【7192】日本モーゲージサービス(東証1部) OP
現在値 1,082円/100株 PER9.26 PBR1.95 3月配当 株主優待あり
固定金利住宅ローン「フラット35」貸付が主力。子会社で住宅瑕疵保険、経営支援も。
配当金は3月一括の35円配当のため、配当利回りは3.23%となります。
日本モーゲージサービスは株主優待制度を導入しており、単元株を保有する3月末株主
に対して、3,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.40%と
なります。また、1年以上の保有で4,500円分のカタログギフトを追加進呈しているほか、
3年以上の保有で9,000円分のカタログギフトを更に追加進呈しているため、この場合の
配当優待利回りはそれぞれ約7.39%、約11.55%まで跳ね上がります。
業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 52.5億円、営業利益 5.4億円 EPS 62.0円
■2017年3月期 売上高 58.6億円、営業利益 8.0億円 EPS 87.4円
■2018年3月期 売上高 62.9億円、営業利益 8.6億円 EPS 82.9円
■2019年3月期 売上高 62.6億円、営業利益 11.5億円 EPS 114.9円
■2020年3月期 売上高 66.1億円、営業利益 12.0億円 EPS 117.0円 ce
□2019年6月1Q 売上高 15.4億円、営業利益 2.8億円 EPS 28.0円(8/9)
□2019年9月2Q 売上高 31.9億円、営業利益 5.6億円 EPS 54.9円 ce
2019年3月期の売上高は前期比0.4%減の62.6億円、営業利益は同40.7%増の11.5億円と
なり、減収にはなったものの、利益は予算を大幅に上回って着地しました。柱の住宅金融
事業については、新設支店の開業による実行高の増加にくわえ、フラット併用型プロパー
向け新商品等の取扱開始も寄与し、順調に業容が拡大しました。一方で、住宅瑕疵保険
事業については、住宅地盤保証との抱き合わせ提販により、営業を積極化させたものの、
表示を総額から純額基準に変更した会計影響が大きく、当該セグは見えがかり上は減収
増益となり、実態よりも売上が減って利益が膨らんだ格好となります。それでも全社業績
としては、概ね堅調な仕上がりとなりました。
進行期である2020年3月期の予算については、売上高が5.6%増の66.1億円、営業利益は
同3.6%増の12.0億円を見込んでいます。住宅金融事業については、新設支店の開業を
実績期の倍となる10店を計画しており、規模の拡大による実行高の増加を見込みます。
また住宅瑕疵保険事業については、工務店向けクラウドシステムの活用による取次店
との連携強化を推進し、住宅金融はもとより住宅性能評価や住宅地盤保証などの関連
商品群のクロスセルの増加を狙います。去る8月9日に1Q決算が開示されていますが、
期初に開示されている中間予算に対して、概ねインラインでの進捗が確認出来ます。
なお、売上高伸長に対して利益伸長が緩くなるのは、株主優待制度の導入に由ります。
今期は3年中計の初年度となっており、最終年度の2022年3月期に売上高900億円(CAGR
13%)、営業利益17億円(CAGR14%)を目標に据えています。成長ドライバーとしては、総額
20兆円ともされる住宅ローン市場のうち、「フラット35」を中心としたモーゲージ市場はこの
うち2~3兆円に過ぎず、さらにそのうちの当社の推定シェアは4~5%に留まっているため、
モーゲージ市場の構成比増加に乗じて、シェアを拡大していくのがベース戦略となります。
そのため、基本的には期初時点で全国39店(直営6店・代理店33店)ある店舗数を、期当
たり10店舗ほど増やしていく計画であり、これまで当社が高いシェアを握る北海道や沖縄
といった地方エリアの深耕ペースを緩め、同業最大手のアルヒ(7198;旧SBIモーゲージ)
に大きく水を開けられている首都圏エリアでの深耕を図ります。当社は首都圏エリアでは
後発となるため、この差別化の鍵が工務店向けクラウドシステムであり、住宅金融商品
のみならず、多様な関連商品をエンド販売することが出来る当該システムを営業フック
とし、提携工務店数を増加させていく方針です。ただ、多様な機能がシステムに本格的
に実装され、業績寄与するのは中計終盤であることを踏まえると、現時点で本システム
を業績ドライバーとして捉えるには心許なく、中計のビジビリティーは高くありません。
なお株主還元に関しては、今期も年35円配当を継続する見込となっています。業種上、
どうしても自己資本比率が低くなりがちですが、実績期において、つなぎ融資債権など
を契約変更によりオフバランス出来たため、14.3%→26.6%へと劇的に良化しています。
そのため、財務良化により還元拡大余地が出来ましたが、その一方で過剰ともいえる
水準で株主優待制度の拡充を実施しているため、増配は当分期待薄かと思われます。
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*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
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