【8591】オリックス/西Elawan買収でグローバル再エネ事業の拡大顕著、夢洲IRも前進へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8591】オリックス(東証一部) NT

現在値 2,088円/100株  P/E10.1 P/B 0.83  3月配当優待 9月配当

総合リース首位。事業多角化、海外展開は業界では突出。MA積極的。
配当は年2回・合計78円のため、配当利回りは約3.73%となります。

オリックスは株主優待制度を実施しており、3月末に単元以上を保有する株主に対して、5,000円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約6.13%となります。なお、3年以上保有の場合は進呈額が倍になりますので、同利回りは約8.52%となります。また別途、当社施設等でのサービスが受けられる株主優待カードも進呈しています。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 28,627億円、最終利益 3,131億円 EPS 244円 

■2019年3月期 売上高 24,248億円、最終利益 3,237億円 EPS 252円 

■2020年3月期 売上高 22,803億円、最終利益 3,027億円 EPS 237円 

■2021年3月期 売上高 22,927億円、最終利益 1,923億円 EPS 155円

■2022年3月期 売上高 (未定)億円、最終利益 2,500億円 EPS 205円 ce

■2022年3月期 売上高 23,979億円、最終利益 2,640億円 EPS 212円 con

□2021年6月1Q 売上高 6,088億円、最終利益 652億円 EPS 53.6円(8/3)

□2021年9月2Q 売上高 11,300億円、最終利益 1,150億円 EPS 94.5円 四e


2021年3月期の売上高は前期比0.5%増の2兆2927億円、最終利益は同36.4%減の1,923億円となり、中間時点の見通し並みとなったものの、コンセンサス水準を下回りました。新型肺炎禍による利益影響については、関空等コンセッションが▲270億円、発注機キャンセル費が嵩んだAvolonを含む航空機リース事業についても▲330億円と影響が大きくなっています。これ以外にも、ホテル等不動産運営で▲160億円、法人等リース事業で▲70億円となり、全社合計で▲880億円の影響を受けました。また、公表した利益水準を守れる目途が立ったことから、不動産・企業投資による売却益の確保を期末にかけて抑制したものとみられ、結果的に予想通りの着地となりました。


2022年3月期の通期予算はトップライン未公表であるものの、最終利益のみ3割増益の2,500億円を予想しています。新型肺炎禍で足を引っ張っていたAvolonの未稼働航空機の台数が減少しているほか、LCCからの引合いも強く、航空機リースはやや持ち直すとみられます。他方、ホテル・旅館等の回復は遅れる公算であるものの、AUM増によるRobecoの運用フィー増加や旧ハードフォード生命等の堅調な金融・保険関連が下支えします。全社的には実績期の新型肺炎禍影響額▲880億円が最大半分程度まで良化する可能性があるほか、最終的には物流等不動産売却益ないし事業投資売却益で数字を作って埋める方針と考えられます。なお、8月3日に公表済の1Qの進捗率はおよそ25%強と順調な滑り出しが確認されます。

 

当社は終わった2021年3月期を終期とする当初中計において、年間純益成長率4~8%、ROE11%、レーティングA格維持を目指してきましたが途中(2019年10月)にこれらを取り下げており、ROE11%の達成時期も3年後ろ倒しさせています。ただ会社側の直近アナウンスによれば、新型肺炎前の水準である最終利益3,000億円の早期奪回とROE11%は“最重要課題”としており、進行期の着地がある程度上振れることを前提に、早ければ翌2023年3月期にも3,000億円復帰を念頭に置いているものと解されます。また、中長期で4,000~5,000億円を目指すという大方針を引き続き堅持しています。

 

投資パイプラインについては、注力中の再生可能エネルギーにおいて従来の1.6兆円(持分考慮前)を確保するなど、順調な積み上がりをみせています。2020年9月にインドの大手再エネ企業のGreenkoの持分取得に約1,000億円、Boston Capitalの米国低所得者用住宅税控除に約150億円を投じたほか、5G回線機器メーカーのAPRESIA Systems、医薬品の同仁医薬化工、中国飲料水メーカーの農夫山泉等も合わせた全5案件に対し総額で2,000億円を投資実行しています。また直近では本年7月に欧米で再エネの開発を行うElawan(持分80%)を1,000億円を投じて買収を完了しています。特に再エネについては、既に3GWの発電能力を持ち、このElawanの買収をもってグローバルで10GWもの発電パイプラインを保持する一大事業者に成長しており、当社グループの新たな収益ドライバーに育つことが目されます。

 

米MGMや地元企業とのJVとなる大阪のMICE-IRについては、延べ6,500億円(総額1兆円)を投資する計画であり、去る7月20日に大阪府・大阪市に提案書を提出しています。他社応募は無く当社連合で決定する公算が高い状況ですが、新型肺炎禍でカジノオペレーターであるMGMが打撃を受けていることから段階開業となる見通しです。そのため、最短でも2028年以降に見込まれていた収益貢献(巡航後の純利益寄与額は年500億円)も遅れる可能性が高そうです。

 

当社最大の投資論点である株主還元については、年76円配当(配当性向は38%)を据え置くこととしたほか、500億円規模(2.3%)の自社株買いを公表しているため、計算上の予想総還元性向は57%となります。会社側も認識しているとおりROEの改善ピッチが鈍いため、追加の株主還元を実行する可能性が十分あると考えており、既に100億円程度買っている自社株買いの購入枠増額や増配が期待されます。

 

*参考記事① 2021-02-03 1,715円 BY

【8591】オリックス/年76円配当は多少上積み余地、翌期以降も自社株買い継続か。

 

*参考記事② 2020-09-25 1,383円 BY

【8591】オリックス/年間配当「76円+」水準が守られる蓋然性は高まったとみる。

 

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