【3397】トリドールホールディングス(東証一部) NT
現在値 2,524円/100株 P/E 145.3 P/B 5.15 3月配当株主優待 9月株主優待
焼き鳥店発祥。低価格のセルフ式うどん『丸亀製麺』にシフト。
配当金(実績)は3月末一括の4.50円配当のため、配当利回りは約0.17%となります。
トリドールホールディングスは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元株以上を保有する株主に対して、3,000円分の自社優待食事券を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.55%となります。なお、2単元保有かつ1年以上保有の場合は7,000円分となりますので、同利回りは約2.95%となります。
業績を確認していきます。当社はIFRS採用企業です。
■2018年3月期 売上高 1,165億円、税前利益 71.7億円 EPS 107.4円
■2019年3月期 売上高 1,450億円、税前利益 13.3億円 EPS 6.2円
■2020年3月期 売上高 1,564億円、税前利益 28.3億円 EPS 21.2円
■2021年3月期 売上高 1,347億円、税前利益▲91.9億円 EPS▲67.7円
■2022年3月期 売上高 1,509億円、税前利益 5.0億円 EPS 19.8円 ce
□2021年6月1Q 売上高 374億円、税前利益 44.9億円 EPS 33.3円(8/13)
□2021年9月2Q 売上高 742億円、税前利益 23.0億円 EPS 19.8円
2021年3月期の売上高は前期比13.9%減の1,347億円、税前利益は同赤転の▲91.9億円となり、大幅な減収減益となり、期初予算比でも下振れとなりました。期初から新型肺炎の影響が想定されたため、主力の丸亀(製麺)は1QのSSS前提を50%、2Qも85%水準で計画していたものの、うどん・天ぷらの持ち帰りの強化施策等が奏功し、下期6ヵ月では89.1%、通期均しでも83.6%と底堅く推移しました。他方、ロックダウンが実施され国内より状況が深刻だった海外については、下期に第三波による更なる下押しがあったもののの、台湾、香港のグループ会社を中心にテイクアウト/デリバリーである程度穴埋めし、セグメント黒字を確保しました。出退店については、国内で丸亀を31店、コナズ珈琲を7店出店するなどしたものの、ネット退店超過となり、内外での展開店舗数は前期末比34店減の1,747店となりました。
進行期である2022年3月期の売上高は前期比12.0%増の1,509億円、税前利益は黒転の5.0億円を予想しています。予算前提となる丸亀のSSSは104.3%、同海外事業133.5%、その他104.7%でセットしています。主力の丸亀は足許での“うどん弁当”好調もあり、既開示の月次売上高5ヶ月分によれば表記超過ペースが確認されますが、期初の数ヶ月は“前年ハードル”が極めて低いのでやや割り引く必要がありそうです。海外については香港圏の雲南ヌードルが例年並みで推移しているほか、ワクチン接種の進む米国の復調傾向が確認されます。なお出退店については、国内は不採算の丸亀店舗閉店により純減を見込む一方、海外では純増を見込んでおり、展開店舗数は純増75店の1,822店を計画しています。
当社は新型肺炎禍の影響を鑑み、1年前に進行中の中計に再度減額ローリングをかけており、現状では最終年度である翌2023年3月期に売上高2,076億円(CAGR9%)、当期利益101.0億円(3年で約5倍)へ目標額を修正しています。然しながら、中計では進行中のこの2022年3月期からV字回復するような“絵姿”の計画となっているものの、実際の単年度予算はほぼ均衡圏の見立てとなっているため、このロール後の中計も既にビジビリティが極めて低い状況と解されます。
本3年中計における取組事項としては、事業PFの見直しと中食強化、海外基盤の再構築といったことが挙げられています。当社見立てでは国内外で外食と中食の垣根が無くなることを念頭においており、特に海外では直営/JV/FCかといった運営主体の最適化に留まらず、ゴーストキッチンのような取組により、新たな事業モデルの構築を急ぐ方針です。また香港島、九龍、新界を中心に148店のヌードル業態を展開する子会社の譚仔國際有限公司は本年4月に香港証取への上場申請を済ませており、早ければこの9月にも上場承認が下りる見通しとなっており、変則親子上場による資金調達により向こう3年で年50店舗程の出店をする計画となっています。
その他の取組としては、国内丸亀でTOKIOコラボの「こどもうどん弁当」を投入して一定の成功を収めているほか、事前決済・即時持ち帰り可能なモバイルオーダーの導入、ポイント/クーポン(優待券)の電子化、高速精算機の導入、店舗発注の自動化といった効率化関連のDX施策を相次いで推進しています。また収益改善策として、広告費削減(▲8.1億円)、水道光熱費削減(▲5.0億円)、家賃・備品見直し(▲3.2億円)等の合理化により年▲17.2億円のコスト削減を図る方針です。
他方、財務面については、IFRS16号適用によりオペ資産がオンバランス化されており、この会計基準変更による見えがかりもあって自己資本比率は20%程となっています。もしIFRS16号基準なかりせば依然30%水準とみられるものの、足許で年初来高値を更新し続ける株価バリュエーションを鑑みれば、否応でもエクイティファイナンスが意識されるところであり、逆に新型肺炎禍での勝ち残り確定が目される当社にとっては資本増強の絶好機であるという見方すらできそうです。
*参考記事① 2021-02-08 1,614円 OP
【3397】トリドールHD/上期は上振れも通期では未達含み、財務状況は余裕あり。
*参考記事② 2020-07-22 1,215円 OP
【3397】トリドールHD/見通し小甘いが、業績予想と配当予想の開示は評価出来る。
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