【9832】オートバックスセブン/車利用増加と厳冬特需で上振れ圏、焦点は未実施の自社株買い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9832】オートバックスセブン(東証一部)  OP

現在値 1,409円 P/E 20.4  P/B 0.92 3月配当優待 9月配当優待

自動車用品の国内最大手。「オートバックス」中心に全国展開、海外も。
配当金は3月末・9月末合計60円のため、配当利回りは4.26%となります。

オートバックスセブンは株主優待制度を実施しており、単元株以上を1年以上保有する3月末・9月末株主に対して、年2回1,000円相当の商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.67%となります。なお、3単元を3年以上保有する場合が一番利回りが高く、同8.04%となります。

業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 2,040億円、営業利益 58.2億円 EPS 36.0円 

■2018年3月期 売上高 2,116億円、営業利益 72.8億円 EPS 65.5円
■2019年3月期 売上高 2,138億円、営業利益 74.7億円 EPS 66.6円
■2020年3月期 売上高 2,214億円、営業利益 75.8億円 EPS 47.1円
■2021年3月期 売上高 2,238億円、営業利益 76.0億円 EPS 68.8円 ce

□2020年9月2Q 売上高 997億円、営業利益 35.8億円 EPS 29.6円

□2020年12月3Q 売上高 1,714億円、営業利益 104.6億円 EPS 92.3円(1/29)

2020年9月中間期の売上高は前年同期比10.2%減の997億円、営業利益は同19.4%減の35.8億円で進捗し、公表予算との比較は無いものの減収減益となりました。主力の国内オートバックス(AB)事業については、緊急事態宣言前後の1Q(4-6月)3か月間の月次売上高は89.4%と低調に推移した一方、車の利用頻度上昇を背景に、洗車用品や罰則強化によりドライブレコーダー類が伸長し、2Q(7-9)期間については消費増税前仮需反動の9月を除いて前年同月比プラス圏まで急速に持ち直しています。せ予算前提の既存店の売上高前提は上期89.3%に対し、実績89.9%で概ねインラインとなりましたが、FC加盟店に対する支援策として、販促費を一部本部に寄せたりしている影響もあり、採算性が悪化して利益の落ち幅の方が大きくなりました。

2021年3月期通期予算については期初のものを据え置いており、売上高は前期比1.1%増の2,238億円、営業利益は0.2%増の76.0億円と微増ながらも増収増益を予想しております。AB事業における既存店売上高の下期前提は上期上振れを織り込み109.8%でセットし直していますが、既に開示がなされている3Q(10-12)期間については114.3%と上振れして推移しています。これは年末の寒波到来により、冬タイヤやチェーンの需要が増加したことが主要因であり、2019年末の暖冬反動増をある程度見込んだ増収予算を上回るピッチで進捗しています。なお、1月29日に開示済の3Qによれば、売上高は前年同期比2.9%減の1,714億円、営業利益は同18.0%増の104億円で進捗しており、既に通期予算を超過しています。


当社は2024年3月期を最終年度とする中計「5ヵ年ローリングプラン」を策定しており、今期はその2年度目にあたります。ただ5年経過後の業績目標値のゴールは設定しておらず、単年都度予想となっており、唯一定めている数値指標は5年間累計の総還元性向を100%することのみとなります。定性取組方針としては、①国内AB事業効率化、②小売収益拡大、③実験業態見直し、④海外小売事業縮小、⑤IT・物流基盤再構築、の5点が掲げられていますが、やや漠然としています。

 

具体的に進捗があったのは⑤のIT・物流基盤再構築であり、昨年10月にABの新アプリをリリースしたほか、累計DLは140万件かつ上期のオイル交換のWEB予約は+50%となるなど、ある程度アクティベートな顧客の囲い込みに成功しているとみられます。出退店は国内外ともに純増ネットゼロ圏のため出店によるオーガニックな成長は望めず、それ以外の成長施策はMAとなっています。ただ一昨年5月に正和自動車販売、昨年5月に高森自動車整備工場をそれぞれ子会社化していますが、いずれも周辺領域の小粒案件となっているほか、昨年はタイ王国の子会社の持分を減らして連結外としたり、その2か月後には少数株主から持分を買い直して改めて持分法適用とし直したりとちぐはぐな動きもあり、MA等の資本政策を成長ドライバーとするには心許ない印象です。

財務状況については、長短合わせて80億円程ある借金をネットしてなお250億円程の現金がダブついているような状況であり、盤石の状況といえます。そのため、当社の投資論点はあくまで株主還元策にあると考えており、配当予想である年60円の蓋然性は元より、5年中計記載の「総還元性向100%」が守られるのであれば、今期についても自社株買いがなされるべきであり、着地の上振れを前提に20億円規模が期待されるところではあります。

 

*参考記事① 2020-07-27 1,352円 NT

【9832】オートバックスセブン/前年並み想定の会社予算は過大も、総還元性向100%は堅持か。

 

*参考記事② 2017-01-18 1,758円 NT

業績ジリ貧で社長交代も、高水準の株主還元に期待・オートバックスセブン(9832)。

 

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