【3252】日本商業開発/決算期変更による期ズレで、とりあえず来期業績までは確保。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3252】日本商業開発(東証一部) BY

現在値 1,711円/100株  P/E NA  P/B1.29  3月配当株主優待 9月株主優待

スーパーなどテナントの商業施設建設を前提に底地取得、売却益を狙う。私募REITも。
配当金(12ヶ月実績ベース)は3月末の一括の55円で、配当利回りは約3.21%となります。

 

日本商業開発は株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に3単元以上を保有する株主に対して、3,000円分のジェフグルメカードを進呈しておりますので、3単元保有時における配当優待利回り(12ヶ月実績ベース)は約4.38%となります。
 

業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 266億円、経常利益 51.8億円 EPS 366.8円

■2018年3月期 売上高 312億円、経常利益 30.4億円 EPS 109.6円 

■2019年3月期 売上高 398億円、経常利益 43.2億円 EPS 149.3円 

■2020年3月期 売上高 741億円、経常利益 46.0億円 EPS 174.9円 

■2021年12月変 売上高 298億円、経常利益 19.0億円 EPS 79.3円 ce 9M変則

□2020年9月中 売上高 184億円、経常利益 14.5億円 EPS 65.4円(11/12)

2020年9月中間期の売上高は前年同期比15.3%増の184億円、経常利益は同2.6倍の14.5億円となり、期初予想との比較は無いものの増収増益で進捗しました。新型肺炎禍でも生活密着型商業施設の多い当社物件については賃料減額は発生せず、傘下の私募REITに対する物件拠出こそ無かったものの、新規の事業会社への売却が順調に進みました。なお仕入については、ケネディクス商業REIT(3453)からケーズデンキ新守山店底地(1,660坪)を15億円強で購入するなどしたものの、仕入予算には届かなかったとみられます。


当社はこのたび決算期を3月期から12月期へと変更することを明らかにしており、変則9ヶ月決算となる2020年12月期の売上高は298億円、経常利益は19.0億円を新たな予想値としています。これは通常傘下REITの増資・物件取得時期が当社4Q期間に該当し、3Qまでの進捗が“闇鍋状態”となるため、その業績偏重性を是正するための変更となります。なお2021年1月実行の増資分については、昨年12月時点で契約を締結しており、全11物件/合計125億円(最大物件はライフ川崎大島/1,417坪、47.5億円)の売却が内定しています。本来であれば今期業績となる筈のこの数字も翌期送りとなりました。

 

当社は新型肺炎前の2018年10月から「早期売却、有利子負債削減」を優先取組事項として掲げ、KPIである棚卸資産残高については、この1年で695億円→434億円へ削減させるとともに、連れて有利子負債残高も737億円→464億円まで大幅に削減することに成功しました。相変わらず中長期的な業績目標を開示していないものの、基本的には傘下の私募REITの成長ドライバーの中心であり、本邦のイールドが低金利のままで潰され、機関及び年金等資金による私募REIT市場への資金流入が継続していることから引き続き良好な事業環境の継続が期待されます。

 

傘下REITは昨年1月に外部取得物件を含め300億円の物件取得をこなしているほか、本年1月にも23物件・259億円(うち当社売却分は125億円)の取得を完了したため、「5年でAUM1,000億円」の目標を達成し、現時点でのAUMは1,090億円となり成長が著しい状況です。同REITは物件利回り4%、分配金利回り4%ながらLTVが30%程度とみられるほか、エンドテナントの契約残存期間が20年(同解約不可期間11年)もあるため、安定的な運用が期待できるほか、スポンサーである当社同様に財務に余裕があり、依然取得余力も多く残る印象です。

 

特に当社取扱物件は新型肺炎の影響を受けにくいスーパーやドラッグストアといった地域密着型の商業施設が中心であり、減賃要請を受けにくいことにくわえ、そもそも建物比で賃料比率の低い底地料なので賃料収入の下方圧力がかかりずらく、安定的に推移するものとみられます。然しながら、ロードサイドの商業底地物件はその安定性が評価されているがゆえにCAPレートが潰されているような状況にあり、仕入が想定以下とみられるため、決算期変更で送った物件のある翌期はともかく、翌々期の2022年12月期の成長ビジビリティが低い点が割引要素となります。

 

財務状況については、既述のとおり有利子負債の大幅削減を進めたことから、自己資本比率は21.7%→32.7%へと劇的に回復させることに成功しています。今後は手許現金の活用により、収益物件をブックで保有して賃貸事業を拡大させる意図があるようですので、株主還元については現行の配当性向31%水準(今回に限り変則年25円配)が当面据え置かれるものと考えています。

 

*参考記事① 2020-07-21 1,509円 BY

【3252】日本商業開発/早期売却進み、財務余力大きい。仕入好機が到来。

 

*参考記事② 2020-01-31  1,679円 OP

【3252】日本商業開発/傘下の私募REITが急拡大、来期も安泰か。

 

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