イケイケの外部成長策で、最高益更新が視野・TOKAIホールディングス(3167)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3167】TOKAIホールディングス(東証1部) ---


現在値 1,028円/100株 PER17.0 PBR2.25 3月配当優待9月配当優待

東海地盤。LPガスのザ・トーカイとCATV等のビック東海が統合。
配当は3月末・9月末の合計28円配のため、配当利回りは2.72%となります。

TOKAIホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株

を保有する株主に対して、500円分のQUOカードや1,900円分の"水セット"など選べる優待

を進呈しており、"水セット"の場合で配当優待利回りを算出した場合は約6.42%となります。

業績を確認をしていきます。
■2015年3月期 売上高 1,875億円、営業利益 90.0億円 EPS 34.2円

■2016年3月期 売上高 1,809億円、営業利益 82.4億円 EPS 30.0円 
■2017年3月期 売上高 1,786億円、営業利益 127億円 EPS 64.5円 

■2018年3月期 売上高 1,860億円、営業利益 109億円 EPS 51.1円   

■2019年3月期 売上高 1,956億円、営業利益 139億円 EPS 60.4円 ce  

□2018年6月中 売上高 445億円、営業利益 23.9億円 EPS 10.9円(8/7)
□2018年9月中 売上高 901億円、営業利益 37.0億円 EPS 14.4円 ce  

2018年3月期の売上高は前期比4.2%増の1,860億円、営業利益は同14.0%減の109億円での

着地となり、増収は確保したものの、減益かつ予算割れとなりました。LPガス事業における

競争が激化しているため、新規顧客の獲得・繋ぎ止めに8億円を余計に投じたほか、MVNO

の販促にも2億円を追加で投入したことによるコスト増が影響し、会員増加による収益増では

埋めきれませんでした。また、アクア事業についても同様に顧客獲得費用が重しとなり、その

結果、主要事業で増収増益を確保したセグは、MAがあったCATV事業のみとなりました。


進行期である2019年3月期の予算については、売上高が5.1%増となる1,956億円、営業利益

は27.2%増の139億円を見込んでいます。実績期において、LPガス事業やMVNOにおいて、

予算比で12億円の新規顧客の獲得・繋ぎ止め費用を投じたこともあり、全社各事業を通じた

顧客数は1年前と比べて31万人(総顧客数は約287万人)も劇的に純増しているため、大幅な

増益となる計画です。利益的にはこの純増分で21億円の良化、実績期の一時的なコスト増

の剥落で8億円の良化を見込んでいます。即ち今期の大幅増益は絵に描いたような確度で

実現される可能性が高く、去る8月7日に開示されている1Qも前年同期比で5%の増収、11%

の営業増益を確保して順調に進捗しているため、期中で顧客確保のための意図的な費用

増加がなければ、会社側計画の蓋然性は高いものとみられます。


今期は4年中計の2年度目となっており、最終年度の2021年3月期に売上高3,339億(CAGR

17%)、営業利益225億円(CAGR15%)を目標としています。達成へのドライバーとして、MAや

アライアンス投資に1,000億円もの巨費を投じる計画であり、基本戦略としてはMA等による

展開エリアの拡大と、CATV・ガス石油・情報通信等の既存会員に他商品も売るクロスセル

比率を現在の7%から20%へ引き上げることが基本戦略となります。

 

実績期には、CATVでのMA案件が2件あったものの、今期はガス事業で下仁田町からガス

事業(1,336件・年商約1.4億円)を事業譲受しているほか、世田谷の新型PPS事業者である

“みんな電力”と資本業務提携し、ブロックチェーン技術を活用した再エネ販売事業会社を

合弁で設立予定となっており、主力であるエネルギー事業での業容拡大が進んでいます。

 

また、こうしたMAや先行投資の財源となる資金の手当も、2015年の約100億円のMSCBが

全て転換されているため、自己資本比率は3年前と比べて10pts.以上高い36.3%を確保して

おり、投資余力はかなり回復してきています。一方で、好調な業績にも拘わらず、株主還元

については28円配の継続が予想されていますが、これは次のMA・先行投資のために財務

を温存している可能性が高く、実際に会社側ではMAのパイプラインが26件、約1900億円

あることをアナウンスしているため、外部成長原資に回される可能性が高いとみられます。

 

*参考記事① 2018-01-23  1,016円 ---

大型のMSCBこなし、財務状況が急改善・TOKAIホールディングス(3167)。

 

*参考記事② 2017-08-04  866円 ---

希薄化リスク残るも、高成長・高配当銘柄の風格・TOKAIホールディングス(3167)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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