中計達成圏だが手詰まり感、あくまで「含み資産株」の位置付け・よみうりランド(9671)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9671】よみうりランド(東証1部)  --

現在値 3,985円/100株 PER18.5 PBR1.06 3月配当株主優待 9月配当優待

読売新聞傘下。船橋・川崎競馬場の歩合家賃主力。遊園地・ゴルフ場も。
配当金は年2回、3月末・9月末合計50円配当のため、配当利回りは1.25%となります。

よみうりランドは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元株を保有する株主に

対して、入園券・のりもの券等綴を進呈しておりますので、1綴を1万円相当として換算した

場合の配当優待利回りは約6.27%となります。

業績を確認していきます。   
■2015年3月期 売上高 172億円、営業利益 22.7億円、EPS 229円 
■2016年3月期 売上高 187億円、営業利益 19.8億円、EPS 257円 
■2017年3月期 売上高 210億円、営業利益 21.0億円、EPS 461円 
■2018年3月期 売上高 209億円、営業利益 23.1億円、EPS 341円 

■2019年3月期 売上高 211億円、営業利益 22.4億円、EPS 214円 ce
□2018年9月中 売上高 98.7億円、営業利益 9.9億円、EPS 103円(11/7)

2018年9月中間期の売上高は前年同期比1.5%減の98.7億円、営業利益は同5.2%減の23.1

億円となり、期初計画通り減収減益となったものの、対予算では減収増益となりました。

遊園地事業においては、夏期の記録的な猛暑の影響を追い風に「プールWAI」が開業来

の集客を記録したものの、その一方で本来の遊技機エリアの集客が伸び悩む格好となり、

結果として入園者数が減少しました。公営競馬については、川崎競馬の開催日数が前年

同数だったものの、船橋競馬の開催日数が5日も減ってしまったこともあり、「かしわ記念」

では売上高レコードを記録したものの、同様に減収となりました。なお、利益面については、

遊園地の機械メンテを下期に送ったため、その費用の浮き分で予算比増益となりました。


2019年3月期の通期予算については、期初の予想を据え置いており、売上高は微増となる

211億円、営業利益は3.3%減の22.4億円を予想しています。遊園地事業については、3月に

稼働を開始した日本最大級のディスクオー型の新アトラクション「ハシビロGO!」の導入効果

継続や、人気の「ジュエルミネーション」初の全域リニューアル効果の発現が期待されます。

一方、公営競馬については、下期のJBCがJRA(京都競馬場)開催となることによる剥落が

懸念されるため、船橋競馬におけるナイター競馬の通年開催化や、年明けの川崎競馬の

「川崎記念」で何処まで穴を埋められるかどうかがポイントとなりそうです。


今期は3年中計の最終年度となっており、当初の計画では今期の売上高を190億円、営業

利益10億円としていましたが、2017年5月に目標をローリングしており、売上高は200億円、

営業利益を15億にそれぞれ置きなおしています。遊園地事業において100億円強の巨費

を投じた「グッジョバ!!」は既に目新しさが無く、開業効果が剥落してしまっているため、

企業コラボアトラクションであることを活かした、イベント等によるテコ入れが望まれます。

公営競馬については、主にJRAの若者向けCMのおこぼれに由来する競馬人気の復活に

より、地方競馬の集客が伸びているため、船橋ららぽーととマーケットスクエア川崎を近隣

に持つ当社競馬場は、家族連れの囲い込みに上手く成功しているため、(他人のフンドシ

ではあるものの、)中長期的な業績伸長が十分に期待出来るような状況です。そのため、

表記中計の定量目標は、増額してなお走破確実圏の状況であり、もはや興味の中心に

ついては、来期からの次期中計に移行してしまっていると言えそうです。

 

なお、当社株については上記の単年度・複数年度における業績の達成のいかんではなく、

基本的に“含み資産株”としてのアプローチする銘柄と考えております。土地から保有する

川崎・船橋の各競馬場や周辺の商業施設、本業の遊園地や野球場、ゴルフ場など多数の

不動産を保有しており、あくまで賃貸用不動産として認識されるものに限られる有報上の

含み益は約150億円ですが、実態としてはそれを大きく上回るものとみられます。この他、

日テレの株も523万株・約90億円分を保有しているため、それだけで有利子負債を完全に

カバーしているため、事実上の無借金企業と捉えるべきかと考えています。

 

また、建物・設備の減価償却が進んでいるわりには、足許では新アトラクションへの投資を

積極的には進めていないばかりか、株主還元も年間50円配で固定してしまっているので、

財務面は一段の良化が進んでいます。そのため、投資するにせよ、株主還元するにせよ、

有効活用を期待したいところですが、読売グループの天下り先にすぎない当社には大した

インセンティブが働かないため、基本的にはありのままを受け入れるしかないと思います。

 

*参考記事① 2018-09-15 4,435円 --

競馬人気は大復活だが、天候不順でプール弱い・よみうりランド(9671)。

 

*参考記事② 2018-01-18  4,945円 --

台風影響あるも、競馬人気復活で増額中計も走破圏・よみうりランド(9671)。

 


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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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