【3199】綿半ホールディングス/小売反動減と建設低調だが、M&Aののれん償却は高水準で進捗。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3199】綿半ホールディングス(東証一部)  NT

現在値 1,304円  P/E 12.3  P/B 1.38 3月配当 9月株主優待

長野県地盤のホームセンター(HC)と建設事業がニ本柱。
配当金は3月一括の21円配当のため、配当利回りは1.61%となります。

綿半ホールディングスは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する9月末株主に対して、2,000円相当の長野県特産品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.14%となります(※権利確定半年前までに株主名簿確認あり)。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 1,023億円、経常利益 25.0億円 EPS 75.2円

■2019年3月期 売上高 1,064億円、経常利益 25.0億円 EPS 81.8円
■2020年3月期 売上高 1,201億円、経常利益 28.1億円 EPS 76.9円
■2021年3月期 売上高 1,147億円、経常利益 35.2億円 EPS 96.5円 

■2022年3月期 売上高 1,200億円、経常利益 35.5億円 EPS 105.9円 ce
□2021年6月2Q 売上高 538億円、経常利益 9.5億円 EPS 40.7円

□2021年9月3Q 売上高 849億円、経常利益 21.1億円 EPS 81.2円(1/27)

2021年9月中間期の売上高はYoY▲8.6%の538億円、経常利益はYoY▲60.7%の9.5億円となり、期初計画を下回って推移しました。小売事業については、前年同期の巣ごもり需要の反動があったほか、8月の豪雨の影響を受け既存店売上高(SSS)は95.1%と軟調に推移しました。また、商品ミックスにおいても巣ごもり一巡で好採算のDIY用品割合が低下し、食品等の構成比が上昇したことから、利益の減少幅がきつくなりました。また、建築事業についても、新型肺炎禍により前期の新規受注が滞ったほか、鋼材調達遅れ等による完工減により大幅な減収減益となりました。


なお2022年3月期通期の見通しについては、売上高YoY+4.5%の1,200億円、経常利益YoY+0.6%増となる35.5億円の期初予想を据え置いています。開示済の9ヵ月累計の小売事業SSSは96.0%と持ち直しており、店舗改装効果の発現があるものの、その改装費用にくわえ衛生用品やDIY用品の減少といった商品ミックス悪化で利益が一段と減少します。建設事業の期初受注残はYoY▲23億円の154億円でスタートしたものの、前4Q期間に受注が集中したことから、今下期に引き渡しが相次ぐほか、利益貢献僅少であるものの買収した夢ハウスの上乗せが見込まれます。それでも既開示の3Qは予算ビハインドで進捗しており、未達公算が高い状況です。


進行期は3年中計の最終年度であり、計画上は売上高1,200億円(CAGR4%)、経常利益32億円(CAGR8%)を目標に掲げていますが、利益目標は既に1年前倒しで達成しています。会社側では、足許で経常利益率をKPIとしている旨アナウンスしており、新型肺炎による一過性の採算良化を無視すれば、巡行の経常利益率目標は2.7%(今次中計前は2.4%)と計算されます。小売の特需剥落が厳しいため、今期は設備投資に32億円を投じる計画であり、飯田に物流倉庫を新設するほか、今春には長野市街地にスーパーセンター権藤店を開業する予定となっています。

 

また建設事業も受注低迷で苦戦してるものの、昨年9月には山林育成→製材→乾燥→切断→施工までの全工程を自社一貫で出来るような体制を構築し、サプライチェーンを強化しています。また、MAによる外部成長施策も継続しており、2019年には静岡で木造戸建事業を展開するサイエンスホーム(年商23億円&経常利益2億円程)を買収したほか、製茶卸売・菓子製販の三原商店、2020年にはオンライン家具通販のリグナ、佐久市を中心に調剤薬局を展開するほしまん、2021年には島田市の組立家具屋の大洋(年商10億円)、新潟県のハウスメーカーである夢ハウス(年商80億円、経常利益3億円程度)を相次いで買収しています。

 

中にはのれん代がかさむ買収もあり、B/Sには12億円程ののれんが計上されているものの、年間4億円程度のハイペースで償却していることから、新たにのれんを伴う買収がなければ、3~4年後には年4億円程度の営業利益上乗せが目されます。他方、株主還元は概ね配当性向20%をめやすに、1円増配の年21円配を予想しています。目下の自己資本比率は27.0%で推移しており、MAのための財務を温存させる必要もあることから、当面は現行の還元水準が維持されるものとみています。

 

*参考記事① 2021-08-31 1,238円 NT

【3199】綿半ホールディングス/小売反動減厳しいが、積極的な大規模MAで業容は急拡大。

 

*参考記事② 2021-01-29 1,408円 NT

【3199】綿半ホールディングス/建設部門軟調だが、中計は1年前倒しでの達成が濃厚。

 

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