私募REIT活況で、来期までは安泰か・日本商業開発(3252)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3252】日本商業開発(東証一部) OP

現在値 1,518円/100株 PER10.1 PBR1.27 3月配当株主優待 9月株主優待

スーパーなどテナントの商業施設建設を前提に底地取得、売却益を狙う。私募REITも。
配当金は3月末一括の55円で、配当利回りは約3.62%となります。

 

日本商業開発は株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に3単元以上を保有する株主

に対して、3,000円分のジェフグルメカードを進呈しておりますので、3単元保有時における

配当優待利回りは約4.94%となります。
 

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 173億円、経常利益 56.2億円 EPS 209.0円
■2017年3月期 売上高 266億円、経常利益 51.8億円 EPS 366.8円

■2018年3月期 売上高 312億円、経常利益 30.4億円 EPS 109.6円 

■2019年3月期 売上高 398億円、経常利益 43.2億円 EPS 149.3円 

■2020年3月期 売上高 500億円、経常利益 40.0億円 EPS 150.1円 ce

□2019年9月中 売上高 160億円、経常利益 10.5億円 EPS 38.8円 四e

2019年3月期の売上高は前期比27.4%増の398億円、経常利益は同42.4%増の43.2億円で

着地し、期初予算を上回って大幅な増収増益となりました。神戸ポートアイランド(7600坪)、

博多祇園式場(500坪弱)、南青山(200坪弱)を売却したほか、傘下の私募REITに対して、

1月11日付で総額153億円の物件拠出を実行しており、岡崎商業(4,000坪)、八王子商業

(1,500坪)、岐阜商業(3,000坪弱)をはじめとする底地計11物件の売却に成功しています。

棚卸資産の仕入も順調に進捗しており、上期に大阪日本橋(290坪)、大阪淡路(2,000坪)、

さくら夙川(930坪)を仕入れたほか、下期にも浜松商業(1,080坪)、下関商業(3,220坪)等、

既販売分をネットしてなお280億円分もの在庫を一気に積み上げています。


進行期である2020年3月期の予算については、売上高が25.5%増の500億円、経常利益

は7.6%減となる40億円を予想しています。今期の傘下の私募REITに対する物件拠出は、

前回の増資で150億円強こなしたことを踏まえると、およそ200億円程度が見込まれます。

既述のとおり、実績期でかなり強力に仕入を推進したこともあり、仕入期初の棚卸資産が

ヒストリカルで売上高と比較した場合、高水準で積み上がっていることから、在庫に不足

が無い状況である一方、需要側である私募REIT市場は目下活況を呈しており、利回りが

どんどん潰されていることから、今期も高確率で増資(当社は物件売却)が期待出来ます。

 

KPIである棚卸資産残高については、1年間で410億円→695億円へ積み増しているほか、

優先交渉ベースでは570→880億円を確保しています。国内物件以外では、LAで転売用

のスターバックス店舗やシカゴのレストランを仕入れるなど、案件規模は小さいながらも

複数の海外案件の取得が確認出来ます。当社は中長期的な業績目標を開示していま

せんが、基本的には傘下の私募REITの成長が中心であり、本邦のイールドが低金利の

ままで潰され、機関及び年金資金による公募REIT及び私募REIT市場への資金流入が

継続しているため、翌2021年3月期に目論んでいるとみられる300億円規模の物件拠出

についても、以前よりかなり蓋然性が高くなってきたと思われます。また、拠出する物件

の利回りも低くて済むようであれば更にアップサイドが期待されるから、順調にいけば

2021年3月期の予想経常利益は「55~60億円」が視野に入ってくるものと考えています。

 

なお財務については、順調な仕入れにともなって自己資本比率が30.2→21.7%へと強烈

に悪化しています。足許の株価水準は、2014年に47億円を調達した時の公募価格である

@2,352円を大きく下回っているため、公募増資は現実的ではなく、手金とデットで物件の

取得を進める形となります。傘下REITの増資時期は年明け頃が予想されるため、当分は

傷んだ財務状況のまま突っ走るものとみられますが、企業規模の拡大による信用力増強

と(傘下REITの投資主も多く含まれる)金融機関群のバンクフォーメーションの拡大により、

大口借入枠とコミラインを十分に確保しているため、当座はしのげるものと判断します。

 

なお、配当金についてはかような財務状況のため、年55円配を維持する方針です。既に

不動産事業会社としてはかなりレバレッジが効かせてしまっている状況なので、自己資本

の積み上げを優先すべきであり、今期の予算通りの増益が作れたとしても、必要に応じ

減配するのも妥当な財務戦略の範囲であるかと考えています。

 

*参考記事① 2019-01-17  1,496円 OP

私募REITへの拠出完了で今期は鉄板、来期の2桁成長復帰に期待・日本商業開発(3252)。

 

*参考記事② 2018-09-27 1,835円 OP

1Qに案件集中で、今期業績は早くも鉄板の見通し・日本商業開発(3252)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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