【3397】トリドールHD/傘下の雲南ヌードルが香港上場、新中計で世界5,500店体制を目指す。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3397】トリドールホールディングス(東証一部) NT

現在値 2,292円/100株  P/E 73.3  P/B 4.37  3月配当株主優待 9月株主優待

焼き鳥店発祥。低価格のセルフ式うどん『丸亀製麺』にシフト。
配当金(実績)は3月末一括の4.50円配当のため、配当利回りは約0.196%となります。

トリドールホールディングスは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元株以上を保有する株主に対して、3,000円分の自社優待食事券を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.81%となります。なお、2単元保有かつ1年以上保有の場合は7,000円分となりますので、同利回りは約3.25%となります。

業績を確認していきます。当社はIFRS採用企業です。

■2018年3月期 売上高 1,165億円、税前利益 71.7億円 EPS 107.4円 

■2019年3月期 売上高 1,450億円、税前利益 13.3億円 EPS 6.2円 

■2020年3月期 売上高 1,564億円、税前利益 28.3億円 EPS 21.2円 

■2021年3月期 売上高 1,347億円、税前利益▲91.9億円 EPS▲67.7円 

■2022年3月期 売上高 1,550億円、税前利益 57.0億円 EPS 26.7円 ce
□2021年9月2Q 売上高 766億円、税前利益 77.1億円 EPS 60.2円 

 

2021年9月中間期の売上高はYoY+20.7%の766億円、税前利益はYoY+112億円の77.1億円と大幅な増収増益となり、対予算でも上振れました。国内の丸亀(製麺)のSSS前提104.3%に対し、「うどん弁当」が1,300万食のヒット商品となったほか、TOKIOコラボ商品も好調に推移し、実績で118.0%を確保しました。海外は新型肺炎禍影響を引きずって台湾が苦戦したものの、雲南ヌードルが好調に推移したほか、米国も回復したため、計画を上回りました。出退店は、国内で丸亀を6店、ずんどう屋を3店の計9店を出店したほか、海外では雲南ヌードル11店のほか計39店を出店したものの、退店超過となり、展開店舗数は前期末比31店減の1,716店となりました。

 

2022年3月期の通期見通しも増額しており、売上高YoY+15.0%の1,550億円(期予:1,509億円)、税前利益はYoY+149億円となる57億円(期予:5億円)に修正しています。前提の丸亀のSSSは111.5%、同海外事業148.1%、同その他97.3%へ実態見合いで置き直ししたほか、補助金収入40億円を反映しています。国内丸亀については、トップライン回復による経費率の減少だけでなく、広宣費や水光熱の削減、家賃減額等のコスト削減▲17億円により一段の利益良化が見込まれます。通期の出退店については、内外合計で出店161店・退店86店の期末1,822店を計画していたものの、上期が退店超過のため、P/Lはともかく出店計画は未達となる見通しです。

 

昨年11月まで生きていた従来中計は新型肺炎影響を反映した減額ロール後のものであり、最終年度である翌2023年3月期に売上高2,076億円(CAGR9%)、当期利益101億円(3年で約5倍、営業利益で140億円)を目標としていました。然しながら、今期は増額修正かつ補助金というエクストラ要素考慮後でも予想当期利益は27億円水準のため、既に高いハードルになっていたことから、11月に再度見直しをかけています。そして新中計では6年後の2028年に売上高3,000億円、営業利益300億円(10%)を目標に、世界5,500店体制の構築を目指します。

 

主要取組として、①コスト最適化、②FC等パッケージ化、③海外強化(MAを含む)を主要な取組事項として挙げています。①にかかる内部収益の改善策として、広告費削減(▲8億)、水道光熱費削減(▲5億)、家賃・備品見直し(▲3億)等の合理化効果で年▲17億の良化を見込みます。他方、成長戦略としては、世界的に外食/中食の垣根が無くなる前提で、海外で直営/JV/FCといった運営主体レベルから柔軟に対応するほか、テイクアウト/デリバリー、実店舗/クラウドキッチンなどより広い範囲での運営最適化を図ります。会社としては、国内での「うどん弁当」の好調を受け、世界的に中食うどん(麺類)ニーズの獲得に注力する方針です。


また③の一環として、本年10月には香港島、九龍、新界を中心に150店程のヌードル業態を展開する子会社の譚仔國際有限公司(雲南ヌードル)が香港証取に上場させています。この“変則親子上場”による約150億円の資金調達で、向こう3年で年50店程を出店をする計画です。この雲南ヌードルは2018年の当社傘下入りによる経営刷新から飛躍的な成長を遂げ、地元香港だけでなく、シンガポールや中国本土(深セン)への出店を果たしており、今次上場により中長期的な成長が目されます。

 

財務面については、IFRS16号適用によるオペ資産オンバランス化もあり、自己資本比率は20%強となっています。当社は比較的POを活用して資金調達する傾向にあったもののの、一時は3,000円に迫る水準まで高騰していた株価は、足許の世界的な株価下落により調整してしまっているため、ローンチしずらい状況となっています。特に新中計の6年間ではMAに1,000億円を投じることとしているため、株式市況回復まではオーガニック成長に頼らざるをえず、次なる打ち手が難しいような印象も受けます。

 

*参考記事① 2021-09-14 OP

【3397】トリドールHD/海外ヌードル子会社が香港証取上場へ、本体の資本増強も意識される局面。

 

*参考記事② 2021-02-08 1,614円 OP

【3397】トリドールHD/上期は上振れも通期では未達含み、財務状況は余裕あり。

 

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