「富士急ハイランド」無料化影響は2Q以降に発現、富士急行(9010)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9010】富士急行(東証1部) --


現在値 3,175円/100株 PER62.2 PBR6.61 3月配当優待 9月優待

富士山麓周辺で別荘・リゾート施設等を展開。富士急ハイランドが主力。バスに強み。
配当は3月末一括の16円配のため、配当利回りは0.50%となります。

富士急行は株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株を保有する株主

に対して、遊園地フリーパスなどとの交換が可能な電車・バス・観光共通優待券を5枚進呈

しておりますので、1枚500円換算した場合の配当優待利回りは約3.65%となります。

業績を確認をしていきます。
■2015年3月期 売上高 476億円、営業利益 43.4億円 EPS 38.8円

■2016年3月期 売上高 489億円、営業利益 54.2億円 EPS 44.1円 
■2017年3月期 売上高 517億円、営業利益 48.5億円 EPS 49.6円 

■2018年3月期 売上高 526億円、営業利益 52.9億円 EPS 49.9円   

■2019年3月期 売上高 543億円、営業利益 57.4億円 EPS 52.7円 ce  

□2018年6月中 売上高 128億円、営業利益 11.5億円 EPS 12.5円(8/1)
□2018年9月中 売上高 295億円、営業利益 45.6億円 EPS 50.8円 ce  

2018年3月期の売上高は前期比3.4%増の526億円、営業利益は同8.9%増の52.9億円となり、

増収増益となったものの、2桁の伸びを予想していた予算を若干下回りました。鉄道事業は

若年層の通学定期券の値下げにより利用向上を図ったほか、バス事業で秋葉原線、成田

空港線の運航を開始するとともに、羽田空港線の便数増強を行いました。また、利益柱の

レジャー事業については、富士急ハイランドの「ド・ドドンパ」の機器更新による性能向上や、

さがみ湖PFの施設拡充を実施し、当該セグメントで大幅な増益を確保しています。


進行期である2019年3月期の予算については、売上高が3.2%増となる543億円、営業利益

は8.4%増の57.4億円を見込んでいます。インバウンドの増加基調が継続しており、実績期

に実施した高速バス路線(成田・羽田発)の開設・増強効果が通年で寄与する見通しです。

また、本年7月には富士急ハイランドの入場料無料化に踏み切るとともに、アトラクションの

値上げを実施しているため、富士山方面へ来た観光客の“ちょい乗り”の増加が見込まれる

ほか、絶叫優先券という課金型ファストパスを導入しているため、この辺で単価を稼いでいく

格好となります。なお、さがみ湖PFにおいて世界初となるパディントン・ベアのテーマパーク

を期中に開業(既存施設の拡張)しているため、その分の上乗せが多少見込まれます。


今期は新3年中計の初年度となっており、2021年3月期までに累計売上高1,553→1,667億円

(年35億円程の増収)、累計営業利益156→183億円(年9億円程の増益)を目指しています。

基本的には当社の地盤である富士山エリアでの顧客回遊性を向上させる戦略となっており、

富士急ハイランドの無料化を皮切りに、高速バスの増発や、富士河口湖町周辺のアウトドア

宿泊リゾート(PIKA Fujiyama)の開発により、運輸・レジャー・宿泊の三本柱のフルハウス型

で顧客囲い込みを図ります。インバウンドの追い風が継続しているものの、既にリピーター

とされる層には富士山エリアの訴求力が落ちている可能性もあり、決済の利便性向上や、

SNSをはじめとする海外向けネットマーケティング戦略が中計達成の鍵になるとみられます。

 

株主還元については、今期は50銭増配となる年間16円配当を予想しています。配当性向

は30%基準としており、おおむねその水準となっているほか、この5年ほどで自己資本比率

も5pts.ほど良化して25%水準に乗せているものの、上記3年中計で有利子負債の追加削減

(500億円)を志向していることもあり、これ以上の株主還元の上積みは望みにくい状況です。

 

まずは富士急ハイランドの無料化の成否次第、といったところでしょうか。

 

 

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