【3397】トリドールホールディングス(東証一部) OP
現在値 1,215円/100株 PER--.- PBR2.28 3月配当・株主優待 9月株主優待
焼き鳥店発祥。低価格のセルフ式うどん『丸亀製麺』にシフト。
配当金は3月末一括の6.25円配当のため、配当利回りは約0.51%となります。
トリドールホールディングスは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元株以上を保有する株主に対して、3,000円分の自社優待食事券を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.45%となります。
業績を確認していきます。当社はIFRS採用企業です。
■2017年3月期 売上高 1,017億円、税前利益 84.6億円 EPS 129.9円
■2018年3月期 売上高 1,165億円、税前利益 71.7億円 EPS 107.4円
■2019年3月期 売上高 1,450億円、税前利益 13.3億円 EPS 6.2円
■2020年3月期 売上高 1,564億円、税前利益 28.3億円 EPS 21.2円
■2021年3月期 売上高 1,482億円、税前利益▲14.0億円 EPS▲12.3円 ce
□2021年9月2Q 売上高 607億円、税前利益▲54.0億円 EPS▲45.2円 ce
2020年3月期の売上高は前期比7.9%増の1,564億円、税前利益は同111.2%増の28.3億円となり、増収増益となったものの、中間時の増額修正予算どころか、期初予算も大きく下回って着地しました。出店については、国内で丸亀製麺(以下“丸亀”)35店に加え、コナズ珈琲13店、肉のヤマキ9店など計79店を出店したほか、海外ではWALK TO WALK24店、雲南ヌードル21店など計190店を出店し、退店96店をネットしたグループ総店舗数は1,725店となり103店の純増となりました。主力の丸亀については、予算前提の既存店売上高のセット値が101%であり、昨年5月からの10ヶ月間は概ねクリアしていたものの、最後の3月で新型肺炎の影響を色濃く受け、84.6%まで急失速しました。また、二番手業態の豚屋とん一(以下“豚屋”)や、コナズ珈琲に代表されるカフェ業態も均衡圏止まりとなり、利益貢献はほぼゼロに終わりました。
進行期である2021年3月期の通期予算については期初から開示がなされており、売上高は5.3%減の1,482億円、税前利益は赤転の▲7.0億円を予想しています。通期の出店計画は、国内42店&海外114店(連結/持分法/FC店全て合算)の出店、国内外の退店は89店を計画しているため、67店の純増・期末店舗数1,848店を予想しています。新型肺炎によるダウンサイドを一部織り込んでおり、主力の丸亀については、4月末からうどん・天ぷらの持ち帰りを強化するとともに、1Q(4-6月)の既存店売上高を前の期のおよそ半分、2Qについても85%の水準で見込むほか、その他業態も同程度の前提をしています。また、ロックダウンが実施され国内より状況が深刻とみられる海外については、店内飲食の再開を6月~8月とする前提となっています。1Q開示前では見通しが困難であるものの、会社側の予算前提は小甘い印象であり、表記より赤字幅は拡大する公算が高いと考えています。
当社は新型肺炎禍という状況もあり、1年前に見直した中計を再度減額ロールしており、最終年度である2023年3月期に売上高2,076億円(CAGR9%)、当期利益101.0億円(3年で約5倍)へ目標額を修正しています。計画初年度は赤字圏まで大きくしゃがむものの、2年目で大きく浮上させる内容となっており、先ずは事業PFの見直しと中食強化、海外基盤の再構築といったことを喫緊の取組事項として挙げています。当社の見立てでは、国内に限らず海外でも外食と中食の垣根が無くなっていく想定をしており、特に海外では直営かJVかFCかといった運営主体の最適化に限らず、クラウドキッチンの様な取組みで新たなプラットフォーム構築を目指す目論見です。
なお財務的観点では、当社は実績期よりIFRS16号基準を適用しているため、オペ資産がオンバランス化されており、支払家賃がリース権資産償却として営業利益段階で認識されるほか、減価償却費が戻るEBITDAベースでは150億円程度爆増しています。そのため、専らこの会計基準の“あや”により、見えがかり上の自己資本比率は21.6%にまで落ち込んでいるものの、もしIFRS16号基準なかりせば35.2%であるため余裕があります。本来であれば度重なる株主優待制度の拡充は、追加のエクイティファイナンスを念頭に置いたものであったとの推察も出来ますが、現状でも余力残しの状況なので、例えば行き詰った他社ブランドの買収等に乗り出すことは十分可能であると考えます。
財務的な余力のあるひとつの証左として、配当に関しても期初より6.25円の有配を予想しています。多くの外食企業が業績予想や配当予想を見送る中、当社はどちらも開示しているので、会社側はある程度手応えがあってのこととも考えられます。
*参考記事① 2020-02-05 1,281円*分割修正済 OP
【3397】トリドールHD/丸亀製麺の復調顕著、増額後予算なお保守的だが。
*参考記事② 2019-09-15 1,239円*分割修正済 OP
IFRS16号基準適用で、EBITDAは激増見込み・トリドールHD(3397)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。