【3397】トリドールホールディングス(東証一部) ---
現在値 1,928円/100株 PER26.8 PBR2.19 3月配当 9月株主優待
焼き鳥店発祥。低価格のセルフ式うどん『丸亀製麺』にシフト。
配当金は3月末一括の30円配当のため、配当利回りは約1.56%となります。
トリドールホールディングスは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元株以上
を保有する株主に対して、2,000円分の自社優待食事券を年2回進呈しておりますので、
配当優待利回りは約3.63%となります。
業績を確認していきます。当社はIFRS採用企業です。
■2015年3月期 売上高 872億円、税前利益 36.1億円 EPS 48.8円
■2016年3月期 売上高 955億円、税前利益 81.1億円 EPS 120.6円
■2017年3月期 売上高 1017億円、税前利益 84.6億円 EPS 129.9円
■2018年3月期 売上高 1165億円、税前利益 71.7億円 EPS 107.4円
■2019年3月期 売上高 1446億円、税前利益 42.1億円 EPS 71.7円 ce修正
□2018年9月中 売上高 719億円、税前利益 41.2億円 EPS 68.1円(11/14)
2018年9月中間の売上高は前年同期比28.5%増の719億円、税前利益は同6.5%減の41.2
億円となり、期初予算を大幅に下回って一転減益での着地となりました。トップラインにつ
いては、主力の丸亀製麺や、育成中業態である豚屋とん一の出店により、閉店をネットし
て44店の店舗純増を果たしたことにより、3割弱の増収を確保しました。然しながら、丸亀
製麺の既存店売上高については、台風の影響もあり上期6ヵ月累計で96.5%に沈んだほか、
人件費の増加を主因とし、セグメント利益率は16.5%→14.5%へと実に2.0pt.も低下したため、
全社利益を大きく押し下げました。
なお、2019年3月期通期予算については期初予想を減額しており、売上高は前期比24.2%
増の1446億円(従予:1532億円)、税前利益は同41.2%減の42.1億円(従予:93.9億円)へ其々
修正しています。上期の実績を参考に、柱の丸亀製麺(国内事業)の既存店売上高前提を
100%から95.0%へと引き下げたほか、海外事業における出店ペースの見直しが業績修正の
主な要因となります。減額幅がかなり大きく、下期の見通しも上期の凹み幅以上に保守的
に見えますが、丸亀製麺は期間限定の高単価品の連続投入により、深刻な客離れが進行
しており、月次で開示されている“来客数”は期初から10ヵ月間全敗という状況を鑑みれば、
通期修正予算の達成についても、予断を許さない状況かと思われます。
今期は2020年3月期を最終年度とする3年中計の中間年度となっており、売上高を1017→
1539億円(CAGR15%)、税前利益84.6→122.7億円(CAGR13%)まで伸長させる計画となって
います。本中計期間は、売上・利益共に年率2桁成長を目指すという意欲的な内容ですが、
既述の通り、柱の丸亀製麺が完全にコケてしまっているため、この中計の目標値も完全に
画餅しており、事実上頓挫したものとみられます。サブブランドの豚屋とん一、はSC中心の
展開であり、当初から中価格帯狙いのプライシングがなされているので健闘していますが、
いかんせん丸亀製麺の店舗数の15分の1程しかないため、穴を埋めるには力不足です。
また当社は、2014年の公募で42億円(@1,315円)を調達した経緯があり、当時の自己資本
比率で50.0%を超える高い水準を確保し、高成長を維持するために出店と同業の買収攻勢
へと舵を切りました。立ち飲み屋の「晩杯屋」を運営するアクティブソースを11億円で買収
したほか、とんこつラーメン屋の「ずんどう屋」を運営するZUNDも33億円で買収しています。
このほか、TDインベストメントというCVCを立ち上げたほか、米国の外食ファンドに6億円を
出資するといった間接的な種蒔きも行ったほか、マーキュリアインベストメントのファンドか
ら化粧品のSONOKOを30億円で買収するなど、異業種への事業展開も進めました。
このほか、海外での丸亀製麺の出店や、アジア圏における雲南ヌードル店のMAに代表さ
れる海外事業なども同時に高速で展開させたため、“ウイングを広げすぎた”状況に陥って
おり、人材教育の拙さにより全国的に大失速した丸亀製麺も、一度は復活を遂げたものの、
足許では再度の危機を迎えている状況です。そのため、現段階では中長期的な成長を見
通す段階にはないと考えており、何は無くとも丸亀製麺の底入れが待たれる状況です。
なお、配当に関しては今期は3円50銭増配となる年間30円配当(配当性向41.1%)を見込ん
でいます。2014年の増資で得た資金は湯水の如く消化しており、この1年で自己資本比率
は53.4%→32.9%、へと実に20pt.以上も悪化させているため、増配基調は今期でストップと
なり、当面は30円配当が据え置かれるものと予想します(おそらく、株主優待制度の拡充
については、その辺の穴埋め的な色合いが少なからずあるものとみられます)。
*参考記事① 2017-12-26 4,170円 ---
「ずんどう屋」「晩杯屋」を相次ぎ買収、トリドールホールディングス(3397)。
*参考記事② 2016-12-19 2,389円 ---
マーキュリアからSONOKOを30億円で買収、トリドールホールディングス(3397)。
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