村上ファンド系の買い集めと高配当政策が投資論点・フージャースHD(3284)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3284】フージャースホールディングス(東証一部) OP

現在値 618円/100株 PER7.18 PBR0.83 3月配当優待 9月配当優待

 

独立系マンション開発。地方都市での分譲に強み。戸建てやシニア向け、再開発も。
 

配当は3月末・9月末の年2回・合計35円のため、配当利回りは5.66%となります。
なお、フージャースホールディングスは株主優待制度を導入しておりません。


業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 359億円、経常利益 28.1億円 EPS 61.7円
■2017年3月期 売上高 527億円、経常利益 53.2億円 EPS 121.7円 

■2018年3月期 売上高 633億円、経常利益 69.3億円 EPS 118.6円

■2019年3月期 売上高 898億円、経常利益 84.7億円 EPS 55.7円 

■2020年3月期 売上高 920億円、経常利益 75.0億円 EPS 86.0円 ce

□2019年6月1Q 売上高 101億円、経常利益▲4.0億円 EPS▲0.5円(8/8) 
□2019年9月2Q 売上高 280億円、経常利益 30.0億円 EPS 35.1円 四e 

2019年3月期の売上高は前期比41.8%増の898億円、経常利益は同22.2%増の84.7億円

なり、期初予算を上回って大幅な増収増益となりました。主力の開発事業において、予算

前提の引渡戸数である1,315戸を74戸上回る1,389戸を引渡し、全社の業績を大きくけん

引しました。一方、CCRC事業については、前期にあった「柏の葉(266戸)」のようなシニア

住宅案件の引渡がなかったほか、投資事業についても大型案件の売却が剥落したため、

これらのセグメントは反落となりました。また、過去に買収したスポーツ施設の運営子会社

が想定を大きく下回って推移していることから、のれんと固定資産の減損を特別損失とし

て突っ込んでおり、ボトムラインでこれら合計の▲22億円分が下押しされています。

 

進行期である2020年3月期の予算については、売上高が2.4%増の920億円、経常利益は

11.5%減の75.0億円を予想しています。主力の開発事業における予算前提の引渡戸数を

実績期比で268戸も下回る1,047戸で計画しており、別途CCRC事業で引渡し予定の292戸

を合算しても、自社分譲の戸数は合計で200戸強減少する見通しです。これは今期販売

予定だった3物件200戸超について、地権者との協議がスタックしていることや、竣工遅延

が主な要因となります。また、CCRC事業についても、販売予定のシニアマンション1棟を

ヘルスケアREIT(※後述)の組成を視野に、賃貸併用型に変更したことにより、販売時期

が後ろズレすることなどが供給戸数が大きく減少する主な要因となります。なお、契約率

については期初段階で概ね4割を確保出来ているため、順調な仕上りが期待されます。


今期は2021年3月期を最終年度とする3年中計の2年目となっており、最終的に売上高

1,150億円(CAGR22%)、経常利益140億円(CAGR26%)を予想していますが、本中計の

マイルストン業績予想に照らせば、本来今期の予算上の売上高は1,100億円・経常利益

は115億円となるはずであったため、中計2年目の期初段階からかなりビハインドしてい

る状況となります。今期の数字が足りない理由については上述のとおりとなりますが、

それでも会社側は来期の目標値を据え置いているため、中計達成のハードルは極めて

高い状況にあると解されます。

 

一応、中計のドライバーとして、2018年2月にライツ・オファリングで135億円ほどを調達

しており、ヘルスケアREITの組成(に向けた物件の仕込み)に75億円、バイオマス発電を

中心とするエネルギー事業への投資に60億円を振り向ける計画となっています。ただ、

バイオマス発電は時間がかかるため、本来であれば今期にローンチ予定とされていた

ヘルスケアREITが当面の利益ドライバーになると目されていましたが、去る8月8日に

本REITの上場時期を1年先伸ばすことが明らかにされたほか(公募REIT→私募REITへ

変更)、ついでに神栖のバイオマス発電所稼働開始時期も、今期から“未定”へと先延

ばしされているような状況となっているため、このような定性的観点からも本中計で掲

げる数値計画の達成はかなり難しいと考えられます。

 

ただ中長期の業績展望についてはかような状況ではあるものの、当社株における最大

の投資論点は旧村上ファンドによる買い集めであり、南青山不動産、オフィスサポート、

エスグラントコーポレーションの3名義合計で、発行済株式数のおよそ25%程を買い占め

ているような状況です。そのため、アクティビストである彼らの動きが業績のいかんより

株価的なカタリストとして機能する可能性を孕んでいます。また、2つ目の投資論点とし

ては高水準の株主還元であり、今期より従来の配当性向基準20%を、総還元性向40%

へ改め、かつ今期はバイバックを前提としない“配当一本”で40%を還元する方針です。

そのため、今期の予想配当は25→35円に10円も増配される見通しであり、他銘柄と比

べても高い配当利回り水準が、株価の下支えとして機能することが期待されます。

 

*参考記事① 2014-09-18 504円 OP

フージャース(3284)から”お客様感謝祭”のお知らせがきました!

 

*参考記事② 2014-02-16  586円 OP

【イメージ画像有】クオカード優待だけが足りない割安株、フージャース(3284)の研究。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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