【9640】セゾン情報システムズ/社運占う次世代HULFTがローンチ間近、増配で還元高水準。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9640】 セゾン情報システムズ(東証JQS) OP

 

現在値 1,930円/100株  P/E15.6 P/B2.31  3月・9月配当 株主優待なし

セゾン系。システム開発、情報処理手掛ける。ファイル転送ミドルウェア「HULFT」が収益源。


配当は3月末・9月末の年2回、合計円90円配当のため、配当利回りは約4.60%となります。
セゾン情報システムズは株主優待制度を実施しておりません。

業績を確認していきます。 

■2018年3月期 売上高 303億円 営業利益 43.6億円 EPS 266円

■2019年3月期 売上高 236億円 営業利益 23.2億円 EPS 125円

■2020年3月期 売上高 235億円 営業利益 34.4億円 EPS 67円 

■2021年3月期 売上高 225億円 営業利益 29.8億円 EPS 151円 

■2022年3月期 売上高 230億円 営業利益 25.0億円 EPS 123円 ce

□2021年6月1Q 売上高 52.9億円 営業利益 3.1億円 EPS 14円
□2021年9月2Q 売上高 110億円 営業利益 7.0億円 EPS 34円

2021年3月期の売上高は前期比4.5%減の225億円、営業利益は同13.3%減の29.8億円となり、期初予想を上回って3Q時点の修正予算並みとなりました。クレジットカードのシステム・インフラを手掛けるフィナンシャルIT事業については、クラウド化やRPA支援等の業務効率化のためのDXが進展したものの、既存運用が減少したほか、ファイル連携ミドルウェアのHULFT事業についても「HULFT」の累計出荷本数が前期末比8,000本増の221,900本まで増加したものの、OS更新特需剥落で反落しています。また、有力SaaS連携サービスのリンケージ事業は受注が増加したものの、人件費の先行投下が多くセグメント損失となったほか、流通ITサービス事業も顧客投資の投資意欲後退で大幅な減収減益となりました。


進行中の2022年3月期通期の予算については、売上高が前期比2.2%増の230億円、営業利益は同16.4%増の25.0億円を予想しています。フィナンシャルIT事業と流通ITサービス事業において、DX等の事業モデル転換を推進しているため減収の継続が見込まれるものの、好採算のHULFT事業やリンケージ事業についてはDX化潮流により堅調な積み上げが見込まれます。実際、期初の全社受注残は1年前比で3.8億円減の14.0億円となっており、前者2事業が受注減、後者2事業が受注増となっています。なお、7月30日に開示済の1Qについては、売上高が52.9億円&営業利益3.1億円と低進捗であるものの、下期偏重予算を鑑みれば、インラインと解されます。

 

終わった期は3年中計の最終年度であり、当初計画値で売上高303億円→270億円、営業利益43億円→40億円へそもそも減収減益となる中計を立てていましたが、表記計画幅以上の減収減益となり、業績面では大きく後退した3年間となりました。これはIoTやAI、ブロックチェーン等の新規領域、いわゆる“新規三象限”分野を活用したサービスが売上高72.3億円(構成比32.2%)と想定通りに伸長した一方、新型肺炎禍の影響を受けた流通系顧客の既存分野への投資抑制、好採算であるHULFT事業の海外展開の遅れ、高水準に膨らんだ研究開発費が全社利益水準を大きく押し下げたことが要因となります。

 

業績が後退している一方、定性的な業容シフトは進んでおり、注力分野である“新規三象限”に位置付けられるリンケージ事業において、SAP/CONCURとの新規連携や、次世代クラウド型HULFTサービスである「HULFT Square」によるAzureやAWS、BLACKLINE等との連携プラットフォーム化を推進しており、今秋にもサービスローンチ予定となっています。特に「HULFT Square」については別途9億円を投じて単独事業会社として切り出す方針としており、将来的には中核事業会社としてワールドワイドで年商100億円を目指す目論見(当社HULFTはMFT/ファイル転送市場では世界シェア3位)としています。そのため、今年はこの肝入りの新サービスのローンチの成否が最大の注目点と言えます。

 

かような状況のため、新中計開示までの投資論点は株主還元と考えています。2020年3月期より「DOE10%」「自己資本比率50%~70%」「TSR(対同業種比較した上での配当込トータルリターン)重視」といった還元ポリシーを公表しており、従来基準の「配当性向30%」との比較では大きく踏み込んだ内容となっています。実際の配当は年45円から85円へ大増配していたものの、足許では更に5円積み増し年90円としています。旧村上ファンドであるエフィッシモが大株主(27.5%)として居座り続けているせいでもありますが、DOEを配当基準に採用している以上、当面は高配当を継続する公算が高そうです。

 

*参考記事① 2021-01-28 1,958円 OP

【9640】セゾン情報システムズ/業績踊り場だが、注目の次世代HULFTは10月ローンチ予定。

 

*参考記事② 2020-01-28 2,274円 OP

【9640】セゾン情報システムズ/HULFT躍進、DOE10%基準で大増配の先には。

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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