【3397】トリドールホールディングス(東証一部) OP
現在値 2,562円/100株 PER41.8 PBR3.18 3月配当 9月株主優待
焼き鳥店発祥。低価格のセルフ式うどん『丸亀製麺』にシフト。
配当金は3月末一括の12.5円配当のため、配当利回りは約0.49%となります。
トリドールホールディングスは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元株以上を保有する株主に対して、4,000円分の自社優待食事券を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.61%となります。
業績を確認していきます。当社はIFRS採用企業です。
■2016年3月期 売上高 955億円、税前利益 81.1億円 EPS 120.6円
■2017年3月期 売上高 1017億円、税前利益 84.6億円 EPS 129.9円
■2018年3月期 売上高 1165億円、税前利益 71.7億円 EPS 107.4円
■2019年3月期 売上高 1450億円、税前利益 13.3億円 EPS 6.2円
■2020年3月期 売上高 1590億円、税前利益 52.6億円 EPS 61.2円 ce修正
□2019年9月2Q 売上高 800億円、税前利益 41.0億円 EPS 60.3円(11/13)
2019年9月中間期の売上高は前年同期比11.2%増の800億円、税前利益は同0.7%減の41.0億円となり、減益となったものの期初予算を超過して着地しました。出店については、国内で丸亀製麺(以下“丸亀”)11店に加え、コナズ珈琲4店、天ぷらまきの5店など計36店を出店したほか、海外ではWALK TO WALK10店、雲南ヌードル6店など計61店を出店し、退店50店をネットしたグループ総店舗数は1,725店となり47店の純増となりました。また、主力の丸亀についても、予算前提の既存店売上高のセット値は101%だったものの、前年は台風で売上ハードルが低かったことや、ソフトバンク「SUPER FRIDAY」販促、その他CM投入効果等も相俟って、105.3%と大幅超過達成となりました。その一方、二番手業態の豚屋とん一(以下“豚屋”)の既存店は93.7%と急失速したものの、丸亀の好業績が全てカバーし予算達成となりました。
なお2020年3月期の通期予算については中間時点で増額しており、売上高は前期比9.7%増の1,590億円(従予:1,567億円)、税前利益は同3.9倍の52.6億円(従予:48.4億円)を予想しています。通期の出店計画は、国内76店&海外145店(連結/持分法/FC店全て合算)の出店、国内外の退店は39店を計画しているため、ネット182店の純増・期末店舗数1,860店を予想していますが、上述のとおり上期で47店しか純増していないため出退店はビハインドしています。それでも主力の丸亀は既に開示されている昨年12月までの9ヶ月累計月次によれば、会社計画を大きく上回って推移しているほか、上期時点では原価率・人件費率・水光熱ともに前年を下回っているため、通期では構成比が圧倒的に大きい丸亀が全社の業績を丸ごとけん引して、表記の増額後修正予算も十分走破しうるものと考えています。
今期は丸亀の事業ポテンシャル前提を保守的に見直した減額ロール後の新中計の初年度となっており、最終年度の2022年3月期に売上高2,008億円(CAGR11%)、税前利益114.8億円(3年で約9倍)を計画しています。国内は丸亀の回復と、同業態で構築した事業プラットフォームを基盤に豚屋や天ぷらまきの、晩杯屋といったサブブランドの育成を成長の柱に据えるとともに、海外については、直営・JV(合弁)・FCなどの多様な形で、展開国と現地パートナーの状況により柔軟に対応していく方針であり、とりあえず形を問わずに大量出店してスケールさせていくというのが、新中計の基本的な考え方となります。
ひとまず丸亀の復調が確認されるため出だしは評価出来るものの、丸亀のプラットフォームをそのまま活かせるはずだった二番手の豚屋が失速している点が気掛かりです。おそらく豚屋はSC中心の展開にも拘わらず、一時の丸亀同様に高単価路線に舵を切って客離れを起こしている“単価ミックス”が主要因と考えられ、450円のかつ丼で復活出来るかどうかポイントとなりそうです(なお、その場合SCの賃料に耐えられるかどうかという別の論点が発生する)。ただ豚屋以外のコナズ珈琲や、海外事業については展開スピードが緩慢ではあるものの、比較的うまくいっているとみられるため、達成のハードルは低くないものの、ひとまず新中計の数値を支持したいと思います。
なお当社は今期よりIFRS16号基準が適用されるため、オペ資産がオンバランス処理されるため、支払家賃がリース権資産の償却費として営業利益段階にて認識されるほか、減価償却費が戻るEBITDAベースでは120億円程度爆増する形となります。そのため、実態として何も変わらないものの、見えがかり上の買収余力は増加しています。その一方で、自己資本比率16.4%(IFRS16号非採用なら27.4%)にまで落ち込んでいることから、2014年以来となる資金調達の可能性についても留意すべきかと思います。
配当に関しては、前期に年1円50銭まで絞ったこともあり、今期は12.5円にまで戻す計画です。配当性向は約2割に過ぎず、2018年3月期の年26円50銭と比べると大きく見劣りしますが、今後の買収積極化を睨んだ財務余力の温存を念頭におけば、妥当な配当政策であると考えています。
*参考記事① 2019-09-15 2,478円 OP
IFRS16号基準適用で、EBITDAは激増見込み・トリドールHD(3397)。
*参考記事② 2019-02-09 1,928円 OP
主力の丸亀製麺は「2度目の試練」、トリドールホールディングス(3397)。
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