【9640】セゾン情報システムズ/業績踊り場だが、注目の次世代HULFTは10月ローンチ予定。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9640】 セゾン情報システムズ(東証JQS) OP

 

現在値 2,230円/100株  P/E15.0  P/B2.69  3月・9月配当 株主優待なし

セゾン系。システム開発、情報処理手掛ける。ファイル転送ミドルウェア「HULFT」が収益源。


配当は3月末・9月末の年2回、合計円85円配当のため、配当利回りは約3.81%となります。
セゾン情報システムズは株主優待制度を実施しておりません。

業績を確認していきます。 
■2017年3月期 売上高 310億円 営業利益 33.5億円 EPS 146円

■2018年3月期 売上高 303億円 営業利益 43.6億円 EPS 266円

■2019年3月期 売上高 236億円 営業利益 23.2億円 EPS 125円

■2020年3月期 売上高 235億円 営業利益 34.4億円 EPS 67円 

■2021年3月期 売上高 225億円 営業利益 30.0億円 EPS 148円 ce修正

□2020年9月2Q 売上高 111億円 営業利益 16.6億円 EPS 83円
□2020年12月3Q 売上高 168億円 営業利益 24.2億円 EPS 121円(1/29)

2020年9月中間期の売上高は前年同期比2.5%減の111億円、営業利益は同7.3%増の16.6億円となり、期初予想を上回りました。クレジットカードのシステム・インフラを手掛けるフィナンシャルIT事業については、クラウド化やRPA支援等の業務効率化のためのDX関連受注が増加しました。また、ファイル連携ミドルウェアのHULFT事業については、「HULFT」の累計出荷本数が前期末比3,700本増の217,600本まで増加したほか、連携ツールの「DataSpider」についてもライセンス販売が好調に推移しました。一方、有力SaaS連携サービスのリンケージ事業は、基礎構築部分での受注が増加したものの、人件費の先行投下が多くセグメント損失となりました。


進行中の2021年3月期通期の見通しについては3Q時点で増額しており、売上高が前期比4.5%減の225億円(期予:220億円)、営業利益は同7.2%増の30.0億円(期予:25.0億円)を予想しています。フィナンシャルIT事業において、クラウド化のためのインフラ構築や拠点間ネットワーク構築等の受注が拡大しているほか、HULFT事業の堅調な推移が見込まれます。1月29日に既に3Qが開示されており、売上高は前年同期比2.7%減の168億円、営業利益は同6.1%増の24.2億円で推移しており、全社ベースでイベント・商談のオンライン化や各種生産性向上施策の寄与もあるため、増額後予算も上振れ着地する公算が高いとみられます。

 

今期は3年中計の最終年度となっており、当初の計画値は売上高303億円→270億円、営業利益43億円→40億円と減額を見込んでいました。ところが前期初時点で表記目標額を売上高255億円、営業利益30億円まで更にしゃがんでおり、実際のところ足許実勢ベースの今期着地予想と同水準となっています。これはフィナンシャルIT事業において見込んでいたIoTやAI、ブロックチェーン等の新規領域、いわゆる“新規三象限”分野を活用したサービスが、大得意先のクレディセゾンや同社のプロセッシング子会社のキュービタスに思うように売り込めていないこと、利益源のHULFT事業の海外展開が想定以下で推移していることが主な要因です。

 

ただ定量目標についてはマイナス成長が確定的な情勢ですが、定性的にみれば業容シフトが進んでいます。注力分野である“新規三象限”に位置付けられるリンケージ事業において、SAP/CONCURの新規連携や、次世代クラウド型HULFTサービスである「NH2024PF」によるAzureやAWS、BLACKLINE等との連携プラットフォーム化を推進しており(※今年10月ローンチ予定)、当面は投資先行になるとみられるものの、中長期的には成長ドライバーとなり得るものと考えています。

 

そのため業績的には踊り場の時期を迎えていることから、当面の当社への投資論点は株主還元にあると考えております。前期より「DOE10%」「自己資本比率50%~70%」「TSR(対同業種比較した上での配当込トータルリターン)重視」といった還元ポリシーを公表しており、従来基準の「配当性向30%」との比較では大きく踏み込んだ内容になっています。実際に配当額は従来の年45円から85円へ大増配しており、今期も85円の据置を予定しているものの、業績は上振れペースで推移していることから、期末の減損なかりせば年90~95円までは増配可能性が想定されるほか、50周年記念配による上乗せも考えられます。

 

*参考記事① 2020-01-28 2,274円 OP

【9640】セゾン情報システムズ/HULFT躍進、DOE10%基準で大増配の先には。

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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