【9010】富士急行(東証1部) NT
現在値 3,745円/100株 PER75.9 PBR7.03 3月配当優待 9月優待
富士山麓周辺で別荘・リゾート施設等を展開。富士急ハイランドが主力。バスに強み。
配当は3月末一括の16.5円配当のため、配当利回りは約0.44%となります。
富士急行は株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株を保有する株主に対して、遊園地フリーパスなどとの交換が可能な電車・バス・観光共通優待券を5枚進呈しておりますので、1枚500円換算した場合の配当優待利回りは約1.77%となります。
業績を確認をしていきます。
■2016年3月期 売上高 489億円、営業利益 54.2億円 EPS 44.1円
■2017年3月期 売上高 517億円、営業利益 48.5億円 EPS 49.6円
■2018年3月期 売上高 526億円、営業利益 52.9億円 EPS 49.9円
■2019年3月期 売上高 544億円、営業利益 61.7億円 EPS 39.0円
■2020年3月期 売上高 545億円、営業利益 60.8億円 EPS 49.3円 ce修正
□2019年9月2Q 売上高 298億円、営業利益 47.4億円 EPS 55.1円(11/6)
2019年9月中間期の売上高は前年同期比2.7%増の298億円、営業利益は同8.7%増の47.4億円と増収増益を確保し、期初予算を上回って着地しました。運輸事業は長雨や天候不順による観光客減少があったものの、ハイランドイベントに合わせた臨時列車の設定や、JR乗入の「富士回遊」の増発が寄与したほか、バス事業についても「河口湖・西湖周遊線」「富士五湖線」の増便や、開業を控えた「ららぽーと沼津線」の新規設定等により増収となりました。また、利益柱のレジャー事業についても、昨年7月14日からのハイランドを入園無料化しているものの、同じく昨年導入した「NARTO」新テーマエリアのアトラクション増強等により特に外国人入園者数が増加し、課金収入が下支えされたほか、連れてホテル・飲食も好調に推移しました。
なお、2020年3月期の通期予算については中間上ブレ着地にも拘わらず減額しており、売上高が前期比0.1%増の545億円(従予:552億円)、営業利益は同1.6%減の60.8億円(従予:65.0億円)を見込んでいます。これは全セグメントで横断的に影響を受けた2019年10月の台風や、同じく消費税増税によるマイナスを本中間段階で織り込んだことが要因であり、上期の貯金を食った上で下方修正した格好となります。ただ、今回の修正では目下の新型肺炎によるインバウンド減少や国内旅行センチメントの低下等は織り込んでいないものとみられ、例えば運輸事業で昨年より新規設定して、今年から増発したJR乗入の「富士回遊」や、増発した諸般のバス便などは全て裏目となってマイナス寄与するため、表記減額後の修正予算であってもまだ過大感が否めず、再度の下方修正となる公算が高いと考えています。
今期は3年中計の中間年度となっており、2021年3月期までに累計売上高1,553→1,667億円(年35億円程の増収)、累計営業利益156→183億円(年9億円程の増益)を目指しています。基本的に当社の地盤である富士山エリアでの顧客回遊性を向上させる戦略となっており、富士急ハイランドの無料化を皮切りに、高速バスの増発や、富士河口湖町周辺のアウトドア宿泊リゾート(PIKA Fujiyama)の開発により、運輸・レジャー・宿泊の三本柱のフルハウス型で顧客囲い込みを図る計画となっています。
最大のリスクイベントであったハイランドの入場料無料化を昨年無事に通過し、インバウンドに加えて中高年客の増加など想定を超える成果があったものの、既述のとおり足許での新型肺炎による影響が非常に大きいとみられます。本中計は序盤こそ順調であったものの、当社の業績目標は累計方式であり、例えば最終年度の来期ゝ初あたりで新型肺炎が大収束し、インバウンドが急回復して盛り返せば達成するという組み立てではなく、今期の凹み分も累積的に全部取り込まれることから、中計達成の雲行きは一気に怪しくなったものと考えています。そのため、外部環境のファクターが大きく、現段階ではそのマイナス影響も図れないため、何は無くとも新型肺炎の収束を待つような格好となります。
株主還元については、今期は50銭増配となる年間16円50銭配当を予想しています。配当性向は30%基準としており、おおむねその水準となっているものの、会社側は自己資本拡充も志向していることから、還元に関しては殆ど期待出来ないものと考えています。
*参考記事① 2019-08-23 4,460円 NT
ハイランド無料化成功で増益ピッチ加速へ、富士急行(9010)。
*参考記事② 2019-01-23 3,355円 NT
屋台骨を揺るがす大イベント(ハイランド無料化)を無事通過、富士急行(9010)。
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