ハイランド無料化成功で増益ピッチ加速へ、富士急行(9010)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9010】富士急行(東証1部) NT


現在値 4,460円/100株 PER81.1 PBR9.08 3月配当優待 9月優待

富士山麓周辺で別荘・リゾート施設等を展開。富士急ハイランドが主力。バスに強み。
配当は3月末一括の16.5円配当のため、配当利回りは約0.37%となります。

富士急行は株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株を保有する株

主に対して、遊園地フリーパスなどとの交換が可能な電車・バス・観光共通優待券を5枚

進呈しておりますので、1枚500円換算した場合の配当優待利回りは約1.49%となります。

業績を確認をしていきます。

■2016年3月期 売上高 489億円、営業利益 54.2億円 EPS 44.1円 
■2017年3月期 売上高 517億円、営業利益 48.5億円 EPS 49.6円 

■2018年3月期 売上高 526億円、営業利益 52.9億円 EPS 49.9円   

■2019年3月期 売上高 544億円、営業利益 61.7億円 EPS 39.0円   

■2020年3月期 売上高 552億円、営業利益 65.0億円 EPS 54.9円 ce  

□2019年6月1Q 売上高 134億円、営業利益 14.0億円 EPS 14.8円(8/7)  
□2019年9月2Q 売上高 292億円、営業利益 45.5億円 EPS 53.1円 ce  

2019年3月期の売上高は前期比3.5%増の544億円、営業利益は同16.7%増の61.7億円と

増収増益となり、期初予算を上回って着地しました。運輸事業はハイランドの入園料無料

化に合わせて鉄道事業での販促を強化したほか、バス事業についても富士五湖周遊バス

を大型化したほか、前期に新設した「秋葉原線」「成田空港線」のバス路線の増発がフル

で寄与し、ハイランド無料化にともない主力の「新宿線」「東京線」も好調に推移しました。

また、利益柱のレジャー事業についても、7月14日からのハイランドを入園無料化したも

のの、「NARTO」等の新テーマエリア導入や「戦慄迷宮」をはじめとする新アトラクション

の導入もあり、課金収入が下支えされたほか、ホテル・飲食は好調に推移しました。


進行期である2020年3月期の通期予算については、売上高が1.4%増の552億円、営業利

益は5.2%増の65.0億円を見込んでいます。運輸事業については、ハイランド入園無料化

による集客増が通期寄与するほか、3月16日よりJR中央線からの直通特急「富士回遊」

の運転開始により鉄道事業の増額が見込まれます。レジャー事業については、ハイラン

ドの無料化により、入園料収入のマイナスが通期で効いてくるものの、既述の新エリアと

新アトラクション、及び無料化それ自体による集客増により、課金収入とホテル・飲食の

増加が見込まれるほか、昨年に開業したさがみ湖プレジャーフォレスト内の「パティドン

タウン」の通期寄与が見込まれます。なお去る8月7日に1Q決算が開示されていますが、

前年同期の売上高は4.4%増、営業利益は21.6%と高い水準で進捗している状況です。


今期は3年中計の中間年度となっており、2021年3月期までに累計売上高1,553→1,667

億円(年35億円程の増収)、累計営業利益156→183億円(年9億円程の増益)を目指して

います。基本的に当社の地盤である富士山エリアでの顧客回遊性を向上させる戦略と

なっており、富士急ハイランドの無料化を皮切りに、高速バスの増発や、富士河口湖町

周辺のアウトドア宿泊リゾート(PIKA Fujiyama)の開発により、運輸・レジャー・

宿泊の三本柱のフルハウス型で顧客囲い込みを図る計画です。

 

そして本中計の戦略の柱となる、ハイランドの入場料無料化については、施策実施から

およそ1年が経過したものの、成功に近い結果がみうけられる状況です。レジャー事業で

大半を稼ぐ当社ビジネスモデルを根底から揺るがす大きなリスクイベントであったものの、

来園客の8割が購入するとされる5,700円のフリーパスは値下げしておらず(実質値上げ)、

これまで入園料がネックとなって来園していなかった中高年層を丸々取り込む形となり、

結果的に来園者数の増加による園内での飲食収入の増加や、来園までの交通・運輸が

そのまま伸びる格好となりました。そのため、今期予算の伸びから鑑みるに中計の業績

目標値は一気にその達成確度が増しており、上振れもあり得るような状況と言えます。

 

なお株主還元については、今期は50銭増配となる年間16円50銭配当を予想しています。

配当性向は30%基準としており、おおむねその水準となっているものの、会社側は自己

資本拡充も志向していることから、還元に関してはさほど期待出来ないかもしれません。

 

*参考記事① 2019-01-23 3,355円 NT

屋台骨を揺るがす大イベント(ハイランド無料化)を無事通過、富士急行(9010)。

 

*参考記事② 2018-08-15 3,175円 NT

「富士急ハイランド」無料化影響は2Q以降に発現、富士急行(9010)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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