IFRS16号基準適用で、EBITDAは激増見込み・トリドールHD(3397)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3397】トリドールホールディングス(東証一部) OP

現在値 2,478円/100株 PER40.7 PBR3.17 3月配当 9月株主優待

焼き鳥店発祥。低価格のセルフ式うどん『丸亀製麺』にシフト。
配当金は3月末一括の12.5円配当のため、配当利回りは約0.50%となります。

トリドールホールディングスは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元株以上

を保有する株主に対して、4,000円分の自社優待食事券を年2回進呈しておりますので、

配当優待利回りは約3.73%となります。

業績を確認していきます。当社はIFRS採用企業です。
■2016年3月期 売上高 955億円、税前利益 81.1億円 EPS 120.6円 
■2017年3月期 売上高 1017億円、税前利益 84.6億円 EPS 129.9円 

■2018年3月期 売上高 1165億円、税前利益 71.7億円 EPS 107.4円 

■2019年3月期 売上高 1446億円、税前利益 42.1億円 EPS 71.7円 ce修正

■2019年3月期 売上高 1450億円、税前利益 13.3億円 EPS 6.2円 ac

■2020年3月期 売上高 1567億円、税前利益 48.4億円 EPS 60.8円 ce

□2019年6月1Q 売上高 392億円、税前利益 13.6億円 EPS 21.3円 ce(8/14)
□2019年9月2Q 売上高 777億円、税前利益 30.7億円 EPS 45.7円 ce

2019年3月期の売上高は前期比24.5%増の1,450億円、税前利益は同81.4%減の13.3億

円となり、期初予算及び期中の減額修正予算を大幅に下回って大減益で着地しました。

トップラインについては、主力の丸亀製麺及び肉のヤマキ、とりサブローの出店により、

閉店をネットして138店の店舗純増を果たしたことにより、3割弱の増収を確保しました。

然しながら、主力の丸亀製麺の既存店売上については、上期の台風影響もあり97.3%

(期初予算前提は100%)に沈んだほか、利益面では人件費と水光熱費の増加を主因に、

セグメント利益率が5.5%→13.8%へと実に1.7pt.も低下したため、全社利益を大きく押し

下げました。豚やとん一は前期開業店の通期稼働効果で黒字化したほか、海外事業

底堅く推移したものの、丸亀製麺の落ち込みを埋めるには至りませんでした。


進行期である2020年3月期通期予算については、売上高は8.1%増の1,567億円、税前

利益は3.6倍の48.4億円を予想しています。柱の丸亀製麺の既存店売上高については、

実績期における台風影響改善により前年ハードルが低いこともあり、数値前提を101%

で置いているほか、33店の新規出店を計画しています。一方で海外事業については、

WOK TO WALK、雲南ヌードルなど145店(連結/持分法/FC店全て合算)を出店する

計画であり、主に新店効果による増収を見込んでいるほか、実績期での不採算店舗の

閉鎖一巡による収益の良化を見込んでいます。なお、去る8月14日に1Qが開示されて

いますが、減益ではあるものの、計画比では比較的順調な進捗が確認されます。

 

今期は従来3年中計の最終年度の位置付であり、当初は売上高1539億円(CAGR15%)、

税前利益122.7億円(CAGR13%)まで伸長させる計画でしたが、柱の丸亀製麺が高単価

メニュー傾斜による客離れや人件費をはじめとする原価増により完全にコケてしまって

いることもあり、このタイミングで新中計にロールしています。新中計では最終年度であ

ある2022年3月期に売上高2,008億円(CAGR11%)、税前利益114.8億円(3年で約9倍)

を計画しています。国内は丸亀製麺の回復と、同業態で構築した事業プラットフォーム

を基盤に豚屋とん一や天ぷらまきの、晩杯屋といったサブブランドの育成を成長の柱

に据える方針です。海外については、直営・JV(合弁)・FCなどの多様な形で、展開国と

現地パートナーの状況により柔軟に対応していく方針であり、とりあえず形を問わずに

大量出店してスケールさせていくというのが、本中計の基本的な考え方となります。

 

なお当社は今期よりIFRS16号基準が適用されるため、オペ資産がオンバランス処理さ

れるため、支払家賃がリース権資産の償却費として営業利益段階にて認識されるほか、

減価償却費が戻るEBITDAベースでは爆増する形となります(本影響だけで実績期の

倍となる120億円程度が嵩増しされるとみられる)。そのため、実態としては何も変わら

ないものの、見えがかり上の買収余力が増加することもあり、今後は同じくIFRS採用の

クリレスHDあたりと同様に、積極的に買収を実施していくものと考えられます。またこの

オンバランス化の副作用として、リース債務計上によりB/Sが膨らみ、自己資本比率が

足許で11%ほど強烈に悪化しており、16.4%にまで落ち込んでいることから、他の外食企

業と比べると悪すぎるという訳ではないものの、エクイティファイナンスのリスクについて

も意識していく必要があろうかと考えています。前回POは2014年で、当時約42億円を

調達しましたが、当時の株価は@1,315円でしたので、足許はこれをクリアしています。

 

配当に関しては、実績期で年1円50銭まで絞ったこともあり、今期は12.5円にまで戻す

計画です。配当性向は約2割に過ぎず、2018年3月期の年26円50銭と比べると大きく

見劣りしますが、今後の買収積極化を睨んだ財務余力の温存を念頭におけば、妥当

な配当政策であると考えています。

 

*参考記事① 2019-02-09 1,928円 OP

主力の丸亀製麺は「2度目の試練」、トリドールホールディングス(3397)。

 

*参考記事② 2017-12-26  4,170円 OP

「ずんどう屋」「晩杯屋」を相次ぎ買収、トリドールホールディングス(3397)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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