屋台骨を揺るがす大イベント(ハイランド無料化)を無事通過、富士急行(9010)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9010】富士急行(東証1部) --


現在値 3,355円/100株 PER63.6 PBR6.68 3月配当優待 9月優待

富士山麓周辺で別荘・リゾート施設等を展開。富士急ハイランドが主力。バスに強み。
配当は3月末一括の16円配のため、配当利回りは0.48%となります。

富士急行は株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株を保有する株主

に対して、遊園地フリーパスなどとの交換が可能な電車・バス・観光共通優待券を5枚進呈

しておりますので、1枚500円換算した場合の配当優待利回りは約1.96%となります。

業績を確認をしていきます。
■2015年3月期 売上高 476億円、営業利益 43.4億円 EPS 38.8円

■2016年3月期 売上高 489億円、営業利益 54.2億円 EPS 44.1円 
■2017年3月期 売上高 517億円、営業利益 48.5億円 EPS 49.6円 

■2018年3月期 売上高 526億円、営業利益 52.9億円 EPS 49.9円   

■2019年3月期 売上高 543億円、営業利益 57.4億円 EPS 52.7円 ce  
□2018年9月中 売上高 290億円、営業利益 43.6億円 EPS 31.6円(10/31)  

2018年9月中間期の売上高は前年同期比1.8%増の290億円、営業利益は同1.4%増の43.6

億円となり、増収増益となったものの、期初予算を下回りました。運輸事業はハイランド

入園料無料化に合わせて鉄道事業での販促を強化したほか、バス事業についても富士五

湖を訪問するインバウンドの増加にともなうバスの大型化を実施し、当該セグは増収増益

を確保しました。一方、利益柱のレジャー事業については、7月14日からのハイランド入園

無料化により、ホテル・飲食が堅調に推移したものの、大型台風や豪雨・記録的な猛暑の

影響もあり、会社側の想定水準には届かなかったものとみられます。


2019年3月期の通期予算については、期初予想を据え置いており、売上高が前期比3.2%

増となる543億円、営業利益は8.4%増の57.4億円を見込んでいます。運輸事業については

前期に新規開設した「秋葉原線」「成田空港線」のバス路線の増発がフルで寄与するほか、

ハイランド無料化にともない主力の「新宿線」「東京線」の好伸が期待されます。レジャー事

業については、下期は(閑散期ではあるものの)ハイランドの無料化がフルで影響するほか、

昨年7月に開業したさがみ湖の「パディントン」のテーマパークによる上乗せがあります。

ただ、当社業績は夏期を含む上期に偏重する傾向があるため、上期の凹み分を取り戻す

のは容易ではなく、運輸事業の燃料費の値上がりもあるため、予算達成は微妙な線です。


今期は新3年中計の初年度となっており、2021年3月期までに累計売上高1,553→1,667億円

(年35億円程の増収)、累計営業利益156→183億円(年9億円程の増益)を目指しています。

基本的には当社の地盤である富士山エリアでの顧客回遊性を向上させる戦略となっており、

富士急ハイランドの無料化を皮切りに、高速バスの増発や、富士河口湖町周辺のアウトドア

宿泊リゾート(PIKA Fujiyama)の開発により、運輸・レジャー・宿泊の三本柱のフルハウス型

で顧客囲い込みを図ります。

 

そしてこの中計の核となるのが、キラーコンテンツであり、当社の代名詞であるハイランドの

入場料無料化ですが、上述のとおり「会社側予想水準には届いていないとみられるものの、

まずまずうまくいっている」模様です。本無料化施策は、レジャー事業で大半を稼ぐ当社の

ビジネスモデルを根底から揺るがす重大なリスクイベントであったため、それを無事に通過

出来たことは、定量面は兎も角としても、中計初年度の成果として挙げられるかと思います。

理論上、当社が地盤とする富士五湖方面への集客自体は伸びるはずなので、中計の残り

2年間で、いかに周辺事業(鉄道・バス・ホテル)で回収出来るかが、中計の見所となります。

 

株主還元については、今期は50銭増配となる年間16円配当を予想しています。配当性向

は30%基準としており、おおむねその水準となっているほか、この5年ほどで自己資本比率

も500bp.ほど良化して25%水準に乗せているものの、中計3年間で有利子負債の追加削減

(18億円減らして500億円)を志向していることもあり、これ以上の株主還元の上積みは望み

にくい状況となっています。

 

*参考記事① 2018-08-15 3,175円 --

「富士急ハイランド」無料化影響は2Q以降に発現、富士急行(9010)。

 


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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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