【3167】TOKAIホールディングス(東証1部) ---
現在値 902円/100株 PER14.9 PBR2.02 3月配当優待9月配当優待
東海地盤。LPガスのザ・トーカイとCATV等のビック東海が統合。
配当は3月末・9月末の合計28円配のため、配当利回りは3.10%となります。
TOKAIホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株
を保有する株主に対して、500円分のQUOカードや2,050円分の"水セット"など選べる優待
を進呈しており、"水セット"の場合で配当優待利回りを算出した場合は約7.64%となります。
業績を確認をしていきます。
■2015年3月期 売上高 1,875億円、営業利益 90.0億円 EPS 34.2円
■2016年3月期 売上高 1,809億円、営業利益 82.4億円 EPS 30.0円
■2017年3月期 売上高 1,786億円、営業利益 127億円 EPS 64.5円
■2018年3月期 売上高 1,860億円、営業利益 109億円 EPS 51.1円
■2019年3月期 売上高 1,956億円、営業利益 139億円 EPS 60.4円 ce
□2018年9月2Q 売上高 888億円、営業利益 34.7億円 EPS 13.2円
□2018年12月3Q 売上高 1,379億円、営業利益 70.3億円 EPS 30.2円(1/31)
2018年9月中間の売上高は前年同期比4.6%増の888億円、営業利益は同11.6%増の34.7
億円となり、増収増益は確保したものの、予算には届きませんでした。柱のLPガス事業に
ついては会員数が増加したものの、気温が高かった影響で需要が伸び悩んだほか、原価
となるLPガスの仕入価格の高騰も響き、セグメント赤字に沈み業績の足を引っ張りました。
その一方で、CATV事業については、昨年買収したテレビ津山が通期寄与するなど、MAに
よる会員の上乗せ効果が鮮明に発現しており、当該セグは11%の増収・37%の増益を果た
しました。このほか通信・サービス事業についても、先行投資が重いMVNOがやや良化し、
当該セグも11%の増益となったものの、LPガス事業の赤字を埋めきれませんでした。
なお、2019年3月期の通期予算については期初予想を据え置いており、売上高が前期比
5.1%増となる1,956億円、営業利益は27.2%増の139億円を見込んでいます。前期において、
LPガス事業やMVNO事業において、12億円を余分に投下し、新規顧客の獲得・繋ぎ止め
施策を講じたこともあり、全社各事業を通じた顧客数は前期末比2.3%増となる約289万人
水準をキープしています。この12億円とその他の一時費用が剥落するため、黙っていても
営業利益は20億円程良化するほか、上期に苦戦したLP事業において、原価高騰の顧客
転嫁を進めることによるスプレッド良化が期待されます。去る1月31日には3Q決算が開示
されており、通常数字が4Q単独期間に偏ることを踏まえれば、まずまずの進捗で推移し
ているものと判断されますが、進捗は鈍く、やや未達となる可能性の方が高そうです。
今期は4年中計の2年度目となっており、最終年度の2021年3月期に売上高3,339億(CAGR
17%)、営業利益225億円(CAGR15%)を目標としています。達成へのドライバーとして、MAや
アライアンス投資に1,000億円もの巨費を投じる計画であり、基本戦略としてはMA等による
展開エリアの拡大と、CATV・ガス石油・情報通信等の既存会員に他商品も売るクロスセル
比率を現在の7%から20%へ引き上げることが基本戦略となります。
中でもMAによる外部成長施策に注力しており、2018年3月期にCATV事業で2件の買収が
あったほか、今期は下仁田町からガス事業(1,336件・年商約1.4億円)を事業譲受しており、
来期初より業績への寄与が見込まれるほか、当社地盤の東海エリア以外で初めてのガス
事業の受注となったため、“種地的”に広域展開の足掛かりとなることが期待されます。
また、新電力事業者である“みんな電力”と資本業務提携し、ブロックチェーン技術を活用
した再エネ販売事業会社を合弁で設立予定となっており、再エネ事業に本格算入する計画
となっています。このように当社の場合は、ビジネスドメインが豊富に存在(拡張)するほか、
顧客基盤も充実しているため、中計にもリアリティがあるのですが、いかんせん業績目標
のハードルが高すぎるので、中計期間での売上高・利益CAGR10%程度は達成可能として
も、ガス市況や他事業者動向にも少なからず左右されるため、過大感がある印象です。
財務面については、2015年に発行した100億円のMSCBが全て転換されているため、自己
資本比率は3年前と比べて10pts.以上高い35.0%水準をキープしています。会社側ではこの
良化した財務基盤を武器に、投資専門部門を設けてMAに取り組んでいるような状況であり、
MAパイプラインが約2,000億円あることも明らかにしているような状況のため、株主還元は
現在のレベル(年28円配&配当性向46.3%)を維持し、財務温存策を継続する可能性が高い
ものとみられます。逆に増配するような場合は、中計の数値目標の達成は難しいでしょう。
*参考記事① 2018-08-14 1,028円 ---
イケイケの外部成長策で、最高益更新が視野・TOKAIホールディングス(3167)。
*参考記事② 2018-01-23 1,016円 ---
大型のMSCBこなし、財務状況が急改善・TOKAIホールディングス(3167)。
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