伊藤忠グループのDX戦略にBETする(投資戦略アウトルック/2022.01.17)。 | なちゅの市川綜合研究所

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新春の日経の注目銘柄特集にもありましたが、個人的にも伊藤忠グループのDX戦略には大変注目しています。伊藤忠商事本体の今期予想純利益が7,500億円のうち、1,000億円が情報・金融部門とされ、セグメントでは前期比7割もの増益が見込まれています。特に岡藤会長がこのDXを「ファミマに次ぐ第二の成長の柱」と公言していることから、当面はグループを挙げて支援するとみられ、子会社群にもズブといお金が流れてくるものと予想しています。

 

中でもグループの中でもハウスSIerである伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が主砲的存在であり、本体が58%もの持分を握っていることから、ガバナンス的な観点からもTOBに動くインセンティブは小さくないとみています。そのため、CTCは当面の成長が約束されているものの、既にバリュエーション上は特段の割安感(P/E24倍)がなく、P/E7倍程に過ぎない伊藤忠本体がどこまでプレミアムを付けて買収してくれるか未知数であるため、優先順位はちょっと落とします。

 

そこで具体的な狙い目となる銘柄については、ベルシステム24(持分40%)、ウイングアーク1st(本体とCTCで持分22.4%)、ブレインパッド(持分2.9%)辺りになろうかと考えています。ベルシステム24はファンド間を流れ流れて伊藤忠に漂着した会社ですが、単なる従来型のコールセンター請負事業から一歩進んで、データ整備や営業代行といったことも進めており、伊藤忠案件の獲得のみならず業容のウイングが一層拡大することが期待されます。その場合、株価評価上のバリュエーションもコールセンターのそれから脱却することが期待されるほか、そうでなくとも先般の大幅増配公表により4%を超える配当利回りが出ることとなったので、強いディフェンシブ性を持った成長株としての評価が出来そうです。

 

また、帳票電子保管等に強みを持ち、中長期的に幅広いペーパレス化需要の獲得が期待される一方、足許で株価が大きく調整してしまったウイングアーク1stや、高度人材獲得難が叫ばれて久しいデータサイエンティストを既に数多く囲い込んでいるAI関連のブレインパッドも中長期的に期待しています。また。元々は三菱商事系であった上流コンサルのシグマクシスもDXに強く、ファミマの歴史的商売敵であるローソンを顧客として内情を知り尽くしていることから、ファミマ強化のためにズブといいお金が回ってくる公算が高いものの、ベンチマークとなるベイカレントの評価がボラタイルなことから、CTC同様に順位を落としたいと思います。

 

というわけで、選好順は以下の通りとします。個人的な本音ベースではウイングアークが本命ですが、13日に公表した中計で“当面は投資先行(5年間は利益は抑制される)”を公表してしまったため2番手に落とすほか、配当利回りといったバリューファクターが効きやすい相場局面であることを踏まえ、安定性重視で順位付けしてみました。

 ①ベルシステム24(6183) 現値1,300円 配当利回り 4.15%  

 ②ウイングアーク1st(4432) 現値1,710円 配当利回り 2.41% 

 ③伊藤忠テクノソリューションズ(4739) 現値3,420円 配当利回り 2.04%

 ④ブレインパッド(3655) 現値1,235円 無配

 ⑤シグマクシス(6088) 現値2,202円 配当利回り 1.09% 

 

なお、足許で持分法適用化が公表されている日立建機はよくわかりません。北米市場強化、子分である東京センチュリーとの建機ファイナンスの強化などそれっぽい買収理由が複数並べられていますが、本心ではコマツが先行する建機DX(世界中の建機稼働状況でログをとって需要予測する等)といったことをやっていきたいのが“深淵なる意図”なのかな・・・と思います。

 

元々伊藤忠商事は三菱商事や三井物産に比べて資源依存体質ではないものの、それでも目下の総合商社各社は史上空前の資源高の恩恵をフル享受しまくって、業績を爆発的に膨らましていることは事実です。そのため儲かった“あぶく銭”を今のうちに非資源に振っておきたいニーズはかなり強いものと考えており、非資源に定評のある伊藤忠は更にDXにアクセルをふかせてくることも既定路線と考えています。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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