買いを公表しているため、計算上の予想総還元性向は57%となります。但し、配当については表記がフロアであり、年78円か配当性向33%のいずれか高い方となるため、現時点での予想EPSに当てはめると7円増配の年85円はほぼ確実視され、上振れ具合によっては年80円台後半も十分視野に入るとみられます。

 

*参考記事① 2021-08-16  2,088円 NT

【8591】オリックス/西Elawan買収でグローバル再エネ事業の拡大顕著、夢洲IRも前進へ。

 

*参考記事② 2021-02-03 1,715円 BY

【8591】オリックス/年76円配当は多少上積み余地、翌期以降も自社株買い継続か。

 

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