【8591】オリックス/年76円配当は多少上積み余地、翌期以降も自社株買い継続か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8591】オリックス(東証一部) OP

現在値 1,715円/100株  P/E11.2 P/B0.72  3月配当優待 9月配当

総合リース首位。事業多角化、海外展開は業界では突出。MA積極的。
配当は年2回・合計76円のため、配当利回りは約4.43%となります。

オリックスは株主優待制度を実施しており、3月末に単元以上を保有する株主に対して、5,000円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約7.34%となります。なお、3年以上保有の場合は進呈額が倍になりますので、同利回りは約10.2%となります。また別途、当社施設等でのサービスが受けられる株主優待カードも進呈しています。

業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 26,786億円、最終利益 2,732億円 EPS 208円 

■2018年3月期 売上高 28,627億円、最終利益 3,131億円 EPS 244円 

■2019年3月期 売上高 24,248億円、最終利益 3,237億円 EPS 252円 

■2020年3月期 売上高 22,803億円、最終利益 3,027億円 EPS 237円 

■2021年3月期 売上高 (未定)億円、最終利益 1,900億円 EPS 152円 ce修正

■2021年3月期 売上高 21,578億円、最終利益 2,015億円 EPS 161円 con

□2020年9月2Q 売上高 10,847億円、最終利益 938億円 EPS 75.2円(11/2)


2020年9月中間期の売上高は前年同期比4.5%減の1兆847億円、最終利益は同41.0%減の938億円となり、大幅減益かつ期初予算との比較は無いものの、コンセンサス水準で進捗したものとみられます。新型肺炎禍による利益影響については、関空等コンセッション、ホテル、Avolon等航空機リース事業が色濃く出ており、持分で4割を取り込む関空が▲90億円(1Qのみ)となったほか、発注機キャンセル費が嵩んだAvolonについても▲170億円となっています。これ以外にも、ホテル等不動産運営で▲90億円、法人等リース業で▲70億円となり、上期の全社合計で▲510億円の影響を受けました。なお、前年上期にはオリックス・リビングや、フーリハン売却による一過性利益もあったため、見かけの最終利益は一層屈んだ格好となります。


2021年3月期の通期見通しについては、中間時点で開示に踏み切っており、最終利益については前期比37.2%減の1,900億円を見込んでいるものの、新型肺炎禍が3Qまでに正常化した場合は1,800~2,000億円、4Qまでの場合は800~1,200億円という見解も併せて公表しています。3Q期間は「go to」恩恵により、ホテル等不動産運営、コンセッション、レンタカーの各事業が持ち直したものの、足許4Q期間は低調推移とみられます。30%の持分を握る航空機リースのAvolonについても、現状ではレッシーからの支払がなされていることや鑑定額が落ちていないことを理由に、現状では減損不要という整理がなされているものの、当社出資額2,500億円の一部が減損判定を受ける可能性が残ります。そのため、表記の会社予想額の達成には不透明感が残るものの、基本的な考え方としては最終的に一過性売却益で辻褄を合わせていくものとみられます。

 

当社は2019年10月に中期的方針を変更しており、従来は2021年3月期までの年間純益成長率4~8%、ROE11%、健全性基準としてレーティングA格の維持を目標に据えていましたが、大型投資案件への注力や景気の後退を理由に、年間純益成長率目標を取り下げています。また、ROE11%の達成時期も3年後ろ倒したほか、レーティングA格の維持も努力目標に変更しています。ただ現時点における純利益目標としては、2023~2024年3月期に3,000億円、中長期で4,000~5,000億円を目指すという大方針を引き続き維持しています。

 

現状の投資パイプラインについては、従来の1.3兆円から1.5兆円にまで積み上がっています。新型肺炎禍ではあるものの、昨年9月にインドの大手再エネ企業のGreenkoの持分取得に約1,000億円、Boston Capitalの米国低所得者用住宅税控除に約150億円を投じたほか、5G回線機器メーカーのAPRESIA Systems、医薬品の同仁医薬化工、中国飲料水メーカーの農夫山泉等も合わせた全5案件に対し総額で2,000億円を投資実行しています。

 

なお米MGMや地元企業とのJVとなる大阪のMICE-IRへ延べ6,500億円を突っ込む計画であり、現状では当社連合の一社入札となっているため案件としては取れる公算が高い状況ものの、新型肺炎禍で大阪府による開業計画がズルズル延期されているため最短でも2028年以降の収益貢献となる見通しです(巡航後の純利益貢献額は年500億円見込み)。

 

そして当社最大の投資論点である株主還元については、今期に限り配当性向を50%を適用するため、計算上は最終利益1,900億円程で年76円配当の据置が見込まれていましたが、予定どおり期末41円配当(年76円)が開示されました。また同時に、前期未消化の自社株買い残高442億円(2.8%)を改めて買い入れる旨を明らかにしているため、配当性向50%を適用するのであれば、2円増配の年78円水準までは届くこととなります。会社側では目下のROE6.3%に危機意識を抱いており、来期以降の更なる自社株買いにも強い意欲を示しているため、特別の資金需要が発生する大型投資案件等の具体化がなければ、引き続き高水準の株主還元が続くとみられます。

 

*参考記事① 2020-09-25 1,383円 BY

【8591】オリックス/年間配当「76円+」水準が守られる蓋然性は高まったとみる。

 

*参考記事② 2020-02-18  1,913円 BY

【8591】オリックス/MICE-IR注力で事実上の中計取り下げも、株主還元は一層充実か。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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