【9671】よみうりランド(東証1部) NT
現在値 4,500円/100株 PER11.3 PBR1.19 3月配当株主優待 9月配当優待
読売新聞傘下。船橋・川崎競馬場の歩合家賃主力。遊園地・ゴルフ場も。
配当金は年2回、3月末・9月末合計50円配当のため、配当利回りは1.11%となります。
よみうりランドは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元株を保有する株主に
対して、入園券・のりもの券等綴を進呈しておりますので、1綴を1万円相当として換算した
場合の配当優待利回りは約5.55%となります。
業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 187億円、営業利益 19.8億円、EPS 257円
■2017年3月期 売上高 210億円、営業利益 21.0億円、EPS 461円
■2018年3月期 売上高 209億円、営業利益 23.1億円、EPS 341円
■2019年3月期 売上高 219億円、営業利益 32.6億円、EPS 304円
■2020年3月期 売上高 233億円、営業利益 42.3億円、EPS 396円 ce
□2019年6月1Q 売上高 51.2億円、営業利益 7.5億円、EPS 79円(8/2)
□2019年9月2Q 売上高 109億円、営業利益 17.7億円、EPS 151円 ce
2019年3月期の売上高は前期比5.0%増の219億円、営業利益は同40.9%増の32.6億円と
なり、期初の減益予算から一転して、4割もの大増益での着地となりました。遊園地事業
においては、夏期の記録的な猛暑の影響を追い風に「プールWAI」が開業以来の集客を
記録したほか、新アトラクション「ハシビロGO!」の導入効果の継続や、人気の「ジュエル
ミネーション」の全面リニューアルによる集客強化もあり、年間を通じた入園者数が増加
しました。公営競馬については、川崎競馬、船橋競馬ともに開催日数が1日も減ってしま
ったものの、両競馬場のビッグレースである「全日本2歳優駿」「かしわ記念」がそれぞれ
売上高レコードを記録したほか、船橋競馬のナイター競馬通年化による売上増も寄与し、
同セグメントは14%超もの増収を果たし、全社の業績を大きく押し上げました。
進行期である2020年3月期の予算については、売上高が6.3%増の233億円、営業利益は
29.6%増の42.3億円を予想しています。遊園地事業については、GW10連休による上乗せ
効果が一定程度見込まれるほか、昨年好評を博したハロウィンイベント(ゾンビ)の投入を
予定しているほか、Vtuberやオンラインゲームとのコラボレーション企画による集客強化
を図る方針です。公営競馬については、昨今の競馬人気の回復基調もあり、船橋競馬の
ナイター競馬「ハートビートナイター」が、川崎同様に巡航化していくことが見込まれます。
なお、今回のJBCはJRAから開催が戻るものの、当社所有外の浦和競馬開催となります。
実績期は3年中計の最終年度となっており、増額後の目標値として売上高200億円、営業
利益を15億にロールしていたものの、フタを開けてみれば営業利益の着地はその目標の
倍以上という大増勢の結果となりました。そのため、今期から新3年中計に移行しており、
最終年度である2022年3月期に売上高256億円、営業利益34億円を目指す形で目標数字
を置きなおしています。ただ、売上高は兎も角、利益については既に達成している水準の
目標となるため、その意図を図りかねる部分がありますが、新中計の3ヵ年の間に遊園地
事業については、「グッジョバ!!」エリアの拡大及びリニューアル工事を予定しているほか、
船橋競馬についてはスタンドの建替(川崎競馬も大規模修繕を実施するが厩舎設備中心)
を予定されているため、これによる集客の減少と設備・建物の減価償却費の増をそれぞれ
見込んで、コンサバに数値設定していることが原因かと思われます。元より当社は、予算
段階で爪を伸ばさず、落着が見えてきた頃に増額する傾向が強くみられますので、表記の
数字は最低限のものと捉え、アップサイド含みと解するのが妥当かと思われます。
なお、当社株については上記の単年度・複数年度における業績の達成のいかんではなく、
基本的に“含み資産株”としてのアプローチする銘柄と考えております。土地から保有する
川崎・船橋の各競馬場や周辺の商業施設、本業の遊園地や野球場、ゴルフ場など多数の
不動産を保有しており、あくまで賃貸用不動産として認識されるものに限られる有報上の
含み益は約150億円ですが、実態としてはそれを大きく上回るものとみられます。この他、
(株価下落でだいぶ目減りしてしまったものの、)日テレの株も523万株・約72億円を保有し
ているため、それだけで有利子負債残高をほぼカバーしているため、事実上の無借金企
業と判断することが出来ますので、実態としてはピカピカの“含み資産株”となります。
一方、株主還元については、財務面は一段の良化が進んでいるものの、年50円配で固定
されてしまっています。当社は上述のとおり“含み資産株”でありながら、今年の株主総会
において買収防衛策をが「無事に更新されて」しまっているため、読売新聞グループの天
下り先である当社は、株主還元を強化して株価を上げるようなインセンティブも乏しいこと
から、当面はそういった還元強化等の施策には期待出来ないものと考えています。
*参考記事① 2019-01-10 3,985円 NT
中計達成圏だが手詰まり感、あくまで「含み資産株」の位置付け・よみうりランド(9671)。
*参考記事② 2018-09-15 4,435円 NT
競馬人気は大復活だが、天候不順でプール弱い・よみうりランド(9671)。
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