【3252】日本商業開発/早期売却進み、財務余力大きい。仕入好機が到来。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3252】日本商業開発(東証一部) BY

現在値 1,509円/100株 PER8.6 PBR1.16 3月配当株主優待 9月株主優待

スーパーなどテナントの商業施設建設を前提に底地取得、売却益を狙う。私募REITも。
配当金は3月末一括の55円で、配当利回りは約3.64%となります。

 

日本商業開発は株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に3単元以上を保有する株主に対して、3,000円分のジェフグルメカードを進呈しておりますので、3単元保有時における配当優待利回りは約4.97%となります。
 

業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 266億円、経常利益 51.8億円 EPS 366.8円

■2018年3月期 売上高 312億円、経常利益 30.4億円 EPS 109.6円 

■2019年3月期 売上高 398億円、経常利益 43.2億円 EPS 149.3円 

■2020年3月期 売上高 741億円、経常利益 46.0億円 EPS 174.9円 

■2021年3月期 売上高 750億円、経常利益 46.0億円 EPS 175.8円 ce

□2020年9月中 売上高 315億円、経常利益 14.5億円 EPS 71.1円 四e

2020年3月期の売上高は前期比86.1%増の741億円、経常利益は同6.3%増の46.0億円となり、中間時点の増額修正予算水準での着地となりました。傘下の私募REITに対する物件拠出は合計260億円となり、バロー牟呂店(6,500坪)、TAA関東会場新港ヤード(5,100坪)など17物件を1月10日付で売却しています。このほか、北新宿商業地400坪弱をディスカウントスーパーのオーケーに売却したほか、SMFLみらいに京都土地2件・岐阜土地1件、みずほリース系にも博多祇園町土地を売却しており、ウェアハウジングでも数字を積み上げたものとみられます。なお、仕入については、座間HC(1300坪)、北綾瀬家電商業(1,400坪)、岐阜家電商業(3,200坪)、藤沢家電商業(2,220坪)等を仕入れています。


進行期である2021年3月期の予算は開示されており、売上高は1.1%増の750億円、経常利益は変わらずの46.0億円を計画しています。傘下REITが順調に資産規模を拡大しているため、今期も増資による資産取得(当社にとっては売却)が見込まれます。当社が取り扱う商業物件は新型肺炎の影響を受けにくいスーパーやドラッグストアといった地域密着型の商業施設が中心であり、減賃要請を受けにくいことにくわえ、そもそも建物比で賃料比率の低い底地料なので賃料収入の下方圧力がかかりずらく、安定的に推移するものとみられます。その一方、仕入れについては商業物件の売り物が増えていることから、要求CAPレートが0.5%~1.0%増加する可能性を秘めており、好条件で棚卸資産の積み上がりが期待されます。

 

当社は金融環境の変化をいち早く嗅ぎ取り、新型肺炎が深刻化する前の昨年10月より「早期売却、有利子負債削減」を優先取組事項として掲げ、KPIである棚卸資産残高については、この1年で695億円→434億円へ削減させるとともに、連れて有利子負債残高も737億円→465億円まで大幅に削減することに成功しました。相変わらず中長期的な業績目標を開示していませんが、基本的には傘下の私募REITの成長が中心であり、本邦のイールドが低金利のままで潰され、機関及び年金等資金による私募REIT市場への資金流入が継続していることから引き続き良好な事業環境が継続しています。

 

傘下REITは今年1月に外部取得物件(約40億円)を含め300億円の物件取得をこなしているほか、今期は当社パイプライン物件を中心に23物件・260億円の取得を検討しているため、「5年でAUM1,000億円」の目標が完全に射程圏に入りました。物件利回り4%、分配金利回り4%ながらLTVが30%に過ぎないほか、エンドテナントの契約残存期間が20年(同解約不可期間11年)もあるため、安定的な運用が期待できるほか、スポンサーである当社同様に財務に余裕がある印象であり、アップサイドが大きい印象です。また当社としても、SMFLみらいパートナーズやみずほリース系のエムエル・エステートと昨年包括売買契約を締結しており、REITのウェアハウジングにより業績コントロールがし易くなっている点もポイントと言えます。

 

財務状況については、既述のとおり有利子負債の大幅削減を進めたことから、自己資本比率は21.7%→31.8%へと劇的に回復させることに成功しています。かような背景から、配当金についても年55円配を維持することを期初より公表していますが、前回PO時株価を大きく割り込んでいる状況でPOが難しい事情もあるため、増配については望み薄かと思われます。

 

*参考記事① 2020-01-31  1,679円 OP

【3252】日本商業開発/傘下の私募REITが急拡大、来期も安泰か。

 

*参考記事② 2019-08-01 1,518円 OP

私募REIT活況で、来期までは安泰か・日本商業開発(3252)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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