【3548】バロックジャパンリミテッド/業績目標無し中計にロールするも、配当下限38円をガイド。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3548】バロックジャパンリミテッド(東証一部) OP

現在値 895円/100株  P/E 24.7  P/B 1.61 2月配当株主優待 8月株主優待

若い女性向けの衣料、服飾雑貨SPA。多品種小ロット、中国・日本が二本柱。
配当実績は2月一括の年38円配当のため、実績ベースの配当利回りは約4.25%となります。

バロックジャパンリミテッドは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末の単元株主に対して2,000円分の買い物券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約8.71%となります。

業績を確認していきます。

■2019年2月変 売上高 710億円、経常利益 45.4億円 EPS 81.4円 

■2020年2月期 売上高 658億円、経常利益 45.8億円 EPS 79.2円

■2021年2月期 売上高 505億円、経常利益 11.8億円 EPS 10.4円 

■2022年2月期 売上高 597億円、経常利益 22.8億円 EPS 36.2円 ce

□2022年8月2Q 売上高 265億円、経常利益 7.5億円 EPS 8.3円 

□2022年11月3Q 売上高 431億円、経常利益 26.5億円 EPS 42.0円(1/14)

2021年8月中間期の売上高はYoY26.9%増の265億円、経常利益は同16億円良化の7.5億円となり黒字化しました。国内事業は新型肺炎5波の影響で実店舗が失速したものの、OMO奏功によりECが14.1%増に拡大し、トータルの売上高は同27.2%増となりました。ブランド別では百貨店向けの「EMFOLD」や「STACCATO」、SCの「MOUSSY」が堅調も、FB/SB向けの戻りが鈍くなりました。海外事業についてはも、中国JV売上高が同37.6%増の22.7億円、利益が同5.4億円良化の3.7億円と反転増となったほか、出退店も国内が純減1店だった一方、海外は純増5店と増店しています。

 

2022年2月期の通期見通しは期初のものを据え置いており、売上高はYoY18.1%増の597億円、経常利益は同92.9%増の22.8億円を予想しています。既に開示済の10ヶ月累計月次によれば、国内SSS114.9%、海外SSS120.0%と概ね堅調に推移しているものの、残りの2ヶ月でオミクロン新株による下押しが想定されます。また、1月14日に開示済の3Qの売上高は同19.4%増の431億円、経常利益は同3倍の26.5億円と利益は通期計画を超過していることから、4Qで“食い潰す”形となっても、海外事業も決算取込が3ヵ月遅れとなることから、予算水準を確保してくる公算が高そうです。


当社は従前中計で2024年2月期に売上高1,000億円(CAGR10%)、経常利益は87億円(CAGR17%)を目指していましたが、新型肺炎禍による実態乖離が余りに大きいことから取り下げることとし、数値目標のない3年間の“つなぎ中計”を昨年10月に開示しています。コンセプトとしては、売上高を重視せず、アパレル企業から付加価値型企業への転換を図るとともに、2024年2月期に目指すKPIとして営業利益率7.5~8.0%、在庫回転率5.5~6.0回転、海外年20店増店&30ヵ国展開、ROE13~15%をガイドしています。

 

基本的な考え方として、従前来当社は国内を成熟市場として捉えており、中国をはじめとした海外に軸足を移す方針です。国内はSSS至上主義から脱却し、採算性重視でブランドと店舗の“選択と集中”を進めるとともに、なとりかや村岡美里に代表されるSNS系カリスマ店員による発信強化や、アリオ川口に開業した「SHEL'TTER GREEN(DELI)」観葉植物&デリカテッセンの新業態にように、ライフスタイルの共有・提案型のブランド戦略を推進します。

 

注力する中国事業は、現地イコールパートナーの靴小売大手の百麗国際が進めるEC再定義戦略“NEW RETAIL(ネットと実店舗の融合)”を共同推進しています。中国市場自体は、足許で失速してなおGDP年率4~5%成長を維持していることから、購買力水準維持が期待され、当社は本邦企業としてはユニクロ・無印良品に続いて3社目となる300店体制を既に構築していることから、これを年20店程単純増店して伸ばす計画です。中国市場の特徴として、5Gの高い普及率によりSNSによる販促が効きやすいため、OMO戦略と実店舗の一段の効率化の両輪により脱日本方式で利益率改善に取り組みます。


株主還元については、従来の配当フォーミュラである配当性向の30~40%を取りやめ、向こう3年程は年38円の金額固定で安定配当を目指すこととしています。足許時点の自己資本比率は依然として50%と安全域を確保しているほか、大株主のファンドとの兼ね合いもあるため、仮に業績が失速することがあっても、この年38円の配当水準が下限として機能するものと解されます。

 

*参考記事① 2020-06-23 639円 NT

【3548】バロックジャパンリミテッド/新型肺炎後の中国出直り鮮明も、大幅減配は不可避か。

 

*参考記事② 2019-12-30 977円 OP

上期好調も下期失速気味で、通期達成は微妙・バロックジャパンリミテッド(3548)。

 

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