【3167】TOKAIホールディングス(東証1部) OP
現在値 997円/100株 PER15.8 PBR2.08 3月配当優待9月配当優待
東海地盤。LPガスのザ・トーカイとCATV等のビック東海が統合。
配当は3月末・9月末の合計28円配のため、配当利回りは2.81%となります。
TOKAIホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株
を保有する株主に対して、500円分のQUOカードや2,050円分の"水セット"など選べる優待
を進呈しており、"水セット"の場合で配当優待利回りを算出した場合は約6.92%となります。
業績を確認をしていきます。
■2016年3月期 売上高 1,809億円、営業利益 82.4億円 EPS 30.0円
■2017年3月期 売上高 1,786億円、営業利益 127億円 EPS 64.5円
■2018年3月期 売上高 1,860億円、営業利益 109億円 EPS 51.1円
■2019年3月期 売上高 1,916億円、営業利益 130億円 EPS 59.3円
■2020年3月期 売上高 2,008億円、営業利益 141億円 EPS 62.8円 ce
□2019年6月1Q 売上高 458億円、営業利益 32.3億円 EPS 17.1円(7/31)
□2019年9月2Q 売上高 925億円、営業利益 44.1億円 EPS 18.0円 ce
2019年3月期の売上高は前期比3.0%増の1,916億円、営業利益は同19.0%増の130億円と
なり、増収増益を確保したものの、予算未達となりました。主力のLPガス事業については、
会員数が増加したものの、気温が高かった影響で需要が伸び悩んだほか、原価となるLP
ガスの仕入価格高騰が大きく響き、セグメント赤字に沈み全社業績の足を引っ張りました。
その一方、CATV事業については、昨年買収したテレビ津山が通期寄与するなど、MAに
よる会員の上乗せ効果が鮮明に発現しており、当該セグは7.5%の増収・46.4%もの増益を
果たしたほか、通信・サービス事業についても、先行投資の重いMVNOが多少良化したこ
とにくわえ、法人向け分野がストックビジネスの積み上げや受託開発案件の増加等もあり、
当該セグも39.0%の増益を確保したものの、LPガス事業の赤字は埋めきれませんでした。
進行期である2020年3月期の予算については、売上高が4.8%増の2,008億円、営業利益
は8.5%増の141億円を見込んでいます。主力のLPガス事業については、商圏買収による
契約獲得を図る方針であり、期末の契約数は6.1万件増の74.5万件を見込んでいるほか、
実績期における高気温による需要減や、LPガスの仕入価格高騰による原価増の影響が
ある程度剥落し、反動で収益が良化する想定となっています。LPガス同様、CATV事業や
アクア事業についても契約増による増収を見込んでいるものの、通信・サービス事業につ
いてはMVNOと光コラボ契約が増加する一方、従来型のISP契約の趨勢減により、契約数
自体は減少を見込んでいます。そのため、予算の組立てとしては、LPガス事業の反動増
が全社業績を底上げして増収増益を実現する計画となっています。
今期は4年中計の3年目となっており、最終年度の2021年3月期に売上高3,339億(CAGR
17%)、営業利益225億円(CAGR15%)を目標としています。達成へのドライバーとして、
MAやアライアンス投資に1,000億円もの巨費を投じる計画であり、基本戦略としてはMA
等による展開エリアの拡大と、CATV・ガス石油・情報通信等の既存会員に他商品も売る
クロスセル比率を現在の7%から20%へ引き上げることが基本的な戦略となります。
中でもMAによる外部成長に注力しており、2018年3月期にCATV事業で2社を買収し、
前2019年3月期にも下仁田町からガス事業(1,336件・年商1.4億円)を事業譲受したほか
今期は新たに秋田県のにかほ市のガス事業譲受に関する優先交渉権を獲得しています。
にかほ市については、稼働開始が翌期となるものの、下仁田市に続いて当社地盤の東海
エリア以外での受注となっており、“飛び地(種地)”展開のため事業効率が落ちるものの、
特に公共性の高いガス事業はクロスセル率が高くなる傾向(ガス有62.8%vsガス無17.8%)
にあることから、先々の他事業展開を睨んで、LP事業でのエリア拡大を図る目論見です。
ただ、中計期間の前半の2年が経過したものの、数値目標は依然かなりの過大感があり、
後半の2年が全て目論見通りに進んだとしても、キャッチアップは難しいと判断されます。
財務面については、2015年に発行した100億円のMSCBが全転換されているため、自己
資本比率は38.0%水準をキープしており、一頃と比べると劇的に財務が良化しています。
ただ、既述のとおり当社の場合MAによる外部成長を成長の柱として公言しているため、
株主還元は現在のレベル(年28円配&配当性向44.5%)を維持し、財務温存策を継続する
可能性が高いとみられます。逆に増配するような場合は、外部成長鈍化のシグナルとも
捉えられることから、現時点のスタンスはあくまで成長コンシャスとの判断出来ます。
*参考記事① 2019-02-16 902円 OP
業容拡大着実だが、意欲的な中計は過大感が強い・TOKAIホールディングス(3167)。
*参考記事② 2018-08-14 1,028円 OP
イケイケの外部成長策で、最高益更新が視野・TOKAIホールディングス(3167)。
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